Windows Vista世代のPCは進化した“テレパソ”で決まり!+D Shopping バイヤーズガイド(1/2 ページ)

» 2007年02月21日 12時00分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

 Windows Vistaに合わせて発表された2007年春モデルで目立つのが大画面液晶の一体型デスクトップPCにAVノートPC、そして新たにTVをディスプレイ代わりに使うエンタテインメント重視の「テレビサイドPC」だ。今回は各社のフラッグシップモデルを中心に、テレビパソコン(通称テレパソ)をチェックして、Vista時代のトレンドを確認してみよう。

テレパソはHome Premiumが主流に

 Windows XP世代には、家庭向けPCのほとんどが「Home Edition」を採用していた。しかしWindows Vista世代となる2007年の春モデルを見てみると、基本機能のみのHome Basicと、AeroといったアピアランスやMedia Centerなどのエンタテインメント機能を搭載したHome Premiumとの2つのグレードに分かれているようだ。

 TV機能を搭載したPCのほとんどはMedia Center機能付きのHome Premiumを採用しているが例外もある。まず日立製作所の「Prius One type S AW33S4T」はMedia Center抜きのHome Basicを採用し、独自のTVコントロールソフトを追加添付した製品で従来のWindows XP Home EditionにTVコントロールソフトを載せたイメージになる。Home Premiumでしか利用できない「Winodws Movie Maker HD」「Windows DVDメーカー」といった機能も、Home Basicにサードパーティ製品を追加することで代替できるといっていい。サードパーティ製ソフトで実現できないのは「Aero」や「Flip 3D」といったアピアランスぐらいなので、その機能を使わなければ問題はない。

 ソニーの「VAIO Type A VGN-AR92US」のように、“全部入り”の「Ultimete」を採用している製品もある。UltimeteにあってHome Premiumにない機能とは、例えば「Windowsシャドーコピー」や「暗号化ファイルシステム」といったバックアップ機能やセキュリティ機能、ドメインログオン機能などだ。Windows Vistaでは購入後でも簡単に上位のEditionにアップグレードできるとはいえ、こうしたVistaのグレードによる機能の違いは購入する前に確認しておきたい。

TVにつなぐ「テレビサイドPC」という新しいスタイル

 今回登場した製品で最も目新しいラインアップといえば、「TVにつないで楽しむ」PCだろう。このコンセプトの先駆けは正確にいうとシャープの「インターネットAQUOS」となるが、2007年春モデルで出現した「TVサイドPC」は汎用のHDMI端子をTV接続の標準インタフェースに採用しているところが新しい。このカテゴリーに当てはまるのが、ソニーの「VAIO TP1」と富士通の「FMV TEO」だ。

 VAIO TP1は、従来のPCのイメージとはまったく異なる、丸いパンケーキ状の筐体デザインもユニークだ。液晶、もしくはプラズマを使ったパネルの普及でTVもスタイリッシュになってきている。そうしたTVと組み合わせてリビングに置くPCとしては、「PCと意識させないデザイン」が求められるようになってきた、その典型的な表れがVAIO TP1のスタイルといえる。FMV TEOも白を基調としたカラーリングを採用しているが、そのスタイルは従来からあるAVデッキを意識したPCのイメージを残している。

 両製品がノートPC向けCPUと3.5インチの大容量HDDを組み合わせているのも静音性能と画像を記録するための大容量ストレージが必要となるAV利用を強く意識した構成といえる。ただし、VAIO TP1がノートPC向けのメモリモジュールを採用しているのに対してFMV TEOはデスクトップPC向けのメモリモジュールを採用している。増設コストで言えばFMV TEOがすこし安くなる。VAIO TP1は標準で地上アナログチューナーを搭載し、「VGF-DT1」のセットモデルあるいは「VGF-DT1」を追加することで地上/BS/110度CSデジタルチューナーが利用できる。FMV TEOは地上/BS/110度CSデジタルチューナーの搭載モデルと非搭載モデルの2つのラインアップとなっている(どちらのモデルでも地上アナログチューナーは搭載しない)。

 なお、両製品の価格はともに、両社のフラグシップラインアップの製品と比べるとかなり低く設定されている。「家電感覚」で多くのユーザーに使ってもらいたいためと思われるが、コストを抑えるためにハイビジョン映像をそのまま残せる次世代DVDは搭載していない。

高解像度液晶と次世代DVDで体験できるフラグシップPCの楽しみかた

 各メーカーのフラッグシップマシンとなるデスクトップPCとなると、大画面液晶ディスプレイを搭載した一体型だろう。30インチクラス、20インチクラスの液晶を搭載した製品が各社から登場している。Windows Vista、デジタルハイビジョンといった時代の流れに乗りたいユーザーなら、高解像度の液晶パネルは購入のときにチェックしておきたいポイントだ。

 富士通の「FMV DESKPOWER TX95U/D」は37インチワイドのフルスペックHDパネルを、日立製作所の「Prius One type W」は20.1型ワイドで1680×1050ドットパネルを採用している。フラッグシップクラスのノートPCでも、高解像度液晶ディスプレイを搭載したモデルに注目したい。17インチワイド液晶ディスプレイ搭載モデルでは、東芝の「Qosmio G30」とソニーの「VAIO Type A VGN-AR92US」が1920×1200ドットを、富士通の「FMV BIBLO NX95U/D」が1440×900ドットを表示できる。デジタル放送を楽しむときに高解像度を表示できるディスプレイは高画質化をもたらしてくれるし、Windows Vistaを使うときには高解像度ディスプレイを使うことでガジェットをたくさん表示してもワークエリアを十分確保できるなど、ユーザーの使い勝手を考えると高く評価できる。

 TV機能を楽しむうえで気をつけておきたいのがTVコントロールソフトだ。これまでは各社が独自に開発して添付していたが、Windows Vistaの導入によってMedia Centerへと切り替わった製品が多くなった。従来モデルを使っていたユーザーは操作方法の違いに戸惑うこともあるだろう。また、Media Centerは基本的にアナログチューナーのみの対応となっているのでデジタル放送の操作では各社独自開発のソフトを使わなければならない製品も多い。利用するTVの種類によって、Media Centerと似た操作系で使えるのか異なる操作系となってしまうのかは、リビングで多くの人に使ってもらうようになるPCにとって意外と重要なチェックポイントになる。

 搭載するチューナーの構成も製品によって異なっているのに注意したい。地上デジタルのみのモデルや地上/BS/110度CSチューナーを搭載したモデル、アナログチューナーの搭載数など多くのパターンが存在するからだ。とくにノートPCでは地上デジタルのみと搭載するモデルも多い。アナログチューナーに関しても例えば1基のみ、あるいは2基搭載するモデルが存在する。

 録画した番組の置き場所となるHDDをチェックすると、フラッグシップモデルでは、デスクトップPCもノートPCも複数のHDDを搭載できる製品が多い。ノートPCではソニーの「VAIO type A VGN-AR92US」は2基の2.5インチHDDを搭載して最大400Gバイト、デスクトップPCではソニーの「VAIO type R VGC-RM91S1」が6台の3.5インチHDDで最大3テラバイトの容量を実現している。また、メディアで保存することを考えると、記録型のHD DVDやBlu-rayといった次世代DVDドライブを搭載しているかどうかもチェックしておきたいポイントになる。

 今回紹介する製品はフラッグシップモデルを中心にピックアップした。そのため、ほとんどのモデルがデュアルコアCPUを採用している。デジタル映像の視聴や編集を考えればCPUの処理能力は高いに越したことはないし、Windows Vistaや実装されているTV機能を軽快に操作するためには処理能力の高いCPUが求められるようになる。メモリはおおよそ標準で1Gバイトといったところが目安になるだろう。ただし、快適に、そしてフルにWindows Vistaを利用したいのならばさらなる増設が必要。そんなときはメモリの最大搭載量もチェックしておきたい。

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