第2回 注目の最新6モデルをチェックする小型フォトプリンタ徹底攻略ガイド(1/2 ページ)

» 2007年02月21日 15時00分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

 前回は、小型フォトプリンタの概要とエプソン、キヤノン、日本HP各社のラインアップを整理したが、今回はその中から注目の6モデルを選び出し、上位機と下位機のカテゴリーに分けてインプレッションをお届けする。

最新技術と多くの機能を備えた上位モデル

Colorio me E-700(エプソン) 実売価格3万2000円前後

ボディデザインを一新した「Colorio me E-700」。未使用時はプリンタとは思えない形状になる

 Colorio me E-700は、エプソンの小型フォトプリンタでフラッグシップに位置付けられるモデルだ。複合機や単機能プリンタと同様に、本モデルにも同社の最新技術が投入され、印刷速度の劇的な向上を果たしている。まず新開発のインクヘッド技術「Advaced-MSDT」(Multi Sized Dot Technology)の導入により、最小ドロップサイズはE-200と同じ2ピコリットルのままで階調性の向上と粒状性の低減を両立。加えて、印刷ヘッドの応答周波数のアップにより、L判フチなしの印刷速度はE-200の74秒から35秒にまで高速化された。

 また、新開発の画像処理エンジン「REALOID」(リアロイド)の搭載によって、ダイレクト印刷時の処理速度(メモリカードからの読み込みや印刷画像のレンダリングなど)が大きく改善されているのも見逃せない。

 一方で、初代Colorio meから続いていたボディデザインにもメスが入れられている。今回はIndustrial Facilityのサム・ヘクト氏と共同開発を行うことで、凹凸の少ない、一見するとプリンタであることが分からないデザインに生まれ変わった。上部のカバーを開け、開くボタンを押して排紙トレイを手前に倒すとプリンタらしいスタイルへと変化する。操作ボタン類が適度に大きく、機能が分かりやすい点は好印象だ。ただ、収納時のサイズは215(幅)×152(奥行き)×176(高さ)ミリで、重量は約3キロ、容積は約5.75リットルと大柄である。

 液晶ディスプレイは、E-200の2.4インチを一回り大きくした2.5インチサイズを採用しており、視認性は悪くない。メモリカードスロットは4スロット(CF TypeII、メモリースティック、SDメモリーカード/MMC、xDピクチャーカード)あり、SDHC規格もサポートしている。接続性では、PictBridgeやUSB DIRECT-PRINTのサポートに加え、新たにIrSimpleに対応することで、カメラ付き携帯電話から高速にデータを転送できるようになった。オプションでUSB接続のBluetoothユニット(Bluetooth 2.0+EDR:実売価格4000円前後)が用意されるなど、このあたりは万全の構えだ。

 注目のDVD-ROM/CD-RW対応コンボドライブは、本体下部に内蔵されている。スロットインタイプで右横からメディアの出し入れを行うタイプだ。PCを使わずに本機だけでCD-R/RWメディアへの書き込み(8倍速)や呼び出しが可能なのは便利だが、PC接続時に外部ドライブとして利用できなかったり、DVD+R/RWメディアの読み出しができず(DVD±R DLメディアも含む)、今後の進化を期待したい。

 サポートする用紙は、はがきやL判、同社が推進するKGサイズ(102×152ミリ)、ワイドモードで撮影した画像向けの写真用紙<光沢>ハイビジョンサイズ(102×181ミリ)などが挙げられる。なお、オプションのリチウムイオンバッテリー利用時は約100分の連続印刷(L判写真約120枚/KGサイズ約100枚)が可能となっている。

 このように多機能な小型フォトプリンタだが、唯一気になるのはインクが前モデルの顔料6色から染料4色へと変更されている点だ。画質や耐候性を向上した「つよインク200」に対応することで画質にどのような変化が生まれたのかは、次回以降の比較記事で明らかにしていきたい。

 本機の実売価格は3万2000円前後と小型フォトプリンタとしては高価で、数千円を追加するだけでミドルハイクラスの複合機が購入できてしまう。その原因は搭載するコンボドライブによる部分が大きく、本機からコンボドライブを省いたE-500は実売2万5000円前後で購入できる。約7000円の差を高いと見るか安いと見るかが購入の目安となるだろう。

 ちなみに、Windows Vistaについてはこちらのページで32ビット版と64ビット版のドライバが提供中で、添付のアプリケーションソフトEPSON Creativity SuiteMyEPSONからダウンロードが可能だ。

プリント時のE-700(写真=左)。スロットインのコンボドライブは右側面に内蔵されている(写真=右)


PIXUS mini 260(キヤノン) 実売価格2万円前後

プリント時は横置きだが、持ち運びや収納時は縦置きも可能なPIXUS mini 260

 従来のSELPHYブランドから、PIXUS miniシリーズへと変更された第1弾の最上位機がPIXUS mini 260だ。PIXUSシリーズを彷彿とさせるデザインが特徴的で、各部を収納することによりボディサイズは226(幅)×225(奥行き)×82(高さ)ミリと比較的コンパクトにまとまっている。また、重量は約2.2キロ、容積は約4.17リットルあるが、大きな取っ手が付いており持ち運びには苦労しない。

 インクはBkを含めた染料4色一体型(BCI-19)で、最少インクドロップサイズは1ピコ、PC接続時は9600×2400dpiの高精細印刷が可能な実力派という側面も持つ。複合機の中上位機で導入された新ユーザーインタフェース「Easy-Scroll Whell」の採用や、2.5インチTFT液晶ディスプレイを搭載するなど、最新技術が投入されているのも目を引く。特に後者はほぼ水平に近い状態でも表示内容が確認でき、競合機と比べても明るく見やすい画面は印象的だ。

 バッテリーとキャリングケースがセットになった別売のポータブルキット(実売7600円前後)を用意すれば、L判約100枚の連続印刷が行えたり、赤外線を使ってカメラ付き携帯電話から直接プリント(IrSimpleは非対応)できたり、USB接続のBluetoothモジュール(Ver.1.2)がオプションで用意されていたりと、上位モデルらしいスペックを備えている。液晶ディスプレイがポップアップするギミックは持たないが、本機を設置して天面のカバーを開けると給紙トレイが手前に倒れる仕組みになっているので使い勝手は悪くない。

プリント時は横置きとなる

 ただ、高さが82ミリとスリムなボディゆえ、メモリカードスロットやPictBridge用のUSB端子、赤外線受光部が本体前面ではなく右側面にまとまっており、慣れるまでは違和感を覚えた。また、ACアダプタのサイズはエプソン製品に次ぐ大きさで、下位モデルのmini 220が電源を内蔵し、電源コードを接続するだけのスマートさであることを考えると、少々物足りなさを感じた。

 いくつか苦言も呈したが、本機の実売価格は2万円を切っており、かなり注目度の高いモデルであるのは間違いない。インクジェット方式の小型フォトプリンタ本格参入第1弾ということで、今後の進化にも大いに期待できる製品と言えそうだ。なお、Vista対応については32ビット版/64ビット版ともドライバがリリースずみで、Easy-PhotoPrintやEasy-LayoutPrintなどの専用アプリケーションも一部を除いて(Easy-WebPrintや3D-PhotoPrintなどは非対応のまま)対応版がダウンロード可能だ。


HP Photosmart A716(日本ヒューレット・パッカード) 実売価格2万5000円前後

外観は従来機を踏襲しているが、細かな部分で使い勝手の向上が図られている「HP Photosmart A716」

 日本HPのHP Photosmart A716は、ストレージ用のHDDを本体に内蔵したユニークなモデルだ。ハードウェアの強化点は少ないが、HDD容量を従来の1.5Gバイトから4Gバイトに増やしたり、操作ボタンの配置や構成をブラッシュアップして使い勝手を向上している。

 プリントエンジンは前モデルのHP Photosmart 475と同じだが、インクは速乾性や耐擦過性、耐水性を向上した3色一体型(CMY)の新インクタンク(HP110)に変更されている。最少インクドロップサイズが、5ピコリットルと競合製品に比べ若干劣るが、はがきやL判だけでなく、2L版にもプリントできるのはHP Photosmartシリーズならではのアドバンテージだ。

 用紙の種類やサイズが自動的に判別されたり、排紙トレイを引き出すと液晶ディスプレイがポップアップすると同時に給紙トレイまで開き、ワンタッチで利用できる状態になったりと、ユーザーの負担を極力減らす工夫が見られるのもうれしいところだ。本機から、ワンタッチでメモリカードから内蔵HDDに画像データをコピーするボタンが設けられているのも細かなバージョンアップと言えるだろう。収納時のボディサイズは252(幅)×118(奥行き)×126(高さ)ミリと前モデルから若干大きくなっているが、重量は約1.57キロ、容積は約3.8リットルとコンパクトで設置場所には困らない。

プリント時のA716

 標準でTV出力機能を備えており、添付の赤外線リモコンを使ってTV画面を見ながらの印刷やスライドショー操作が行えるのもライバル機には見られない機能だ。別売の内蔵バッテリー(HP Directplus価格9807円)を使えば最大75枚のL判印刷が可能で、オプション製品には車から電源を取る自動車用DCアダプタや専用キャリングケースまでも用意されている。積極的に外に持ち出して本機を利用してもらいたいという意図を明確に打ち出している点が興味深いところだ。ほかにも、Bluetooth 2.0+EDRに対応したUSB接続のBluetoothモジュール(HP Directplus価格4830円)も接続できる。

 赤外線を使った携帯電話からの印刷に非対応なのは残念なところだが、静止画だけでなく拡張子AVIのMotion-JPEGやQuickTime、MPEG-1の動画フォーマットをサポートしているのは珍しい。本機をPCに接続すれば内蔵HDDを外部ストレージとして利用可能だが、前述の機能を考えるとPCを使わずにスタンドアロンで使い倒すのがふさわしいと言えそうだ。

 なお、原稿執筆時はWindows Vistaの最小ドライバが提供中で、添付アプリケーションのVistaサポートは2月下旬から行われる予定だ。

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