ケータイで自宅PCの動画を再生──ドコモの「ポケットU」はどこまで使える?(1/5 ページ)

» 2008年07月08日 16時25分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
photo 自宅のPCに保存する動画、音楽、画像、ドキュメントの各ファイルを携帯でいつでも表示できる「ポケットU」サービス

 NTTドコモは新サービス「ポケットU」を6月6日に開始した。ポケットUはユーザーのPCとFOMA端末間にセキュアな接続環境を提供し、携帯のiモードブラウザでPC内のコンテンツを再生/閲覧できるようになる。いわば、PCを自分専用のiモードサーバ化できるサービスである。

 ポケットUのサービスポイントは2点。Webサーバソフトが提供されること、そして、ユーザーのPCとFOMA端末間にセキュアな接続環境が提供されることだ。利用料金は月額525円、別途パケット定額プラン(パケ・ホーダイ/パケ・ホーダイフル/Biz・ホーダイ/定額データプラン HIGH-SPEED/定額データプラン 64K)とともに利用する。

 導入においては、常時接続環境のPCがあれば特別な知識はほとんど必要ない。PCをブロードバンドルータに接続し、プライベートIPアドレスで家庭内LANを構築──よくある一般ユーザーの環境でももちろん大丈夫で、ブロードバンドルータの設定は必要ない。唯一、PC側のファイアウォール設定を少々変更するくらいだ。Windowsファイアウォールとファイアウォール機能を持つ主要セキュリティソフトの設定方法はこちらに詳しく解説されているので、これを参照しながら設定すればよい。

PCを自分専用のiモードサーバに変身させる「ポケットU」

 では、もう少し具体的にサービスの内容を確認していこう。ポケットUはWindows用にWebサーバとコンテンツ変換機能を持つ「ポケットUソフト」が提供され、このソフトをPCにインストールすると、iモード用のWebサーバとFOMA端末で再生可能な形式にデータを変換する機能が実装される。さらにドコモが提供するゲートウェイサーバへ、ポケットUソフトが自動的にVPN接続。FOMA端末からゲートウェイサーバを経由してVPN接続されたPCへアクセスし、PC内のデータを再生/閲覧する仕組みになる。

 ポケットUソフトは複数のPCへインストールでき、同時稼働も可能。1つのブロードバンド接続環境(1つのルータ配下)に接続するPCはもちろん、まったく異なる場所のPCでもよい。例えば、自宅とオフィス(こちらは許されるならば)のPCでそれぞれポケットUソフトを稼働させ、随時必要なデータへ自由にアクセスする利用シーンが考えられる。どのPCにアクセスするかはFOMA端末側で選択できる。

 FOMA端末には専用アプリなどは必要なく、端末に標準で備わるiモードブラウザとコンテンツ処理機能をそのまま利用する仕組みだ。ポケットUに契約するとiモードのマイボックスに“ポケットU”が追加されるので、これを選択するだけ。動画と音楽データはiモーション(Mobile MP4)形式に、オフィスドキュメントはPDFファイルに「ポケットUソフト」が事前に変換し、FOMA端末で変換後のファイルを受信して再生、閲覧できるようになる流れだ。

 対応端末はドコモの902iシリーズ以降、703iシリーズ以降(オフィスドキュメントの閲覧はPDFビューア機能も必要)。70xiシリーズは最近の端末でもPDFビューア機能を備えない機種があるので、オフィスドキュメントの閲覧を主とする場合は若干の注意が必要だ。

 対応するファイル形式は、動画データがAVI/MPEG-1/MPEG-2/3GP/WMV、音楽データがMPEG4-AAC(HE-AAC含む)/3GP/WAV、静止画がJPEG/GIF/BMPとなる。AVIは、公式にはDVと無圧縮のみとあるが、対応するコーデックがPCにインストールされていればDivXなども問題なく使用できた。ただ、音楽データはMP3やWMAに対応しないのが少し気になるところか。

 FOMA端末でダウンロード保存したデータは端末とFOMAカードの製造番号とをひも付けて暗号化され、どちらかが異なると再生できない仕組みだ。ポケットUの利用シーンは友人などの不特定多数の人を含めたファイル共有でなく、プライベートのPCに保存する動画データや音楽データを自分の携帯で自由に利用できることにあるので、利用の制限自体はトレードオフとして納得できる範囲だろう。

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