今度のタブレットはひと味違う――「HP Pavilion Notebook PC tx2005/CT」これが世界シェアNo.1の実力(1/2 ページ)

» 2008年03月11日 11時11分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

10万円を切る新型タブレットPCが登場

「HP Pavilion Notebook PC tx2005/CT」

 日本ヒューレット・パッカードの「HP Pavilion Notebook PC tx2005/CT」は、同社のコンシューマー向けノートPCシリーズに加わった、ノート/タブレットの両機能を備えたコンバーチブルPCだ。OSにWindows Vista Home Premiumをプリインストールし、電磁誘導と抵抗膜の両方式に対応したタブレットをはじめとする豊富な機能と実用十分な性能を備えながらも、AMDプラットフォームを採用することで9万円台というリーズナブルな価格を実現しているのが特徴だ(3月11日現在)。直販サイトの「HP Directplus」では標準の「スタンダードモデル」のほか、発売を記念して特別にスペックを強化した「発売記念キャンペーンモデル」の2種類が販売されているが、ここでは後者を評価した。

HP Imprintによる「ZEN-design hibiki(響き)」をまとった個性的なデザイン

 廉価版とはいえ、同社製ノートPCらしいカッチリと剛性感の高い仕上がりは健在で、光沢感のある明るいシルバーとブラックのツートーンで仕上げられた外観も好印象だ。天板やパームレストに施された「ZEN-design」と呼ばれるデザインパターンは、HP Pavilion Notebook PCシリーズに共通する特徴だ。本機には「音や影響などが放射線状に広がっていく様をモチーフ」にした「hibiki(響き)」というパターンを天板とパームレスト面に採用している。

 これは成型過程でグラフィックパターンをボディ素材の内部に転写するテクノロジ「HP Imprint」によるもので、最終工程で表面に塗装を加える一般的な手法に比べて傷に強く、塗装のはげを防ぐことでデザインを長期間保てるという。美しい光沢の中にどことなく和風を感じさせるパターンがプリントされている様子は、漆塗りのような印象もうける。もっとも、ノートPC全体として見てこれを“美しい”と感じるかどうかは好みが分かれるところかもしれない。

 12.1インチワイド液晶ディスプレイを搭載したボディのサイズは、308(幅)×223(奥行き)×39(最薄部の厚さ)ミリとA4サイズよりひとまわり大きい。重量は、着脱式のDVDスーパーマルチドライブを取り外してウエイトセーバーを装着した最軽量時で約1.97キロ、標準の4セルバッテリーでの公称駆動時間は約2時間と、携帯に向いた仕様ではない。オプションでは約3時間の駆動が可能となる6セルバッテリーも用意されているが、重量は約100グラム強増加する。

光沢ブラックの天面には「ZEN-design hibiki(響き)」と呼ばれる独特のパターンがプリントされている(写真=左)。デザインパターンは好みが分かれるかもしれないが、傷に強く繊細なデザインを長期間保つことができるのは大きな魅力だ。左側面に内蔵されるDVD+R DL対応のDVDスーパーマルチドライブは、付属のウエイトセーバーと交換できる(写真=右)

専用ペンでも指でも入力できる新タブレットを搭載

 ワイド液晶ディスプレイのサイズは12.1インチで、画面解像度は1200×800ドットだ。ディスプレイ部分は中央の二軸ヒンジで180度反転させることができ、折りたたんだピュアタブレットスタイルで使うこともできる。ヒンジやロック機構の強度など、このあたりのメカニック部分は非常にしっかりしており不安は全く感じない。

 タブレット機能は、ワコムの「ペナブル・デュアルタッチ」技術の採用により、指などでの操作に対応したタッチスクリーン(抵抗膜方式)と、電磁誘導式の専用ペンによる操作の両方に対応する点が目を引く。ちょっとした操作をするだけの場合にわざわざペンを取り出す手間が不要なうえ、専用ペンを近づけるとタッチスクリーン機能が自動的にオフになる仕組みだ。普段は気軽に指でタッチ操作でき、ペン操作時は手のひらを画面に乗せてじっくり描画することが可能と、2つの方式の良い点を両立している。このあたりの使い勝手の良さは、ほかのPCでは味わえないものだ。

 ただ、液晶ディスプレイの視野角は従来機よりだいぶ改善されたものの一般的なノートPCに比べて上下/左右ともあまり広くなく、ピュアタブレットスタイルでの操作は快適とは言い難い。また、片手で持って使うには約2キロのボディが重く、立ちながら角度の調整をしてしばらく使ってみたが、重量から予想していた以上に疲労感を覚えた。

1280×800ドット表示に対応した12.1インチワイド液晶ディスプレイを搭載する(写真=左)。液晶ディスプレイを180度反転させるとピュアタブレットスタイルで利用できる(写真=中央)。消しゴム機能を備えた電子ペンは軽量で細かい操作に向く(写真=右)

Windows Vista Home Premiumには、標準で「Windows Journal」(写真=左)や「Snipping Tool」(写真=中央)などタブレットPC向けのツールが付属している。手書きの文字や図をそのまま保存でき、汎用の画像フォーマットに出力もできる。電子ペンの調整も細かく行える(写真=右)

ペン入力やタッチ操作のカスタマイズも詳細に行える

AMDプラットフォームを採用し、充実のインタフェースを装備

2基のメモリソケットは底面のカバー内にある。バッテリーの形状が特殊だ

 内部のスペックは、CPUにAMDのTurion 64 X2を搭載する。インテルのCore 2 Duoなどと同様、CPU内部にコア(計算を行う部分)を2つ内蔵するデュアルコアCPUだ。スタンダードモデルではTK-57(動作クロック1.9GHz)だが、本機はTL-60(2.0GHz)に強化されており、1.6〜1.8GHzあたりのCore 2 Duoに十分対抗できるパフォーマンスを持つ。

 メモリはDDR2-667 SDRAMを採用し、スタンダードモデルでは1Gバイト(512Gバイト×2枚)、本機では2Gバイト(1Gバイト×2枚)を備える。HDDはSerial ATAインタフェース対応の2.5インチタイプ(5400rpm)で、120Gバイトまたは250Gバイトが用意されている(評価機は後者)。この辺りの仕様は注文時にカスタマイズ可能だが、NVIDIA C51Mチップセット内蔵コア(GeForce Go 6150)のグラフィックス機能は強化できない。

 端子類は構成、種類も充実している。1000BASE-T対応の有線LAN、IEEE802.11n/a/g/b準拠の無線LAN、Bluetooth 2.0、56kbps対応のFAXモデムといった通信機能のほか、3基のUSB 2.0ポート、ExpressCard/34スロット、SDメモリーカード/メモリースティック/xD-ピクチャーカード/MMCなどが使えるメモリカードスロットを装備。さらにアナログRGB、S-Video、拡張ポートのExpansion Port 3(対応周辺機器は国内未販売)などを用意する。USB 2.0ポートが左側面になく背面にあったり、ケーブルを接続する端子が右側面に集中しているが、これはピュアタブレット状態での接続性を確保するためと思われる。

前面には電源スイッチや無線LANのオン/オフスイッチ、赤外線受光部や2基のヘッドフォン端子(1基はS/P DIF対応)がある(写真=左)。背面は排気口とFAXモデム、2基のUSB 2.0ポートが並ぶ(写真=右)
左側面にはDVDスーパーマルチドライブやメモリカードスロット、ExpressCardスロットが並ぶ(写真=左)。右側面には電子ペン収納口やギガビット対応の有線LAN、アナログRGB出力、S-Video出力がある(写真=右)

 次のページでは入力環境やPCのパフォーマンスを見ていこう。

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