第7回 直販PC市場に斬り込む日本HP――PDA編PC USERが斬る!(2/3 ページ)

» 2005年05月06日 00時00分 公開
[PC USER]

ビジネスデータに強いPocket PC

 ホストとなるPCとのデータ連携には、Pocket PCに付属するActiveSyncというソフトウェアの導入が必要だ。これをインストールすることで、Pocket PCとホストPCとデータの同期がワンタッチで行なえるようになる。

 強力なのがMicrosoft Office製品とのデータ共有で、ホストPCでOutlookを利用していれば、Outlookで受信したメール、Outlookで作成した予定表や仕事、そして連絡先が自動的にPocket PCにコピーされる。これで普段利用しているPCのデータを簡単に出先に持ち出せるわけだ。スケジュール管理もお手のもので、Outlookで設定したアラームはPocket PCに受け継がれる。もちろん、同期をとる項目はActiveSyncで細かく設定が可能だ。なお、Pocket PC製品にはMicrosoft Outlook 2002が標準で付属しているので、Outlookを持っていないユーザーはPocket PC購入を機にメーラーやスケジューラーを乗り換えるのも手だ。

 Pocket PCはPocket ExcelとPocket WordをROMに内蔵しており、外出先で書類を閲覧するだけでなく、編集作業も気軽にできる。Pocket PC内蔵の無線LANやBluetoothを使ったり、別途SDIOやCFタイプの通信カードを利用すれば、外出先でもWebの閲覧やメールの送受信が行なえる。

 Microsoft Office製品以外のアプリケーションデータも、問題なくPocket PCで扱える。ビジネスシーンで頻繁に使うPDFファイルや、PowerPointのプレゼンテーションデータも、上位モデルのhx4700やhx2750/hx2410ならば、標準でビュワーソフトを付属しているので閲覧が可能だ(そのほかのモデルも別途無料のビュワーソフトを用意すればよい)。このあたりの高い柔軟性もPocket PCの魅力の1つだ。

Photo Microsoft Office製品のOutlookやExcel、Wordのデータは、Pocket PCでシームレスに閲覧、作成、編集できる。ホストPCとの同期がケーブル1本で簡単に行なえるのもうれしい
Photo Pocket PC 2003SEではPocket Internet Explorerの横一列表示が可能になり、面倒な横スクロール作業から解放された(左)。ビジネス用途で需要の高いPDFやPowerPointファイルの内容確認も手軽にできる

エンターテインメントもお手の物

 ビジネス用途だけでなく、PCで録画したTV番組(WMV)やデジカメで撮影した静止画、MP3やWMAといった音楽ファイルを楽しめるのもPocket PCの特徴だ。標準で導入されているWindows Media Player 9 for Pocket PC(rx3715はWindows Media Player 10 for Pocket PC)を使えば、上記のファイルを手軽に再生できる。iPAQシリーズは全モデルでCFスロットとSDメモリカードスロットを備えており(エントリーのrz1717とカメラつきのrx3715は後者のみ)、容量の大きいメモリカードを追加すれば、ビデオプレーヤー兼シリコンオーディオプレーヤーとしても活用可能だ。

 ただ、WMP9は登場してから時間がたっており仕様が古いので、本格的に動画や音楽を楽しみたいのならば、サードパーティー製のプレーヤーソフト(BetaPlayerなど)を導入したい。BetaPlayerならば、DivXやMPEG4から音楽ファイルまで一通りのファイル形式に対応している(MPEG2は除く)。特にグラフィックスアクセラレーターを内蔵した最上位のhx4700ならば、より高画質な動画ファイルをなめらかに再生できる。

 ユニークなのは、マルチメディア機能を重視したミッドレンジのrx3715だ。iPAQシリーズでは唯一となるカメラ機能を内蔵するだけでなく、無線LAN経由でホストPC上のメディアファイル(WMAやWMV)のiPAQへのストリーミング再生や、ホストPC上のメディアファイルの再生操作が可能だ(著作権保護のためかMP3のストリーミング再生は不可)。さらに赤外線を使ったユニバーサルリモコン機能(TVやビデオ、プロジェクタなどのAV機器に対応)や写真データの管理までがパッケージになっており、まさに仕事から遊びまで1台で完結できるのがウリだ。

Photo 動画や音楽ファイルの再生は、標準装備のWMP9で行なう。PDAではさすがにMPEG2の再生は行なえず、WMP9の性能も今ひとつなため、本格的に楽しむ場合はサードパーティー製のソフトウェアを活用したい。右の2つの画面はrx3715に内蔵されているUniversal ElectronicsのNevoをベースにしたソフトウェアの画面で、AV機器のコントロールやメディアファイルの再生/ストリーミング再生が行なえる
Photo HP iPAQ rx3715は、背面に120万画素のCMOSカメラを内蔵しているのが特徴だ。レスポンスや画質は市販のデジタルカメラに及ばないものの、メモ用途ならば十分に機能してくれる

HP独自のツールで使いやすさやセキュリティ機能を追求

 HPならではのこだわりはiPAQシリーズでも健在だ。OSのPocket PC 2003 SEが提供するネットワーク設定は今ひとつ使いづらいのだが、それを解消すべくiPAQシリーズではiPAQ Wirelessが用意され、無線LANやBluetoothの設定を手軽に行なえるようにしている。

 PCのコンテキストメニューのような感覚で利用できる、iPAQシリーズでおなじみのiTASK Managerも見どころだ。各種設定の呼び出しやタスクの切り替えがワンタッチで行なえるので何かと重宝する。

 どこにでも持ち運べるPDAだけに、セキュリティ機能はチェックしておきたいポイントだ。手軽にOutlookなどと連携できるPocket PCでは、会社のデータを外に持ち運ぶ機会が多く、盗難や紛失といった危険とは常に隣り合わせだ。iPAQシリーズでは上位3モデルで独自ユーティリティーのHP ProtectToolsを搭載している。これを使うと、メールや予定表、連絡先のデータや指定したフォルダが自動的に暗号化され、電源オン時やPCとの同期時にパスワードやPINコードによる認証が必要になるので、第三者にデータが漏えいする危険を回避できる。

 ほかにもトップのToday画面をカスタマイズするTodayPanel Liteやカレンダー表示機能付きスクリーンセーバーのDockWareといったユーティリティー(いずれもサードパーティー製)を装備しているのもうれしいところだ。

Photo 左のiPAQ Wirelessは、無線LANやBluetoothの電源オン/オフと設定を兼ねたユーティリティーだ。中央はiPAQシリーズでおなじみのiTASK Managerで、マウスの右クリック(コンテキストメニュー)のように扱えるので重宝する。右端は指紋登録の画面で、指紋認証ユニットを内蔵したhx2750ではより高度なセキュリティを確保できる

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