業務用キャプチャーカード「DecLink」シリーズや、各種映像関連ソリューションを発売しているBlackmagic Designから、PCI-Express接続のデジタルビデオキャプチャカード「Intensity」が発売され、この製品のデモを兼ねたワークショップが11月28日にアップルストア銀座で開催された。
Intensityは、HDMIの入出力に対応したキャプチャカードで、HDMIから入力されたデジタル映像データを、PCにデジタルのまま保存できる。HDMI出力単位から録画した映像を出力したり入力した映像をそのままスルーで出力もできる。フルHD対応で転送するデータ量が大きいため、PCI-Express X1接続となっている。対応するOSはMac OS XとWindows XP。価格は3万8850円と従来の同種製品と比較して非常に低価格であることが最大の特徴だ。
デモでは、Mac Proに2枚のIntensityを組み込んだ構成に、ソニー製のHDVビデオカメラ「HDR-HC3」を接続し、出力はビクター製リアプロジェクション型フルハイビジョンテレビが使用されていた。
最初に行われたのは、2台のカメラを接続し(実際には1台のHDVカメラとハイビジョンプレイヤー)、スイッチングで簡単に映像を切り替える実演だ。スーパ−インポーズ式の画面切り替えがスムーズに(約1秒ほど)行われ、その状態もそのままキャプチャができるというもの。なお、HDR-HC3の映像は、いったん録画されたものではなくCCDからスルーで出力されたものだ。そのため、録画データのように色空間は圧縮されておらず、8ビット無圧縮の4:2:2で録画することができる。この映像をそのままスルー出力することで放送の中継用にも使えるほどクオリティの高い映像となる。業務用ハイビジョンカメラではなくコンシューマー用のHDVカメラでも高品質な映像を出力できることで、放送機材の大幅なコスト削減にも役立つとのことである。2台のカメラ切り替えを行うためのソフト「OnAir 2.0」は、OS X専用であるため、Windowsではカメラ1台のみのサポートとなってしまう。複数のカメラを利用したい場合には、Mac ProなどでOS X環境を用意する必要がある。
もう1つのデモは、Macintosh用の映像編集ソフト「FinalCutPro」を使ったノンリニア編集が行われた。編集結果をそのままHDMIから出力してハイビジョンテレビでモニタリングする実演も行われた。FinalCutPro上でエフェクトをかけたものがそのままリアルタイムでハイビジョンテレビで確認できるなど、編集時の使い勝手が向上する。
今回のワークショップは、アップルストアで開催されたこともあり、Mac Proをベースにしたデモが行われたが、Intensity自体はWindows XPにも対応している。Windows用ドライバは現在β版とのことだが、近いうちに正規版がリリースされる予定だ。Windowsの場合は、Adobe Premire ProやAdobe After Effetsなどのアプリケーションを使って編集作業が行える。
PCでIntensityを動作させるための最低必要条件は、同社製品「DecLink」と同等で、デュアルコアのXeon Dualで動作クロック2.8GHz以上、Pentium 4/3GHz以上、メモリ2Gバイト以上となる。とくにHDDに対する要求は高く、120Mバイト/秒の書き込みに対応できる環境が求められているため、実際には複数のSerial ATA HDDを組み合わせたRAID 0のシステムが必要になる。
とはいうものの、デジタルハイビジョン映像の編集が、個人レベルでも可能となるというのは非常に魅力のある製品と言える。HDR-HC3などのHDVカメラを購入し、これから映像編集にチャレンジしようと思っている人なら、ぜひチェックをしておきたい製品だろう。
なお、IntensityのHDMI入力は、デジタルTV放送などで著作権保護のために利用されているHDCPには対応していない。そのため、デジタルチューナーやPlayStation 3などを接続してもキャプチャはできないようなので、TV番組を録画しようと思っていたり、PS3を接続してゲームができないかと考えている人は、注意してほしい。
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