第7回 直販PC市場に斬り込む日本HP――PDA編PC USERが斬る!(1/3 ページ)

» 2005年05月06日 00時00分 公開
[PC USER]
Photo バラエティーに富んだHPのPDA製品iPAQシリーズ。現在は全5モデルで構成されており、エントリーモデルを除き、すべてのモデルでIEEE802.11bの無線LANとBluetooth機能を搭載しているのが特徴だ

PDAに対する造詣が深いHP

PCUSER

 そもそも、HPは1992年にアップルコンピュータがNewton MessagePadを引っさげてPDAの概念を提唱する前から、この手のPIM製品を世に出しており、造詣が深い。ベテランユーザーの中には、DOSベースのPIM製品として高い人気を集めたHP 200LXに、深い思い入れを持っている人もいるだろう。さらにさかのぼれば、関数電卓や金融電卓などでお世話になった人も多いはずだ(米国では今でも発売しているが、日本では2002年に自社製電卓の発売を終えた)。

 話が横道にそれてしまったが、電卓やパームトップコンピュータ、そしてPDAと形を変えつつも、同社の小型端末への情熱は絶えることなく今でも続いており、下の写真にもあるようにさまざまな製品が投入されている。

 かつてPDAといえば、OS別にPalm、Windows CE、独自仕様のZaurusと選択肢は豊富だった。ところが、Palm Computing(現PalmOneとPalmSource)が2002年に日本を撤退、今年2月にはソニーが自社製PDAのCLIEシリーズの新機種投入終了をアナウンスするなど、残念ながらPDAを巡るニュースは明るくないのが現状だ。Zaurusシリーズにもかつての勢いはないが、このような状況下で、HPは2004年のPDA市場において日本国内およびワールドワイドともに出荷台数ベースでシェア1位と気を吐いており(Windows OS搭載PDAとして/IDC調べ)、孤軍奮闘ぶりが際立つ。

Photo HPとコンパックコンピュータが日本でこれまでに発売してきたPDA製品をまとめた図。2002年に両社は合併しているが、合併後はHPのJornadaがなくなり、コンパックコンピュータのiPAQブランドに統一された(資料提供:日本HP)

 ところで今の日本では、PDAを多くの人が携帯電話で代用していることだろう。個人用の携帯情報端末として、これほど普及している製品はほかに見あたらない。しかし、いくら携帯電話が多機能になったとはいえ、住所録はともかく、スケジュールの管理やメモなどのPIM機能は未だに貧弱で、PC上のデータはもちろん、メールの添付ファイルが開けなかったりと、何かと不便で制約が多く、まだまだPDAにかなわない部分もある。

 ことパソコンとのデータ連携を考えた場合、Windows搭載PCとの連携を前提として開発されたPocket PC搭載PDAならば、手軽にパソコンのデータを持ち運びできる。特にOutlookをはじめとしたMicrosoft Officeアプリケーション製品(Word/Excelなど)との親和性は高く、日本で人気の高いシャープのZaurusシリーズや、ソニーのCLIEシリーズに対する大きなアドバンテージとなっている。また、Webの閲覧をはじめ、前述のビジネスアプリケーションだけでなく、動画や制止画といったエンターテインメント系のデータも楽しめる、マルチビュワーとしての役割も見逃せないところだ。PCに接続されたクレードルにPDAを置くだけでデータを同期してくれる手軽さも、Pocket PCならではメリットといえるだろう。

Photo 製品に付属するUSB接続のクレードル(一部の製品はUSBケーブル)にPDAを置くだけで、PC内のデータと同期を行なえる手軽さが、Pocket PCの大きな魅力だ。会社などでOutlookを使っている(使わざるをえない!?)ユーザーは、ぜひ一度試してもらいたい

最近のPDAはここまでできる

 マイクロソフトのPDA向け最新OSは、昨年9月にリリースされたWindows Mobile 2003 Second Edition software for Pocket PC 日本語版だ。前バージョンからの主な強化点は、640×480/480×640ドットの画面表示のネイティブサポートや横長(ランドスケープ)画面の対応のほか、無線LANのセキュリティ強化(WPAのサポート)、Pocket Internet Explorerの横一列表示機能の装備などが挙げられる。

 HPの現行モデルはすべてこのOSを採用しており、最上位モデルのhx4700では上記の機能をすべてサポートしている。ラインアップの詳細は次項に譲るが、120gの軽量モデルをはじめとして、指紋認証機能を内蔵してセキュリティー機能を重視したモデル、さらにはデジカメ機能やWMA/WMVのネットワーク再生が行なえるモデルまで多彩な顔ぶれを誇る。

 ここでは画面キャプチャーを中心に、最新Pocket PCの充実したビュワー機能を見ていきたい。もちろん、HP iPAQ Pocket PCシリーズならではの特徴・機能もあわせて紹介しよう。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年12月07日 更新
  1. M4 Maxチップ搭載「16インチMacBook Pro」の実力をチェック 誰に勧めるべきモデルなのか? (2024年12月06日)
  2. 「Windows 11 2024 Update(バージョン24H2)」の既知の不具合まとめ【2024年11月27日現在】 (2024年11月27日)
  3. Amazonが「Fire TV Stick HD」のプレゼントキャンペーンを開催 新製品のサウンドバーとのセットも (2024年12月04日)
  4. QWERTYキーボード付き二つ折りポータブルPC「AYANEO FLIP KB」の操作性を試す ビジネスでも使える? (2024年12月05日)
  5. EIZOが最薄部約24.4mmでアーム付属の23.8型液晶ディスプレイ「FlexScan FLT」を発表 欧州エネルギーラベル「Class A」取得で環境に配慮 (2024年12月05日)
  6. やはり軽いのはいい! 13.3型AI PC「HP EliteBook 635 Aero G11」にスイッチして分かった驚き (2024年12月05日)
  7. サンワ、消費電力のチェックもできるキューブ型電源タップ PD対応USB充電ポート×3を装備 (2024年12月05日)
  8. MSI、Core i5搭載ビジネス向けミニPC「Cubi 5」にAmazon専売モデルを追加 (2024年12月05日)
  9. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  10. 天空がパワフルかつ拡張性の高い小型ノートPC「GPD Pocket 4」を2025年2月に発売 14万6700円から(予約で3000円引きに) (2024年12月06日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー