今のところ新しいiMac(以下、iMac Intel)に付属するOSはMac OS X 10.4.4だ。そのマシンを起動するとソフトウェアアップデートが立ち上がって、下のような画面が表示される。
わざわざ括弧付きで“Intel”と書いてあるくらいだ。ちょっと期待してしまう。これでiMac Intelは速くなったのだろうか? アップデート前と後で比較してみよう。なお、先日の記事で評価したのは20インチモデルだったのだけれど、今回試せたのは17インチモデル。CPUは1.83GHzとこないだよりも遅いし、メモリ容量は512Mバイト。データは再度とり直しだ。
ちなみに、同じMac OS X 10.4.5だけど、PowerPC版とIntel版とではビルド番号が異なる。PowerPC版は8H14、Intel版は8G1454となるのだ。
これはちょっとだけややこしい問題がある。Mac OS Xが10.4.4から10.4.5になっただけではなく、iDVDも6.0から6.0.1に少しバージョンアップしているからだ。そこで、アップデートを2段階で行うことにして、Mac OS X 10.4.4+iDVD 6.0、Mac OS X 10.4.4+iDVD 6.0.1、Mac OS X 10.4.5+iDVD 6.0.1の3つの組み合わせを試してみることにした。
サンプルデータは1時間59分54秒の動画。ただし、前回のデジタルデータはとっておかなかったので、アナログデータから再度取り込んで、チャプタもつけ直し。だから完璧に前回と同じデータというわけではないことはご容赦願いたい。測定方法は前回と同様だ。やっぱり1度ずつしか試していない。
Mac OS X 10.4.4 | Mac OS X 10.4.4 | Mac OS X 10.4.5 |
iDVD 6.0 | iDVD 6.0.1 | iDVD 6.0.1 |
2時間43分12秒 | 2時間56分46秒 | 2時間34分08秒 |
動画をDVMC-DA1経由でiMovieで取り込み、iMovie HDでチャプタをつけてからiDVDでエンコード。その際「イメージファイルに書き出す」を選択。 |
やっぱり中途半端な組み合わせ(Mac OS X 10.4.4+iDVD 6.0.1)はだめみたいだ。最初と最後で比べると5%くらい速くなっている。効果があった、といえるのだろうか?
この測定に使ったデータは保存してあったので、前回と全く同じ条件での測定。DV/DVPRO-NTSCフォーマット、9分28秒のデータをQuickTime Playerで開いて「ムービーからiPod(320×24)」で保存。これをAppleScriptで計測した3回の平均が下の表だ。
Mac OS Xのバージョン | Mac OS X 10.4.4 | Mac OS X 10.4.5 |
ムービーからiPod(320×240) | 9分7秒 | 9分5秒 |
ほとんど差が出ていない。QuickTimeの最適化はまだ進んでいないようだ。
これもQuickTimeエンジンを使う作業だ。測定条件は前回とまったく同じ。59分0秒のアルバム(中島みゆき「転生」)をHDDにコピーし、それをAAC 128kbpsで圧縮するのにかかる時間を測定する。ストップウオッチによる手計測で、3回の平均値をとる。ちなみに、前回のときにいい忘れたけれど「読み込み中に曲を再生する」はオフにしている。
Mac OS Xのバージョン | Mac OS X 10.4.4 | Mac OS X 10.4.5 |
AIFF→AAC 128kbps | 2分54秒 | 2分53秒 |
これもほとんど差はない。QuickTimeがIntelCPUに最適化されるのは、QuickTime自身のバージョンがあがるまでおあずけのようだ。
これも条件は前回と同じで、iPod用のH.264を書き出せるようにしたffmpeg(build 4759がもと)での実験だ。Intel Core Duoが片方しか使われていないのも一緒。計測はtimeコマンドによる3回の平均。
Mac OS Xのバージョン | Mac OS X 10.4.4 | Mac OS X 10.4.5 |
ffmpeg MPEG4圧縮 | 13分11秒 | 13分16秒 |
ffmpeg H.264圧縮 | 30分34秒 | 30分39秒 |
はっきり遅くなっている。わたしの勝手な予想とは裏腹に速度面での優位性はみられない。
これは追加の実験。10.4.5でCD作成が遅くなったという噂があったので、試してみた。計582.1Mバイトのデータ(ファイル数539。中身はデジカメで撮った写真)をFinderを使ってCD-Rに書き出した。書き出しは「速度優先(x24)」。「OK」を押してから、「検証」が始まった瞬間まで、ストップウオッチで手計測。測定は1回だけ。
Mac OS Xのバージョン | Mac OS X 10.4.4 | Mac OS X 10.4.5 |
CD-R作成 | 4分2秒 | 5分42秒 |
これは明らかに遅くなってる。みているとリードイン、リードアウトのような前後処理ではなく、本当に書き込んでいる時間が長くなっているようだ。これがどういう理由で発生しているのか、ちょっと今すぐにはわからない。
速さという面では残念な結果だったMac OS X 10.4.5だけど、もちろん改善もなされている。アップルのサイトに向上した機能のリストがある。その中に、「Intel ベースの Mac に Telestream 社製 Flip4Mac が正しくインストールされるようになりました。」という記述がある。この間の記事でインストールできないと指摘したあれだ。試してみると、確かに今度はエラーも発生せずにちゃんとインストールできる。
でも、それだけではだめ。QuickTime PlayerでWMVファイルを開こうとすると、エラーが出てしまうのだ。
なんだよインストールできるだけで使えないのかよ、と怒りそうになって、少しごそごそして分かった。QuickTime Playerアプリケーションの「情報をみる」で、「Rosettaを使って開く」にチェックを付けないといけないのだ。
Flip4Macモジュールはインストールできるようになっただけで、Universal化されたわけではない。だから、QuickTime PlayerはIntelネイティブで動いていてはだめだ。Rosetta下で動かないといけないのだ。これなら、ちゃんとWMVファイル(WMV9まで)は開くことができる。
でも、この状態ではQuickTime Playerはエミュレート動作になって、遅くなる。さっきの「ムービーからiPod(320x240)」の圧縮なんて27分49秒もかかってしまう。Intelネイティブのときの3倍だ。だからWMVの視聴が終わったら、すぐに「Rosettaを使って開く」のチェックを外すようにしよう。(実は「Rosettaを使って開く」は、いままで気がつかないでいた。これを知ってれば、Xbenchは1.2だけでRosettaの速度比較ができたのに)。
また、Flip4Macの設定は「システム環境設定」から行うのだけれど、Universal化されていないから、この設定画面も開くことができない。そして「システム環境設定」は「Rosettaを使って開く」もできないのだ。設定がデフォルトのままでも困ることはあんまりないとは思うのだけど、でも開けないのはまずい。Flip4MacがはやくUniversal化することを望むという状況は全く変わっていないようだ。
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