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不景気時代のSOHO向け低価格A4モノクロレーザー複合機選びバイヤーズガイド(1/2 ページ)

» 2009年02月17日 16時30分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

不況下でも元気な低価格A4モノクロレーザー複合機市場

 急激に市況が悪化しているが、そのような中でもリースの期限や機器の故障はいや応なくやってくる。それは大企業だけでなく、個人事務所や小規模事業所など、いわゆるSOHO環境でも例外ではない。特に専任のシステム管理者やIT管理者がいないSOHO環境では、製品選びも一苦労だ。そこで、ここではプリント/コピー/スキャン/FAX機能が1つにまとまったSOHOの“神器”であるモノクロレーザー複合機を集めた。

 いうまでもなくレーザー複合機のメリットは、オフィスで必須となる機能をコンパクトにまとめていながら、安価に購入できることにある。複数のオフィス機器を1つにまとめることができるメリットに加え、保守管理の手間も1台で済むし、複数のオフィス機器を設置するスペースの確保が必要なくなる。最近ではカラーレーザープリンタも手ごろになってきたが、実売6万円以下のオールインワン機は少ない。インクジェット複合機の新モデルも登場しているが、印刷のクオリティではレーザープリンタに分があるのも事実だ。

 こういったメリットが浸透してきたためか、ここ数年は価格なビジネス向けA4モノクロレーザー複合機の市場が元気だ。この市場は年々拡大してきており、今後も前年比約110%以上で伸びて行くと予想されている。

 そして市場の成長に伴い、低価格化と高性能&高機能化も加速している。ほぼ全部入りの最上位モデルが実売で6万円を切る価格になり、ミドルレンジで4万円前後、ローエンドでは2万円台から3万円台という価格帯の製品がそろってきた。具体的には、最上位モデルでは印刷速度が21〜24ppm/cpmと高速出力が可能になり、しかも有線LAN/無線LANに対応し、ADF(自動紙送り装置)や自動両面印刷ユニットまでを標準装備する。

 つい数年前までは本体価格は現在とそれほど変わらないものの、速度が16〜18ppm/cpm程度で両面印刷ユニットや有線LANなどのオプション類をすべて搭載すると10万円近くしていたことを考えれば、大きな変化なのが分かる。

低価格なA4モノクロレーザー複合機は2社の製品に絞られる

 現在、実売6万円以下の低価格なA4モノクロレーザー複合機をリリースするメーカーは、キヤノンとブラザー工業の2社に絞られる。この市場は、ほぼ2社によって引っ張られているといっても過言ではない。しかも、高性能な最上位モデルが買い得感の高い価格に設定されており、買い手にとってはうれしい状況になっている。

 まずは実売6万円以下で購入できる2社のモデル数を見てみよう。キヤノンのSateraシリーズでは6モデルが該当し、ブラザー工業のJUSTIOシリーズでは5モデルが該当する。合計すると11モデルとなり、選択肢は十分用意されていると考えていいだろう。なお、下記一覧表の実売価格は大手量販店での価格を参考にしている。

低価格モノクロレーザー複合機の市場を引っ張るキヤノンのSateraシリーズ(写真=左)と、ブラザー工業のJUSTIOシリーズ(写真=右)

キヤノンのA4モノクロレーザー複合機ラインアップ(実売6万円以下)
製品名 MF4380dn MF4370dn MF4350d MF4330d D450 MF4010
出力速度 22枚/分 20枚/分
プリント
コピー
スキャン
FAX
USB
ADF ○(両面) ○(両面)
有線LAN
無線LAN −(オプション対応)
ネットワークプリンタ共有
ネットワークスキャン
両面印刷
給紙容量 約250枚
実売価格 6万円前後 5万円前後 4万円前後 3万円前後 4万5000円前後 2万円前後

ブラザー工業のA4モノクロレーザー複合機ラインアップ(実売6万円以下)
製品名 MFC-8660DN MFC-7840W MFC-7340 DCP-7040 DCP-7030
出力速度 24枚/分 21枚/分
プリント
コピー
スキャン
FAX
USB
ADF ○(両面)
有線LAN
無線LAN
ネットワークプリンタ共有
ネットワークスキャン
両面印刷
給紙容量 約300枚(最大550枚) 約250枚
実売価格 6万円前後 4万5000円前後 3万5000円前後 2万6000円前後 2万2000円前後

最上位モデルは製品の性格を理解しよう

 それでは、各カテゴリー別に傾向と対策をまとめていこう。

 まずは各シリーズの最上位(あるいはほぼそれに準ずる)モデルの実売6万円に位置する製品だ。キヤノンでは、1月に新登場した「Satera MF4380dn」が該当する。従来機に比べて出力速度が22ppm/cpmに高速化され、両面読み取りのADFに有線LAN、自動両面印刷も標準搭載する全部入りモデルだ。両面読み取りのADFによってコピーとスキャナの用途が大きく広がったうえに、同社の誇る「オンデマンド定着技術」によって省電力とウォームアップレスでの快適出力が特徴となっている。このモデルからネットワーク経由でのスキャンにも対応しており、全方位的な性能向上を果たした。

 一方のブラザー工業の最上位モデルは「MFC-8660DN」となる。こちらも有線LAN対応と自動両面印刷機能を標準搭載し、ADFは片面読み取りながら2社のモデルの中では最速の24ppm/cpmの高速出力がウリだ。スキャナーのセンサーがCCDで被写界深度が深いので、立体物のスキャンもでき、最大550枚の大容量給紙に対応し、最大で544Mバイトのメモリ増設やBR-ScriptによるPostScript互換印刷などが可能になっている。

 Satera MF4380dnは、待機電力が3ワットという低消費電力と、横幅が390ミリというコンパクトなボディ、そして両面読み取りのADFがポイントになり、コピーやドキュメントスキャンといった部分を重視するならお勧めだ。MFC-8660DNはボディサイズがやや大きめとなるが、24ppm/cpmの高速出力とPostScript互換印刷、増設可能なメモリー、最大給紙量550枚(オプションの大容量給紙カセット装着時)、CCDによる深い被写界深度がポイントになる。Satera MF4380dnの最大給紙枚数は250枚(増設不可)なので、プリントする機会が多いならMFC-8660DNが最右翼となるだろう。

キヤノンの「Satera MF4380dn」(写真=左)と、ブラザー工業の「MFC-8660DN」(写真=右)

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