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軽量/頑丈/スタミナの美しき共存――ソニー「VAIO type G VGN-G1KAP」モバイルノートPCの“真打ち”登場か!?(1/3 ページ)

» 2006年11月01日 13時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]
VAIO type G VGN-G1KAPは12月2日の発売予定。価格はオープン、実売予想価格は25万円前後だ

 日本のビジネスシーンにおいて最も広く使われているモバイルノートPCは、12.1インチ液晶ディスプレイを搭載した製品だ。このクラスにはLet's note W5/T5をはじめ、強豪がひしめいているが、ここにソニーが強力な新機種を送り込んできた。それが、「VAIO type G」だ。CPUに超低電圧版のCore Solo(CTOでは超低電圧版のCeleron Mも選択可)を採用し、2スピンドルモデルで約1116グラム、1スピンドルモデルで約898グラムと、12.1インチ液晶ディスプレイ搭載ノートPCでは最軽量を実現している。また、耐加重120kgfをうたう高い堅牢性と、約12.5時間という長時間のバッテリー駆動も兼ね備えており、ビジネスユーザーはもちろん、個人ユーザーにも見逃せないモバイルノートPCに仕上がっている。

 製品ラインアップの詳細はこちらに譲るとして、ここでは店頭販売の2スピンドルモデル「VGN-G1KAP」を紹介しよう。ちなみに、外観や内部構成の比較用に1スピンドルモデル「VGN-G1LAP」の写真も必要に応じて掲載しているので、併せて参照してほしい。

軽くて丈夫の秘密はカーボンにあり

 モバイルノートPCでは、軽さ、頑丈さ、バッテリー駆動時間の3点が重視される。しかし、軽くすれば頑丈でなくなり、バッテリー容量を大きくすれば重くなるため、これら3点のバランスを高いレベルで取るには、さまざまな仕掛けが必要だ。VAIO type Gでは、軽さと強度を両立するため、マグネシウム合金と比較して約30%の軽量化と約2倍の強度を実現するカーボン素材を多用した。上面と底面はカーボンを何層にも重ねたマルチレイヤーカーボン、パームレストはプラスチック樹脂に微細なカーボン繊維を練りこんだカーボンモールドを用いている。カーボン素材の多用により、内部の補強板やシールド板を削除しても強度や安全性が保てるため、軽量化が可能になった。また、薄型軽量のファンを新規に開発したほか、基板と一部のフレキシブルケーブルの接続にかさばるコネクタを使わず、直接接着するといった工夫も見られる。

写真左はVAIO type Gの底面(左)とVAIO type Tの底面(右)。type Tの底面はカーボンモールド製のため、電波漏れや安全規格を守るために金属のシールドが必要になるが、マルチレイヤーカーボンでは不要になり、約20グラム減の70グラムに軽量化された。写真右はVAIO type Gの冷却ファン(左)とVAIO type Tの冷却ファン(右)。銅製のヒートパイプを省いて、カーボン製のグラファイトシートを採用し、小型化と軽量化を果たした

 カーボン素材の多用のほか、堅牢性についてはHDD、液晶ディスプレイ、マザーボードの保護にこだわっている。HDDの保護は、ドライブの外周部を固定しつつ、衝撃が直接伝わらないように上下左右にクリアランス(隙間)を設け、従来より緩衝材を厚くした。液晶ディスプレイ部は0.2ミリ厚と非常に薄い液晶パネルを採用するが、衝撃を分散するフローティング構造(液晶パネルをネジ止めせず、ベゼルにはめ込んで固定)のマルチレイヤーカーボン製ハウジングにより、一点加圧にも強い構造としている。マザーボードの保護では、衝撃が集中しないように4本のネジの位置を工夫しつつ、クリアランスを確保したほか、ヒートシンク部の固定ネジをショックが伝わりやすい底面から離した。

写真左はVGN-G1KAP、写真中央はVGN-G1LAP(1スピンドル)の内部構造。光学ドライブの有無以外は、変わらない。左上にCPUとチップセット、左下にHDDを装備するなど、熱源はボディ左に集まっている。HDDの周囲はしっかりと固定されている。写真右は、VAIO type Gの液晶パネル裏面(左)とVAIO type Yの液晶パネル裏面(右)。従来は液晶パネルの基板やケーブルが液晶パネルの裏面に配置されていたため、衝撃が集中する可能性があったが、パネル自体がフラットな構造になったため、衝撃が分散する

 こうして確保した堅牢性だが、VAIOとしては珍しくテスト結果が数値で公開されている。揺れる満員電車を想定した平面加圧振動テストでは120kgf、部分的に圧力を加える1点加圧テストでは、上面と底面が手のひらサイズ(5×10センチ)で20kgf、全6面が親指サイズ(半径9ミリ)で7kgfをクリアしたという。また、落下テストについては、動作時では一般的なデスクの高さを想定した72センチ、非動作時では本体を小脇に抱えての歩行移動を想定した90センチの高さから落としても無事だとしている。これらの数値は保証されるものではないが、目安として高い堅牢性を備えていることが分かるだろう。

見た目とはアンバランスな軽さに驚く

 ボディはビジネスを意識したシンプルなデザインで、VAIOらしい独創性は影を潜めている。カラーは液晶ディスプレイ部が明るいシルバー、それ以外が暗いグレーを採用しており、なかなか重厚な雰囲気だ。しかし、手に持ってみると、見た目に感じる重さより軽いことに驚かされる。約1116グラムという重量は、非常に魅力的だ。付属のバッテリー(容量12.1ボルト 5800mAh)で、最大12.5時間の連続駆動をサポートする点もありがたい。本体の厚さは23.5〜25.5ミリと2スピンドル機としては薄く、バッテリーが後方や底面に飛び出すこともないため、カバンへすっきり収納できる。軽量さ、頑丈さ、スタミナに加えて、見た目の美しさも犠牲にしていないのは、ソニーならではのこだわりだ。

 ACアダプタもサイズが36(幅)×83.2(奥行き)×25.5(高さ)ミリ、重量が約170グラムと小型軽量だ。ACケーブルを使わずに直接コンセントに装着できるウォールマウントプラグアダプタも付属し、携帯性は高い。

本体は突起のないフラットなデザインが印象的。小型軽量のACアダプタが付属する(写真=左)バッテリーは本体後方に装着するしくみだ。標準512Mバイトのメモリはオンボードで実装され、1基の空きスロットに1GバイトのSO-DIMM(PC2-4200)を装着することで、最大1.5Gバイトまで増設できる(写真=左)

 インタフェースは、モバイルノートPCとして標準的な構成だ。アクセスしやすい前面にメモリースティックPROスロットとSDメモリーカードスロット、そしてサウンドコネクタを搭載。左側面にTypeII×1のPCカードスロットと1000BASE-T対応の有線LAN、右側面にDVD±R DL対応のスーパーマルチドライブとモデム、アナログRGB出力を備える。2基のUSB 2.0ポートは左右の奥に振り分けられており、使いやすい。

液晶ディスプレイ部はラッチレス構造を採用。前面には吸気用のホールが多数設けられている(写真=左)。背面はバッテリーが占有する(写真=右)
底面に向かって斜めにカットされた本体が薄さを強調する。排気口は左側面に配置(写真=左)。光学ドライブは右側面に搭載する(写真=右)
重なった2台のPCのうち、上が1スピンドルのVGN-G1LAP、下が2スピンドルのVGN-G1KAP。VGN-G1KAPはIEEE1394端子を搭載しない(写真=左)。キーボード右上には2つのワンタッチボタンが用意されている。VGN-G1LAPは2つのボタンの機能をカスタマイズできるが、VGN-G1KAPは右のボタンが光学ドライブのトレイオープン専用ボタンになっており、左のボタンのみカスタマイズが可能だ(写真=右)

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