日本エリートグループ(ECS)は12月11日、秋葉原リナックスカフェ・ディ・プロントにおいて、新製品の発表会「ECS新製品発表展示会」を開催した。基本的にOEM供給の割合が高い同社の製品は、韓国のPCメーカーをはじめ国内ショップブランドのホワイトボックスなどに多く採用されているという。しかし、日本でもパーツショップなどで見かけることも多い、自作ユーザーにはお馴染みのブランドだ。
今回展示の中心になったのは、同社がパーツショップで自作市場向けに展開している「EXTREME」ブランドのマザーボード新製品2種類。1枚はSocket 939のAthlon 64に対応する「KN1」で、チップセットにNVIDIAのnForce4 Ultraを備える。
11月に行われたASUS、GIGA-BYTEのイベントで注目されていたnForce4 SLI搭載マザーと異なり、「NVIDIA SLI」に対応しないオーソドックスなマザーとなるが、PCI Express X16スロットを備え、かつ、チップセットのSerial ATAに加えて、KN1はIEEE 1394aやSerial ATA RAID機能対応のSiS製「SiS180」をオンボードで搭載している。
もう1枚は、LGA775に対応しIntel 925XEを搭載する「PF21」だ。最上位のPentium 4 Extreme Edition/3.46GHz だけが対応するFSB 1066MHzが利用可能になる。メモリはDDR2 533/400に対応。PF21もIEEE 1394aとSerialATA RAIDに対応するSiS180をオンボードで搭載する。
どちらの製品も2005年1月下旬に発売予定で、実売価格は現時点では2万円前後の見込みだが、1万円台での販売を目指しているとのこと。
nForce4シリーズのミドルレンジとなるnForce4 Ultraを搭載するマザーとしては低めの価格設定であるが、これについてECSは「KN1は、4層基板を使った低価格帯を意識したAthlon 64対応マザー。なお、SLI対応製品の発売は、OEM先からの要望が少ないため、現時点では検討中」と説明している。
最近パーツショップで製品が増えつつあるPentium M対応ベアノートPCでは、ECSが新たに国内で出荷を開始した製品「G220」ファミリーの展示が行われていた。
「G220/S」は、光学ドライブを内蔵するB5サイズノートで価格は9万円前後。「G220/W」は、12.1インチながらワイドサイズの液晶を搭載しており最大解像度は1280×800ドット。液晶上部にはCMOSカメラを備えており、チャットなどで利用できる。こちらの価格は10万円前後。どちらの製品もPentium Mに対応する。
ECSによると、CPU、メモリ、HDDを搭載しないベアボーンキットとして販売するほかに、パーツを組み込んだショップブランドノートPCとしても販売されるとしている。
会場には、OEM向け製品も各種展示していたが、そのなかには、LGA775対応でIntel 915GVを備えたmicroATXマザー「915-M5」ATXマザー「915-A」といった正統派的組み合わせマザーに混じって、LGA775を搭載しながら、チップセットにIntel 865GVを備えた「865-M7」が未発表マザーとして紹介されていた。
これらマザーは、ECSが対応マザーを最初に発表して注目を集めた「AGP Express」や、これまた独自のスロット「PCI Express Lite」を搭載しているのが特徴。
AGP ExpressはAGPと同等の、PCI Express LiteはPCI Expressと同等の役割を担うが、それぞれのスロットに差したグラフィックスカードに加えて、オンボードのビデオ機能と同時に利用することで、複数のディスプレイに出力できる「デュアル・グラフィック・エンジン」機能をサポートする。
最近のグラフィックスカードは単体で複数のディスプレイに出力できる製品が主流だが、この機能を併用することでディスプレイ4台に出力可能となる。パフォーマンスには一切貢献しない機能ではあるが、使い勝手を考えればマルチディスプレイ環境は便利。ゲーム以外の用途に使うユーザーに対しては非常に訴求力のある機能だろう。
会場ではAGP Expressとオンボードのグラフィックス機能の同時利用以外にも、AGP ExpressとPCI Express Liteの同時利用などいろいろな組み合わせでデュアル・グラフィック・エンジン機能が動作するデモを行っていた。
「915 P-A」に搭載されたAGP Expressでも話題になったが、それぞれのスロットで利用可能なグラフィックスカードの互換性については、マザーを発売するときに同社のWebサイトで、動作する製品の一覧を公表している。互換性の問題については同社でも「今後さらに検証を進めるほか、ショップからのフィードバックを生かしていきたい」としている。
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