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» 2005年09月09日 18時59分 公開

グラフィックスカード:きょうはMSI「NX7800 GTX」で“D.O.T express”の挙動を追ってみた (1/2)

オーバークロック全盛のGeForce 7800GTX搭載グラフィックスカード。しかし、オーバークロックはチップをジワリジワリと劣化させていく。MSIは単純にクロックを上げるだけでない、ユニークなアプローチで差別化を図る。

[長浜和也,ITmedia]

 ベンダー自らが設定したオーバークロックによる差別化が当たり前になってきたGeForce 7800 GTX搭載グラフィックスカード。しかし、一方で製品品質を維持するために、オーバークロックをかたくなに否定するベンダーもいる。

 MSIは「D.O.T express」と呼ぶ独自の技術を実装することで、オーバークロックに対してほかのベンダーとは異なるアプローチをしている。今回はD.O.T expressに対応したMSIのGeForce 7800 GTX「NX7800 GTX」を使って、D.O.T expressを使ったオーバークロックがもたらすパフォーマンスを試してみたい。

今回取り上げるのはMSIのGeForce 7800 GTX搭載カード「NX7800 GTX」だ。初期状態でコアクロック430MHz、メモリクロック600MHzと「MSIにしては」珍しくおとなしい設定

 D.O.Tは「Dynamic Over-Clocking technology」の略。「Dynamic」が示すように、システムの負荷にあわせて動作クロックを“動的”に変化させるオーバークロック手法だ。BIOSでクロックや電圧を設定すると、システムの状態や負荷の状況がいくら変わっても、設定した値のまま動作するが、D.O.Tは、システムの負荷を常にチェックし、負荷が重くなればクロックを速め、負荷が軽くなればクロックを定格に戻してシステムの負担も軽くしてくれる。

 オーバークロックというと、BIOSの設定メニューやWindows上で動くユーティリティツールを使ってFSBや、メモリ、PCI、AGP(最近ではPCI Express)のバスクロックを速めたり、駆動電圧を上げる、メモリのアクセスのタイミングを調節する、といった設定を少しずつ詰めることで、パフォーマンスアップを図っていくものだった。その過程は、レーシングマシンのセッティングを本レースに向けてチューニングしていく作業にも似ている。

 D.O.Tでは、MSIが用意した「Commander」「General」など複数のモードをユーザーが選択すると、それぞれのモードにあわせて、事前にプリセットされているクロックや電圧の値が設定される。これなら、先ほどの「PCの状態を見ながら複数のパラメータを少しずつ詰めていく」作業がいらなくなるので、初心者でも容易にオーバークロック設定が行える。

 現在D.O.TにMSIが用意しているオーバークロックの「プリセットモード」は、「Private」(定格1%増)、「Sergeant」(同3%)、「Captain」(同5%)、「Colonel」(同7%)、「General」(同9%)、「Commander」(同11%)の6種類。もちろん、D.O.TでCommanderを選択したからといって無条件で定格11%増のセッティングで動作するわけではない。ハードウェアが持っているマージンを超えてしまえばBIOSの初期化シーケンスですら途中で止まってしまう。

 いま説明したD.O.Tは以前からMSIのマザーボードに実装されていたが、この機能をグラフィックスカードで使えるようにしたのが「D.O.T express」だ。マザーボードでD.O.Tを利用するにはこの機能を制御するハードウェアを乗せる必要があるが、グラフィックスカードでD.O.T expressを利用する場合はMSIがグラフィックスカードに書き込んだファームウェアとMSIが提供するドライバに組み込まれた機能を組み合わせることで可能になる。NVIDIAが提供するForceWareを導入しただけではD.O.T expressを設定する「MSI Clock」などMSI独自の設定タグが表示されないので注意したい。

 MSIが提供するドライバはMSIの独自機能をForceWareに組み込んだ形で提供されているが、現在MSI提供のドライバに組み込まれているForceWareのバージョンは77.51。これはGeForce 7800 GTXが発売される直前にFIXされた古いバージョンである。ForceWareはバージョンが上がるたびにパフォーマンスが改善されるので、できることなら最新のバージョンを適用しておきたい。そこで、MSI提供のドライバを導入した後にForceWareの最新版(77.77)を導入してみたところ、MSI独自タグは残ったまま無事に最新バージョンが適用できた。MSIとしては非公式な使い方かもしれないが、パフォーマンスを優先したいユーザーにしてみれば、試してみる価値は十分ある。

 通常のクーラーユニットを用いたシステムのマザーボードでD.O.Tを使う場合、さすがに最速モードのCommannd(定格11%増)で動くケースはほとんどないと聞く。今回の評価作業ではMSIのnForce4 SLI搭載多機能マザー「K8N Diamond」を使って、マザー側のD.O.Tも試してみたが、使っているパーツ(とくにメモリモジュールがハイエンド御用達ブランドでなかったので)の影響か、下から3番めの「Captain」(陸軍でいうところの“大尉”)で起動せず、その下の「Sergeant」(陸軍でいうところの“軍曹”)でようやく安定した。

D.O.Tはもともとマザーボードに実装された機能。今回の評価で試用したMSIのK8N Diamondのメモリスロット下に見える「CoreCell」にD.O.TをはじめとするMSI独自の「パフォーマンス向上機能」が詰め込まれている

D.O.Tを設定するBIOSメニュー。Windows上で動くユーティリティでもスライダーバーを使った設定は可能。ちなみに、プリセットされたモードの名称は陸軍における階級呼称。元帥から将官、佐官ときて最下の兵卒では定格1%増の設定となる

グラフィックス用のD.O.T expressの設定画面。MSIが提供するドライバを導入すると、画面のプロパティにMSI独自タグが表示される。D.O.T expressで用意されるモード以外にもスライダーでクロックの設定が可能
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