工人舎の8万9800円ミニノートPCを試す少ないボーナスでも安心!?(1/2 ページ)

» 2006年11月08日 09時30分 公開
[田中宏昌,ITmedia]

A5サイズのUMPC? タブレットPC? 答えは1スピンドルのミニノートPC

底面積はほぼA5サイズに等しいミニノートPC「SA1F00A」

 横浜を拠点に置く工人舎だが、昨年末に立ち上げた「APERA」ブランド以降、精力的にノートPCをリリースしている。以前のレビュー記事で掲載した「APERA SS」は、12.1インチの液晶ディスプレイを備えつつ最薄部18.6ミリで重量が約1.2キロを実現していたが、今回投入されたSA1Fシリーズは7インチのワイド液晶を搭載し、重量が約960グラムとさらに小型化と軽量化を達成しているのがポイントだ。

 同社のWebサイトで11月初頭から行われていたティザー広告では、液晶ディスプレイ部分が180度回転して折りたためるコンバーチブル型の写真や、両手でホールドして操作している写真が掲載されていたことから、タブレットPCあるいはUMPC(Ultra-Mobile PC)であることも予想されたが、実際はこちらの記事にもあるように、“本当のサブノート”をコンセプトにしたミニノートPCだった。

 小型ながらキーピッチ16.8ミリのキーボードや、2ボタン式のタッチパッドとスティックポインタを備え、2基のUSBポートやアナログRGB出力、2つのメモリカードスロットも実装するなどミニノートPCでは犠牲になりがちな拡張性も確保されており、まさにツボを押さえたモデルに仕上がっている。HDD容量とOffice Personal Edition 2003の有無で2モデル用意されるが、ここでは容量40GバイトのHDDを搭載したOfficeなしモデル「SA1F00A」を中心に取りあげる。

低価格の秘密はCPUと液晶ディスプレイにあり

CPUやグラフィックス、メモリコントローラなどを統合したGeode LX 800@0.9W

 一般的に、PCはサイズが小さくなればなるほど高価になりがちである。CPUに発熱の少ない選別品(超低電圧版など)を使ったり、高精細な液晶ディスプレイを搭載したり、強度を保つためにさまざまな技術を用いるからだ。その点、本機は8万9800円という“劇的”とも言える低価格を実現するべく、2つのアプローチを取っている。

 1つはCPUだ。詳細はこちらの分解記事でも述べたが、本機には組み込み用CPUのGeode LX 800@0.9Wを採用する。動作クロックは500MHz(800はモデルナンバー)で、SSEもサポートしない非力なCPUだが、そのぶん価格が安く、何より低消費電力ですむのが身上だ。Geode LX 800@0.9WはCPUだけでなく、グラフィックス機能やメモリコントローラなどを統合したチップであり、チップ自体の最大TDPは3.9ワット、平均では1.8ワット(型番にある0.9ワットはその中のCPUだけのTDPを抜き出したもの)と、Core 2 Duo/Core DuoやTulion 64 X2/Mobile Sempronといった個人向けPCで主流のモバイルCPUに比べて、消費電力が格段に低くてすむ。

 消費電力が低いことは、放熱機構が簡略化できることを意味する。実際、本機はファンレス仕様であり、システムに高い負荷をかけても無音に近い状態で扱えるのは大きなアドバンテージだ。既存のモバイルPCで冷却ファンを省いた製品もあるが、場合によっては本体の発熱が気になるときがある。しかしながら本機では絶対的な発熱が少ないため、負荷をかけ続けてもCPUが位置するキーボードの右側部分で40〜42度程度ですみ、不快に感じることはなかった。ただ、冷却ファンを持たないゆえに長時間使っているとマシン全体が熱を帯び、また液晶部分を折りたたんだリバーススタイルで利用していると熱がこもりがちだった。

 優れた静音性の半面、低消費電力ゆえにPCのパフォーマンスがどの程度かは気になるところだ。今回は試作機ゆえベンチマークテストは行えなかったが、プリインストールされているWinDVD 5を使ってDVD-VideoのVOBファイルを再生したところ、音声が正常に再生できず(途切れ途切れになる)コマ落ちも激しかった。本機をいわゆるメディアプレイヤーとして活用するのはかなり制限を受けそうだ。逆にメールの作成やWebの閲覧、PowerPointを使ったプレゼンテーションといった用途では不満を感じず、このあたりは製品コンセプト通りに“サブノート”として割り切りが必要となるだろう。

液晶やキーボード、パームレストなどを外した本体部分(写真=左)。Geode LX 800@0.9Wには薄い電導板が装着されている。中央の写真はサウスブリッジに相当するコンパニオンチップCS5536だ。Geode LX 800@0.9Wは500MHzで動作しているのが分かる(写真=右)

 もう1つのアプローチは液晶ディスプレイだ。本機にはカーナビなどで採用例が多い、LEDバックライトの7インチワイド液晶パネルを搭載する。視野角は上下方向がやや狭いが、左右方向はそれなりにあり、直射日光下でも画面内容を把握することは可能だ。ちなみに、液晶の明るさは7段階に調節できる。

 液晶前面に光沢パネルが装着されており(着脱不可)、見栄えのある画面が楽しめる半面、低反射処理がなされていないのでパネルへの映り込みはそれなりにある。また、画面解像度は800×480ドットとかなり狭く、プレビューモードで最大1024×600ドットまで表示が可能なものの、静止画はともかくテキストなどは視認性が著しく劣ってしまう。しかも出荷時は1024×600ドットに設定されているため、初回起動時に面食らうユーザーがいるかもしれない。Fn+Escキーの組み合わせで解像度を変更できるとはいえ、少々不親切な感は否めない。マシンパフォーマンスと同様、画面表示回りも妥協が強いられる部分と言えるだろう。

 一方でボディは高価なカーボン素材やマグネシウム合金を使わずに、ABS樹脂を採用しながら耐荷重100kgfを実現する。底面積はジャストA5サイズを若干上回る218×163ミリで、ボディの厚さも25.4〜33ミリとスリムではないものの片手でホールドしやすい形状だ。天面と底面ともに目立った突起がなく、カバンへの収納も問題ない。

7インチのワイド液晶ディスプレイを搭載する(写真=左)。前面に光沢パネルが装着されており、見栄えのよさを引き立てると同時に液晶の保護を兼ねる。画面解像度は800×480ドットだが、出荷時は1024×600ドットのプレビューモードになっている。Fn+Escキーで画面解像度を切り替えよう。「AMD Custom Driverのプロパティ」ではガンマやコントラストなどの微調整が行える(写真=右)

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