一見地味ながら意外と役立つ改良といえるのは、基本補正パネルの1項目である「明瞭度」のマイナス設定が可能になったこと。明瞭度とはバージョン1.1から追加された機能で、画像の輪郭部のコントラストを調整する働きを持つ。
バージョン1.4までは明瞭度を「0」から「+100」の間に設定することで、画像にメリハリや立体感を与える役割りを担っていたが、これに加えて新バージョン2.0では「0」から「−100」の間に設定することで、画像に薄衣をかけたようなソフトタッチに変換できるようになった。
画像周辺部の明るさを補正する機能にも改良が施され、「レンズ補正」と「切り抜き後」という2つの補正が可能になった。「レンズ補正」は、従来の「周辺光量補正」と同じで、元の画像の周辺部の明暗を調整する機能。一方の「切り抜き後」では、切り抜き機能によってトリミングした画像に対しても周辺部の明るさ補正ができる。
現像モジュール内のそのほかの主な改良としては、ワンタッチで補正を行う「自動補正」の精度をより高めたことや、キーボードショートカットの追加、明暗別色補正パネルの操作性の改善などが挙げられる。また、ノイズ軽減やシャープネス処理を行うディテールパネルには、画像の一部分を等倍表示する機能が加わった。
さらにプロ向けフォトレタッチソフト「Photoshop CS3」との連携が強化され、従来のようにTIFFやPSDファイルに書き出すことなく、Lightroom 2で扱っている画像をPhotoshop CS3で直接開くことが可能になった。
Lightroom 2上でさまざまな処理を施したRAW画像は、Photoshop CS3上では「スマートオブジェクト」として扱える。つまり、色や明るさ、シャープネスなどの補正を元画像に直接適用しない非破壊編集を維持しながら、Lightroom 2とPhotoshop CS3の間を行き来できるのだ。
また、Lightroom 2上で複数の画像を選択してPhotoshop CS3で開き、「パノラマに結合」や「HDRに統合」、「レイヤーとして開く」といった機能も利用できる。
続いて、画像管理を行うためのライブラリモジュールの変更点をチェックしよう。作業の基本的な流れはこれまでと変わらない。まず、現像したい画像をファイルまたはフォルダ単位でライブラリに読み込むことから作業を始める。
読み込んだ画像はサムネイルとして一覧表示(グリッド表示)され、1枚表示(ルーペ表示)、比較表示、選別表示にも切り替えられる。そして、個々の画像にフラグやレーティング、カラーラベル、キーワードなどを設定したり、コレクション機能でグループ分けしたりできる。撮影日や使用カメラ、レンズなどのExif情報(メタデータ)を表示したり、メタデータによる分類も可能だ。
こうした画像管理の機能が極めて多彩であることは、Lightroomの特徴の1つだが、従来は多機能すぎるあまり、操作がやや複雑な印象もあった。そこで、新バージョンでは「フィルタバー」と「スマートコレクション」と呼ぶ2つの新しい画像管理機能を採用。これまでの豊富な分類条件を一元的に管理できる。
「フィルタバー」は、画像を絞り込むための機能だ。グリッド表示の上段に表示され、ここでフラグやレーティング、ラベル、日付、メタデータなどの複数の条件を組み合わせて指定すると、該当する画像のみを素早く表示できる。特定の条件を設定したフィルタに名前を付けて保存することも可能だ。
ある条件を指定すると、その条件に合った画像のみを表示する「フィルタ」機能は従来バージョンからあるが、そのフィルタ機能に、従来は左パネルにあった「検索」や「キーワードタグ」「メタデータブラウザ」を統合したものが「フィルタバー」と考えていいだろう。
一方の「スマートコレクション」は、従来から左パネルにある「コレクション」機能を拡張したものだ。スマートコレクションの編集画面から、フラグやレーティング、ラベル、キーワード、メタデータなどの複数の条件を設定しておくと、その条件に合う画像が自動的にコレクションとしてグループ分けされる。
例えば、撮影日の条件を1カ月前から現在までに設定したスマートコレクションを作成しておくと、そのスマートコレクションを選ぶだけで最近1カ月に撮影した画像のみを表示できるといった具合だ。
これとは別に、従来通りの、ユーザーが画像を選んでグループ分類するための「コレクション」機能や一時的に画像を分類する「クイックコレクション」機能もある。
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