レビュー
» 2006年10月17日 08時00分 公開

丹精な質実剛健モバイル──「東芝 dynabook SS S30 106S/2W(高速HDDモデル)」(1/2 ページ)

この、12.1インチワイドの液晶ディスプレイと超低電圧版Core Soloを搭載した法人向けワンスピンドルノートは、派手でないが使いやすく分かりやすい誠実な設計が際だつPCであった。

[富永ジュン,ITmedia]
dynabook SS S30 106S/2W。今回は5400rpm、40GバイトのSerial ATA HDD、重量1.3キロ、バッテリー駆動時間7.7時間の高速HDDモデルを評価した

 dynabook SS S30 106S/2W(以下、dynabook S30)は、標準バッテリー駆動時間9時間で約1.2キロ足らずの「軽量長時間モデル」と5400rpmのSerial ATA HDDを搭載してパフォーマンスを高めた「高速HDDモデル」の2種類が用意されている。仕様上の違いはCFカードスロットの有無と内蔵HDDの種類のみで、それに起因するバッテリー駆動時間と本体重量の差がこの2モデルを分けている。軽量長時間モデルではCFカードスロットが搭載可能で30Gバイト 4200rpm Ultra ATA/100 HDDを搭載し、バッテリー駆動時間は約9時間、重量約1.2キロ。高速HDDモデルは40Gバイト、5400rpm Serial ATA HDDを搭載し、バッテリー駆動時間は約7.7時間、軽さは約1.3キロ。このようにこの両者の差はあまり大きくない。しかし、価格差が1万3000円ほどあるので、予算と必要なHDD容量に合わせて選ぶことになるだろう。なお、今回のレビューでは高速HDDモデルを試用している。

 本体サイズを見てみると、フットプリントが約283.8×196.6ミリと12.1インチワイド液晶ディスプレイを搭載した製品としてはコンパクトだ。ビジネス利用を考えると、喫茶店や新幹線などの狭いテーブルの上や電車でひざの上に乗せて使うことも多いと思うので、このフットプリントの小ささは使い勝手をよくしてくれる。ただし、厚さは26.9〜35.5ミリとかなりあり、長らくスリムな形状を特徴としてきた「dynabook SS」シリーズとしては大きな方向転換となる。これを、すし詰めの満員電車の中などで液晶ディスプレイが壊れなくて済むと受け取るか、カバンに収まらなくなったと思うかはユーザーの状況で分かれるだろう。重さが1.24〜1.27キロ(軽量長時間モデルの最軽量構成で1.19キロ)とワンスピンドルの軽量ノートPCとしては重い。最近の12.1インチクラスのノートPCでは、同程度の重さで光学ドライブを搭載した製品が珍しくないことはユーザーもよく分かっていると思う。

12.1インチワイドの液晶ディスプレイは最大解像度1280×800ドット。鮮やかクッキリの色調ではないが、長時間見ても疲れない落ち着いた画質になっている

 液晶ディスプレイの画質は、全体的に彩度が低くて白っぽい。とくに薄い色のグラデーション階調表示が苦手なように思える。また、評価機だけの状況かもしれないが、少し色ムラも確認された。もちろん、色味そのものは正常だし表示するということについては問題を感じない。法人向けモデルで使われるビジネスアプリケーションの表示に適している一方で、静止画の表示やDVD-Videoの再生などで好まれる鮮やかでくっきりとした画質ではない。輝度は8段階に調整でき、最大にするとまぶしいぐらいの明るさが確保されている。晴れた日の屋外でも画面が見えにくいということはないだろう。

 キーボードは、キーピッチ19ミリ、キーストローク1.7ミリの85キー日本語キーボードが搭載されている。レイアウトが秀逸で、通常のモバイルPCでは密接しているファンクションキーと通常キーの間に5ミリ程度のスペースが確保されているほか、キーボード右下のカーソルキーがほかのキーよりも一段下がった独立レイアウトになっている。カーソルキーは上下がやや狭いものの、そのほかのキーボード右下・左下にある特殊キーが小さいということもない。普段はデスクトップPCを使っているユーザーでも違和感は少ないだろう。

 ただし、一般的には「Esc」キーの真下に配置されることが多い「半角/全角」キーが「Esc」キーの右隣に配置されているのに注意したい。ほかの部分が大変使いやすいだけにこの点が異様に目立ってしまう。日本語環境でかなり使用頻度が多いキーだけにこのイレギュラーなレイアウトに戸惑うユーザーも多いと思われる。

 キーにはわずかなぐらつきが見られるが、クリック感、底つき感ともにしっかりしていて長時間のタイピングも快適だ。キーストロークは数値で見ると少ないようにも思ったが、クリック感があるおかげであまり感じなかったことを明記しておこう。キーボード右下に「Fn」キーが用意されていて、このキーとファンクションキーを同時に押すと輝度の調整やスピーカーのミュート、即時画面ロックなどができる。このFnキーを押すとF10キーの下に黄緑のLEDが点灯する。同じくナンバーロック状態でもLEDランプが点くため、誤操作で勝手にナンバーロック状態になってしまったときやFnキーがうまく作動しているかを視覚的にチェックできる。ちょっとしたことだが、ナンバーロックやFnキーが有効かどうかを目で判断できるモバイルノートPCはあまり多くないことを思えば、これの機能も分かりやすさへの配慮の1つと評価していい。

キーボードのピッチは19ミリ、ストローク1.7ミリ。独立したカーソルキーに離れたファンクションキー、打鍵感に優れたストロークなど使いやすい

 ポインティングデバイスは、タッチバッドと2個のクリックボタンで構成される。タッチパッド面はパームレストと段差があって、タイピング中に手が触れてもポインタが移動しにくいようになっている。また、FnキーとF9キーを同時に押すと設定画面などを呼び出すことなくタッチパッドのオン/オフができる。手のポジションを工夫してもついついポインタが誤動作する、といった悩みを抱えているユーザーには便利なショートカットキーだ。

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