Apple、「iOS 6」を発表 正式リリースは2012年秋:開発者向けβ版の配布を開始(2/2 ページ)
Appleが開発者向けの年次イベント「World Wide Developer Conference 2012(WDC2012)」で、次期iOSの概要を公開した。今回は新しいiOS対応ハードウェアの発表はなかったが、秋のリリースへ向けて開発者向けにβ版の配布を開始した。新しい対応デバイスも、2012年秋に登場するものと予想される。
共有の幅を広げるフォトストリーム
iCloudの導入とともに用意された「フォトストリーム」は、iOSデバイスやMacの写真をiCloudを介して同期させることが可能なサービスだが、iOS 6では共有の範囲を「同じApple ID」から「iOS 6搭載デバイスでiCloudを利用しているユーザー」や「OS X Mountain Lionを搭載するMacのユーザー」に拡大。あらかじめ設定した仲間同士で写真が簡単に共有できる「シェアドフォトストリーム」機能が利用できる。
シェアドフォトストリームは、通常のフォトストリーム同様、Apple TVでテレビに映し出したり、Webブラウザで参照したりも可能。Apple製品でなくてもシェアドフォトストリームの閲覧は可能だ。シェアドフォトストリームのメンバーは、写真にコメントを付けられ、ほかのユーザーからもそのコメントは閲覧できる。友達や家族が写真を共有したら、ロック画面にアラートを表示させる機能なども提供する。
重要なメールを仕分けするVIPリスト
「メール」アプリの機能も、iOS 6へのアップデートともに強化する。主にメールボックス内のユーザーインタフェースの変更が中心だが、「VIP」フォルダを用意し、重要なメールの見落としが発生しないようにする。VIPのリストは適宜変更可能。リストはiCloudで同期できる。写真や動画のメールへの添付も簡単に行えるよう改良を加えた。
電子決済やクーポン券になるPassbook
飛行機の搭乗券やコーヒーショップのクーポン、映画の入場券、店舗の会員証など、さまざまなチケットやカードを、電子的に1つにまとめることができるアプリが「Passbook」だ。これは今までになかった新しいタイプのサービスだ。
Passbookは、その名の通りチケットやクーポンなど、「パス」に分類される物を収集し管理・使用できる便利なアプリ。例えばユナイテッド航空のサービスなら、飛行機の出発ゲートの情報などが手元で簡単に確認できるほか、ゲートに変更があった場合などにはプッシュ通知で譲歩の更新を行ったりする。NFCやFeliCaのような近距離無線通信の仕組みは用いておらず、画面にQRコードやバーコードを表示したり、会員番号を明示したりすることで利用する。
位置情報と連動して、お気に入りのカフェが近くにあったらロック画面にポップアップを表示するような機能も提供。NFCとはまた違った発展を遂げる可能性を秘める。
より使いやすくなったアクセシビリティ機能
視覚や聴覚に不自由があるユーザーでも快適に使えるよう、iOSにはもともと「アクセシビリティ」機能が用意されている。iOS 6では、これをさらに使いやすくする。特に注目なのは、利用できるアプリを1本に限定し、不意にアタのアプリに切り替わってしまったり、子供が勝手にアプリを切り替えたりしないようにする機能。また、ホームボタンを利用できないようにしたりして誤操作を防止したり、アプリ内の特定の領域へのタッチを無効にする機能などもある。
一から作り直したマップ
これまでiOSデバイスの「マップ」アプリでは、Googleが開発したGoogle Mapsの提供を受けていたが、iOS 6ではAppleが開発したマップアプリを搭載する。ベクトルデータの地図情報は拡大や縮小にスムーズに追随し、配色も見やすい。ターン・バイ・ターン(交差点などで曲がる方向を指示する)方式のナビゲーション機能も備える予定だ。ローカルサーチもサポートし、位置情報から関連する情報を引き出せる。ショップの名前や電話番号、WebサイトのURLなどはもちろん、Yelpでのレーティングなども確認可能だ。Siriに近くのガソリンスタンドを探してもらい、ナビゲーション機能で現在地から案内してもらうようなこともできる。
このほか、iOSデバイスの移動速度などをプローブ情報として活用する交通情報の提供機能や、Siriの音声によるナビゲーションなど、興味深い機能も用意する。
Googleのストリートビューに変わる特徴的な機能として、Flyoverという機能も用意する。これは一部の大都市に限られるが、3Dグラフィックで再現された街の上を飛行機で飛んでいるかのような景色が楽しめる機能だ。
ストアのUI変更、中国向け機能の追加も
このほか、具体的なデモはなかったが、iTunes Store、App Store、iBookstoreのユーザーインタフェースも変更される。過去の検索履歴をiCloudで共有し、別のデバイスでも簡単に過去に検索したコンテンツをダウンロードしたりできる。
中国市場向けには、中国語辞書の強化や手書き文字認識の改善、iCloud経由での辞書の共有といった機能も実装。Safariの検索として「Baidu」が選べるほか、「Youku」や「Tudou」で簡単に動画の共有が可能になる。「Sina Weibo」への投稿などもサポートする。
数々のアップデートが盛り込まれる予定のiOS 6のリリースは秋の予定。このタイミングで、今回は言及がなかった「新しいiPhone」も発表される可能性がある。
iOS関連の重要な数字アップデート
このほか基調講演では、iOSにまつわるいくつかの数字のアップデートも行われた。iOSデバイスの世界での累計販売台数は3億6500万台。そのうち80パーセントでiOS 5が動作しているという。iOS 5と同時期に発表されたAndroid 4.0は、まだ全体の7パーセントでしか利用されていないとし、iOSデバイスの優位性を強調した。
iOSアプリの総数は、5月の時点で65万タイトル。そのうち22万5000タイトルはiPad向けに開発されたものだという。ユーザーによるアプリのダウンロード数は300億を超えた。
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