第9回 Vistaでオーディオデバイスはどうなる?元麻布春男のWatchTower「Windows Vista編」(1/2 ページ)

» 2006年09月19日 05時00分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

 前回も記したように、Windows Vistaではデバイスドライバモデルに変更が加えられる。デバイスドライバがユーザーモードで動作することで、システムの安定性が高まり、システムのセキュリティが向上するはずだ。しかし、ユーザーとしては、今ひとつその恩恵が実感しにくいかもしれない。現在のWindows XPにおいても、そう頻繁にブルースクリーンに遭遇しているとは思えないからだ。

 というわけで、今回はドライバがユーザーモードに移行するデバイスの1つ、オーディオデバイスについて、内部的な変化ではなく、ユーザーの目に見える機能的な変化について取り上げることにしたい。

過去を引きずるWindows XPのオーディオデバイス

 Windows XPを使っていて困惑することの1つは、予期せぬところで大きな音が出力されたり、普段聞こえてくる音が突然鳴らなくなったりすることだ。言い換えれば、サウンドを利用するアプリケーション(メディアプレイヤーなど)の中で、普段より音量を上げた設定がそのままになっていたり、音楽やDVD-Videoを鑑賞するためにユーザー自らが音量を上げたためシステム音まで大音量で再生されたり、特定のアプリケーションがオーディオデバイスを占有した結果、ほかのアプリケーションのサウンドが出力されなくなったり、といったことに起因するトラブルである。

画面1 Windows XPのサウンドミキサー(プレイバック コントロール)。名前は変わったが、基本的にはWindows 3.xの時代と大きくは変わらない

 このようなトラブルが生じてしまうのは、従来のWindowsによるサウンドの扱いに問題があったからだ。右の画面1はWindows XPの「プレイバック コントロール(ミキサー)」だが、左端のマスターボリュームから、Wave、CD、MIDI、ラインイン、AUXなど、オーディオデバイスが並ぶ。このミキサーの有り様は、おおむねWindows 3.xの時代から基本的に変わっておらず、時代にそぐわなくなっている。

 1つ目の問題は、この画面1に表示されたオーディオデバイスの多くが、もはや使われなくなっている、ということだ。かつて、CPUパワーが少なく、OSのマルチタスク性に限界があった時代、CD(CD-DAアナログ出力)やMIDIといったデバイスはアプリケーションにサウンド機能を付与するのに役立っていた。CDに納められたCD-DAデータをコマンド1つで再生し、CD-ROMドライブのアナログ出力をサウンドカードのミキサーに入力して再生すれば、CPUを全く占有せずにスピーカーから音を出すことができる。同様に外部シンセサイザを用いるMIDIも、極めてCPU占有率が低い上、データサイズがコンパクトだったから、フロッピーディスクでコンテンツを配布していた時代は重宝したものだ。

 しかし、PCのアーキテクチャが、CDの再生をストレージバス経由のデジタル再生が可能なだけの帯域を備えるようになり、あるいはそのデータを元にMP3やWMAといったコーデックで圧縮処理できるだけのCPUパワーを備えるようになると、CD-ROMドライブのアナログ出力はすっかり時代遅れになってしまった。おそらく、ほとんどのユーザーがもはやCD-ROMドライブのアナログ出力に、ケーブルなどを接続していないことだろう。

 同様にMIDIも、外部シンセサイザを利用していた時代は意味があったが、CPUによるソフトウェアMIDIが主力になると、そのウエイトが低下する。向上を続けるCPUパワーは、従来のデジタルシンセサイザ(OPL3など)相当の処理能力をあっという間に追い越し、サンプリング音によるソフトウェアシンセサイザを可能にした。CPUにそれだけの処理能力があるということは、もはやMIDIを使わずとも、直接アプリケーションがサウンド処理をソフトウェアで行えることにほかならない。CD-ROMやDVD-ROMといった大容量の光メディアの普及と相まって、一般ユーザーがMIDIシンセサイザを利用する頻度は激減した。

Windows XPのオーディオデバイスは、再生、録音、MIDIのそれぞれに1つずつ利用するデバイス(既定のデバイス)を設定する

 TVチューナーカードのようなデバイスも、アナログオーディオ出力(ラインインやAUXを使う)から、PCIバス経由でサウンドを出力することが主流になっている。アナログ出力では困難な複数のチューナーカードの利用も、バス経由のデジタル出力であれば、簡単にソフトウェアから切り替えられるからだ。

 これらのアナログ音源やMIDIが使われなくなる一方で、PCのサウンド需要はWaveデバイスに集中している。音楽やTVチューナーといった用途だけでなく、Skypeに代表されるコミュニケーションツールにもサウンド機能は不可欠だ。

 Windows XPでは、これらがすべてWaveという1つのデバイスとして扱われてしまうため、従来のミキサーではWaveデバイスを利用するアプリケーションごとの音量調整ができない。したがって、コミュニケーションツールで会話している時に、大音量でメールの着信を告げるシステム音が鳴り響いたり、音楽を聴きながらネットサーフィンをしている時に、サウンドが出力されるWebページを開いてビックリ、といった不都合が生じる。ミキサーにもはや使われなくなったオーディオデバイスがずらずらと並ぶことが1つ目の問題なら、大半のアプリケーションが利用するWaveデバイス内で、アプリケーション間の音量調整ができないというのが2番目の問題だ。

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