IBMは顧客の不安を払拭できるか?

» 2004年12月10日 10時25分 公開
[IDG Japan]
IDG

 PC部門を中国のLenovo Groupに売却すると決定した以上、IBMはこれから、世界第3位のPCメーカーになる手助けをしてくれた企業・政府機関の顧客が、標準を打ち立ててきた同社のブランドから離れていかないよう引き留める努力をしなくてはならない。

 IBMは、現金、株式、債務引き受けによる17億5000万ドル相当の部門売却取引を、来年4〜6月期に完了させる予定だ。この取引の一環として、同社はLenovo株の約19%を取得する。

 同社パーソナルコンピューティング部門チーフマーケティングオフィサー、ディーパク・アドバニ氏は、LenovoがPCとノートPCを製造し、IBMは引き続きサポートとサービスを提供するとしている。「多くの大企業顧客が、IBMがサービス・サポートを提供することを望んでいる。それについては、今回の取引の一部に含めている」

 Lenovoは少なくとも今後5年間、IBMブランドの下で、IBMの品質基準に合わせてハードを製造する。アドバニ氏は、この合意は、IBMの名前がPCラインに「永遠に」残る可能性があることを意味すると語った。

 今回の部門売却は、IBMの小売POSシステム事業には影響しない。同社はこれらシステムの全側面を端から端まで所有し、製造するとアドバニ氏。「今回の取引による変化はない」

 同氏によると、IBMはIntelベースのサーバを製造しており、その市場でLenovoと競合する可能性はあるが、サーバ部門を売却する計画はないという。

 先日発表されたこの取引に対する反応はさまざまだ。Mobile Travel GuideのCTO(最高技術責任者)ポール・メルキュリオ氏はPCを電話にたとえ、PCはIBMの長期的な目標にとって特に必然的なものではないとしている。

 PCは「サーバのように戦略的に重要な製品というわけではない」とメルキュリオ氏。同氏の会社はExxon Mobileの自立した一部門。同氏は、今回の取引はIBMがサーバ部門を売却する前兆だとは考えていない。「トランザクションサービスはIBMのビジネスの中核だ」と同氏。

 シカゴのIBMユーザーグループMembers of Shareは、Lenovoが製造するPCの品質と、サービスや電話サポートについて懸念を表明していると、同グループのロバート・ローゼン会長。「これらは実際に顧客に触れる部分だ」

 同氏は、IBMの動きは政府機関によるIBM製品の購入にも影響するかもしれないとしつつも、サーバ部門売却の前兆ではないというアドバニ氏の主張には賛成している。同氏はコモディティビジネスだけが影響を受けるとし、次に売られるのはサーバ部門かもしれないとの憶測について、「われわれが目にするあらゆる兆候が、その可能性はないと示している」と語っている。

 Gartner Dataquestによると、IBMは2004年7〜9月期にPCを260万台出荷し、世界市場で第3位のシェア(5.6%)を獲得した。首位のDellは同四半期、790万台を出荷し、市場シェアは約17%。続くHPは700万台あまりを出荷し、シェアは15%だった。

 Federal Sourcesのアナリスト、レイ・ビョークランド氏は、Lenovoからの製品購入を拒む可能性がある米政府機関として、国防総省など国家安全関連の機関を挙げている。国防総省は米政府の年間IT支出600億ドル(推定)のうち、約60%を占めているという。だがほかの機関は、「価格競争力が非常に高く、マシンがきちんと動くのなら、IBMブランドのPCを購入し続けるかもしれない。彼らはおそらくそれで満足するだろう」と同氏は語る。

 アドバニ氏は、IBMは既に米政府機関に今回の売却について話し、購入担当者を安心させようとしているところだとしている。「今まさにこの取り組みが進んでいる」

 IBMにとってリスクになるのが、PCを販売するベンダーがサーバ販売をリードするか、あるいはその逆が伝統的なパターンになっているということだと、D.H. Brown Associatesのアナリスト、トニー・イアムズ氏は指摘する。

 アドバニ氏は心配はしていないと話す。IBMの営業部門は今後も、サーバと一緒にLenovo製PCが売れた場合に手数料を受け取ることになるという。

 一部の企業顧客は動揺しているが、「IBMの顧客基盤を安心させるのは、実際は難しくないと思う」とIDCのアナリスト、ロジャー・ケイ氏。「顧客がさまざまな不安にとらわれる恐れはあるが、それは事実と再度の保証により緩和できる」

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