Windows Vistaで大幅強化されたセキュリティとモバイルパフォーマンス:WinHEC 2006(1/2 ページ)

» 2006年05月30日 15時53分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]

 市場への投入があと半年となったWindows Vistaだが、その仕様や機能は、現時点でリリースされている最新のβ2版でほぼ確定となっている。Microsoftのプロダクトマネージャらの話によれば、メジャーバージョンアップやユーザーインタフェースの大きな変更は今後予定されておらず、バグフィックスや細かい機能の改良といったマイナーバージョンアップが中心になっていくという。今回は、その中で明らかにされたいくつかの新機能に注目してその概要を紹介していこう。

ユーザーにとってのWindows Vistaのメリットとは?

MicrosoftのWindowsクライアントビジネス部門シニアバイスプレジデントのウィル・プール氏

 開発に5年以上をかけただけあり、前バージョンのWindows XPに比べて大幅な機能の改良や新機能が追加されたWindows Vistaだが、ユーザーから見た「Winodwsの変化」はなんであるのか。開発者にしてみれば、.NET Frameworkベースの新API群「WinFX」や画面描画や通信機能をつかさどる「Windows Presentation Foundation」(WPF)、「Windows Communication Foundation(WCF)」などの機能が追加されているが、「Aero」(エアロ)などの3Dベースの新インタフェースを実現するWPFを除けば、施された改良はあくまで内部的なもので、ユーザーが直接意識できるものではない。これらの基盤部分(Foundation)以外の部分で、ユーザーが直接恩恵を受ける機能には、どのようなものがあるのだろうか。

 MicrosoftのWindowsクライアントビジネス部門シニアバイスプレジデントのウィル・プール氏によれば、今回のWindows Vistaでは「ビジネス」「モバイル」「ホーム」という3つのカテゴリのそれぞれで導入メリットが用意されているという。例えばビジネス用途においては、「セキュリティ」「検索」「管理」「モバイル」の4つの面で大きな効力を発揮することになる。ここでは、とくにセキュリティとモバイルにおけるパフォーマンスで機能を大幅に向上させる「BitLocker」と「ReadyDrive」に注目してみよう。

ノートPCの盗難にも対応するセキュリティ対策「BitLocker」

 ウイルスやワームによる外部からの攻撃や情報流出などセキュリティ上の脅威が多様化していくなかで、その対策は、部分的な防御壁の強化だけではなくアプリケーションからOSにいたるPCやネットワーク内のさまざまなレイヤーにおいて防御策を講じるのが一般的になりつつある。Windows Vistaもその例外ではない。アプリケーションとOSの両面でセキュリティの強化が図られている。

 まず重要なのは、攻撃の最大の標的となりやすいWebブラウザの強化だ。Windows Vistaで標準となるInternet Explorer 7.0+(IE7+)では、「マルウェア」(Mal-Ware:Malicious Software)と呼ばれる悪意を持ったコードの進入経路となりやすいActive Xコントロールの導入や実行がユーザー側で従来以上に制御できるようになっている。例えば、Webページにアクセスすると何の警告もなしにインストールが開始されるアドウェアやスパイウェアが存在するが、こうしたステルスモードでインストールを開始するActive Xコードを監視して、必要に応じてその挙動を制御できるようになる。駆除ツールの「Windows Defender」やポップアップブロック機能と併用することで、スパイウェアによる被害を最小限に押さえ込むことが期待される。また、アドレスバーやWeb画面上の入力項目の隠ぺいなど、オートコンプリート機能で問題となる情報の覗き見(ソーシャルエンジニアリング)対策も可能になる。

BitLockerが動作中。暗号化の指定を行うと、アイドル時間中にボリューム内のデータを順次暗号化していく

 Windows Vistaで注目される機能の1つが「BitLocker」だ。HDDのボリュームをまるごと暗号化して、当該ユーザー以外のアクセスはもとよりHDDを取り外して行うクラッキングに対しても情報の取り出しを防ぐことが可能になる。この機能によって、例えばWindows VistaをインストールしたノートPCがまるごと盗難されたとしても、BitLockerで暗号化さえしておけば情報漏えいの被害を最小限にできる。先日(米国時間の5月22日 )に、米退役軍人局の職員が作業情報を勝手にノートPCに入れて屋外へ持ち出し、そのPCが自宅で盗難されて2600万人以上の個人情報が流出するという事件が明らかになったばかりだ。BitLockerは、こうしたヒューマンエラーに起因する問題にも大きな効力を発揮する。ドライブのボリューム全体や各ファイル/フォルダを暗号化するソリューションはソフトウェアメーカー各社からすでにリリースされていて、ファイルの暗号化自体は従来のWindowsでもサポートされている。しかし、利用の拡大という視点で考えると、OS本体でドライブ全体の暗号化に対応した意義は大きい。

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