2008年の“円い”VAIOは「LinuxベースのHome Server」2008 International CES(1/2 ページ)

» 2008年01月07日 18時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 2008 International CESの正式開幕「前夜」となった1月6日(日本時間の1月7日)に、展示ブースを関係者に公開する「Sony Press Conference」が行われた。CESでは毎年恒例のこのイベントでは、日本で未発表のVAIOが展示されることでPCユーザーの注目を集めている。2007年は“円くて白い”TP1が登場してユーザーを驚かしたが、今年はどんなVAIOが姿をみせるだろうか。ここでは、2008年のSony press Conferenceに展示していた「見たことがないVAIO」を紹介しよう。

LinuxベースのVAIO Home Media Server

 2008年のVAIOも主役は「円い」PCだった。いや、そのうちの1つは“PC”と呼べないかもしれない。それが、見かけはTP1と同じながら、その役割と中身が大幅に変更されているという「VAIO Home Media Server」だ。

 まだ、市販も決定していない開発途上にある“コンセプトモデル”は、TP1と同じ直径27センチの円い筐体を採用しているが、その内部の構成はかなり異なる。「Home」「Server」という名前から、導入されているOSは注目の「Windows Home Server」と思いきや、Linuxをベースにソニーが独自に開発した「Home Server向けOS」が組み込まれている。内部を構成するパーツについては、まったく明らかにされていないが、「x86系のCPUではないもの」が搭載されているという。

VAIO Home Media Serverの「白くて円い」筐体はTP1とそろえたもので、TP1との“重ね置き”も考慮されているという
TP1と比べて背面はLANとUSBだけどシンプル。ただし、2台搭載したHDDを冷やすためにファンは双発になっている
ともにLinuxベースで動くVAIO Home Media ServerとVAIO Home Media Viewer

 Linuxベースで動くVAIO Home Media Serverは、TP1のようなメインマシンとして使うのではなく、NASのように使える「ファイルサーバ」としてデザインされている。そのため、ストレージメディア用のスロットなどはTP1と同じくらい充実しているのに対して、接続系のインタフェースは有線LANとUSBだけで、TP1に用意されていたTV関連のインタフェースやサウンド出力は省かれている。このあたりにTP1とVAIO Home Media Serverの違いが見えてくるだろう。

 VAIO Home Media Serverは「PCの扱いを難しいと感じるユーザー層でも、大量の画像データなどをファイルサーバで簡単に扱えるようにする」ために、サーバやそれに接続する周辺デバイスのコンフィグレーションも、「接続するだけで、ほぼ自動でできるようにする」ことを目標にしている。展示されていた試作機には、筐体内部に2台のHDDを搭載(それぞれ750Gバイト)しているが、こちらも扱いを容易にするためRAIDを構成していない。

 VAIO Home Media Severのパッケージは本体だけになる予定で、キーボードなどの入力機器は付属しないという。環境設定が必要な場合はネットワークで接続したPCから行うようになるなど、このあたりの使い勝手もNASに近い。ただ、Linuxベースであるため、「分かるユーザーならば、自分でカスタマイズも可能かもしれない」と開発スタッフはコメントしている。

 会場では、VAIO Home Media Serverと接続するデバイスとして「VAIO Home Media Viewer」も展示されていた。こちらも量産についてはまだ決定していない“コンセプトモデル”だ。

 無線LAN(IEEE 802.11n/g/b)に対応しており、VAIO Home Media ServerとLANを介して接続することで、本体内蔵の液晶ディスプレイ(解像度は800×480ドット)でVAIO Home Media Serverに保存されている画像データを再生したり、VAIO Home Media Viewerに用意されているスロットに差したストレージメディアの画像を再生したりできる。表示する画像でスライドショーを構成してBGMと一緒に再生することも可能だ。そのためのスピーカーもVAIO Home Media Viewerに搭載されている。

VAIO Home Media ViewerのデザインはVAIO type Lで取り入れられた「浮き上がるディスプレイ」に通じるものを感じさせる
ディスプレイを優先させたため、スイッチ類は背面に設置した
背面に用意されたUSBと下向きに開口部を開けたカードスロット

 VAIO Home Media Viewerの操作は基本的にリモコンで行うことを想定している。本体にも最小限のコマンドスイッチやボタン、上下左右方向にカーソルを移動させるスティックデバイスが用意されているが、背面に配置されているため、いまひとつ使いにくい。正面のほとんどをディスプレイパネルが占めているため、ユーザーとしては、タッチオペレーションをしたくなるところだが、「このデバイスは画質を最優先しているため、その妨げとなるタッチパネルは実装しない」と開発スタッフは説明している。

 展示されていた試作機では、画像を表示できる機能しか用意されていないが、ゆくゆくは動画の再生などにも対応できるか検討しているという。また、デモでは“画像の再生”というエンターテイメントの側面が訴求されていたが、開発スタッフの構想には、インターネットから取得した情報とローカルで持っているプライベートな情報をVAIO Home Media Viewerの内部で見やすいようにレイアウトして表示させる「家庭内情報表示端末」という使い方も想定されている。

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