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台湾発の高性能NASキット、Thecus「N4200」を試す:圧倒的っ……性能っ……!(1/2 ページ)

» 2010年09月03日 12時00分 公開
[元麻布春男,ITmedia]
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豊富な拡張性を持つ海外製NASキット「N4200」

N4200

 2004年に台湾で誕生したThecusは、ストレージ機器の専業ベンダーだ。製品ラインアップは、2.5インチHDD用の外付けUSBケースから企業向けのラックマウントストレージまで幅広いが、主力はSOHO・中堅企業向けのネットワーク接続タイプのストレージということになるだろう。基本的な販売形態は、HDDを含まない「キット(ベアボーン)」としての提供で、ユーザーが予算や必要に応じてHDDを購入してインストールすることになる。

 モデルチェンジの激しいHDDは、値下がりの激しいデバイスの1つであり、あえてHDDを含まない形態で販売することで、その時に最もバイト単価で有利なドライブや、最も記録密度の高い(言い替えれば最も性能の良い)ドライブをユーザーは利用することができる。何より、割高となることが多い専用の交換ディスクに縛られずにすむ。もちろん、必ず動作するという検証を経ていないドライブを利用することになるというデメリットもあるわけだが、互換性リストに掲載されているドライブを選ぶことで、そのリスクを減らすことは可能だ。

 ここで紹介する「N4200」は、SOHO向けのNASキットとしては、同社で最も上位に位置づけられる製品である。現実的に、個人が導入するNASとしてはかなりハイエンドだ。ホットスワップ可能なドライブベイ4本を備え、RAID 0/1/5/6/10、JBODに対応する。ドライブベイにHDDをマウントするドライブトレイは3.5インチサイズだが、2.5インチドライブ用のものも取り付けられる。ドライブベイの左側には、アクセスやHDDのステータスを表すインジケーター、ドライブベイの上にはさまざまな情報を表示可能なOLEDディスプレイを備えいる。OLEDディスプレイの表示は多国語対応しており、日本語による表示も可能だ。

本体前面/背面/右側面

 内蔵するCPUはIntelのAtom D510。IntelのAtom D400/D500シリーズベースのストレージプラットフォーム採用する。エントリーデスクトップPC(Nettop)に使われる際はNM10チップセットと組み合わせられるD510プロセッサだが、このストレージプラットフォームとしては82801IR I/Oコントローラー(ICH9)と組み合わせられることになっている。ポート数の限られたNM10と異なり、82801IRは計6ポートのSATA II(3.0Gbps)、6レーンのPCI Express、ギガビットに対応したLANコントローラー、計12のUSB 2.0ポートなど、ストレージシステムに十分なI/O能力を持つ(ただしその分だけTDPは大きい)。

 これを生かして本機では、内蔵4ドライブのSATAベイに加え、2つのeSATAポート、前面2、背面4のUSB 2.0ポートなど豊富な拡張性を持つ。eSATAポートには外部接続のHDDを、USBポートにはマスストレージデバイスやプリンタを接続することができる。こうした外部接続のストレージは、本機にマウントされてネットワーク上のユーザーからアクセス可能になるほか、外部ストレージデバイスのデータを自動的に指定のフォルダにコピーしたり、NAS上のデータをバックアップできる。こうした機能の一部は、「モジュール」と呼ばれる外部プログラムで実現されており、ThecusのWebサイトからダウンロードし、インストールすることで利用可能となる。

 これらの豊富な接続ポートに加え、現時点ではオプションは発表されていないものの、筐体内部にはPCI Express x4スロットまで用意されている。上位モデル向けには、10Gbpsに対応したx8スロット対応のNICを提供している実績があるから、何らかのオプションが提供される可能性はある。

 メモリは、SO-DIMMの形でDDR2 SDRAMを1Gバイト搭載する。ネットワークストレージにとってキャッシュとして利用するメモリは、性能を大きく左右する部分だが、一方で大容量のDRAMは万が一の電源断の際に、データロスの危険性を伴う。本機は、UPSのサポートに加え、内蔵式のリチウムイオンバッテリーをサポートしており、電源が断たれた場合もバッテリーによりDRAM上のデータをディスクに待避してからシャットダウンすることで、データロスを防いでいる。なお、通常電源はACアダプタで内蔵式ではないが、それもあって本機は非常に静かなNASとなっている。

前面からアクセスできる4基の3.5型SATAベイを搭載(写真=左)。内蔵式のリチウムイオンバッテリーをサポートする(写真=中央)。内部にPCI Express x4スロットも用意されている(写真=右)

 このリチウムイオンバッテリーによるメモリのバックアップだけでなく、本機にはDual DOM(Disk On Module)と呼ばれる機能もある。Disk On Moduleとは、本機を司るファームウェアイメージで、名前の通り、2組持つことで、万が一にも、ファームウェアイメージの読み込みができない(起動できない)事態を回避できる。RAIDによるデータ保護、リチウムイオンバッテリーによるメモリ保護、そしてDual DOMによるファームウェア保護により、本機は高い可用性を持つ。

機能も豊富、iSCSIや“Webディスク”をサポート

Thecus Setup Wizard。デバイスを発見し、ブラウザで各種設定を行うための最低限の基本設定をウィザード形式で行う

 さて本機の利用だが、基本的にはディスクのインストールを行い、電源を投入したら、ネットワークの設定、RAIDボリュームの作成、領域の設定、ユーザーの作成、フォルダの作成の順で設定を行う。こうした設定はすべてWebブラウザベースのセットアップユーティリティで行い、NASを見つけるためのユーティリティ(Thecus Setup Wizard)も添付されている。このユーティリテイは簡易設定ツールも兼ねており、NASとしての最も基本的な動作の設定(名称、固定IP/DHCPの選択、管理者パスワードの変更等)をここで行うことができる。

 このユーティリティによりNASは、設定を行うPCのWebブラウザに表示可能となり、ブラウザから必要な設定を行える。RAIDボリュームを作成し、データ領域として利用する容量を設定し、ユーザーと共有フォルダの設定がすめば、とりあえず使える状態になる。作業にはフォーマットなど、時間のかかる処理も含まれるため、すぐに使えるというわけではないものの、最小限必要な作業の量はそれほど多くない。

ブラウザベースの設定ツールによるRAIDの構成。インストールしたドライブのうち、どれを利用するか、RAIDレベル、RAID ID、データ領域、ファイルシステムを指定して、ボリュームを作成する。複数のRAIDボリュームを作成可能だが、4台のドライブではそのオプションは限られる(画面=左)。RAIDボリュームのデータ領域(50%を指定)をフォーマット中(画面=中央)。iSCSIの設定もブラウザベースのツールで簡単に行うことが可能だ(画面=右)

 しかし、本機を完全に使いこなそうとすると、それはまた別の話だ。例えば本機はWindowsで標準的にネットワークドライブへのアクセスに使われるSMB/CIFSプロトルに加え、AFP、NFS、FTP、メディアサーバ、UPnP、Bonjourなど、さまざまな追加プロコルをサポートしている。

 さらに、iSCSIのターゲット機能を備えており、ネットワークドライブをローカルドライブと同じ感覚で利用することが可能だ。通常はネットワークドライブでは利用できないサービスや、ネットワークドライブをサポートしないアプリケーションも、iSCSI経由であれば利用できる。iSCSIブートをサポートしたNICとOSがあれば、iSCSIボリュームからのシステム起動を行うことも可能だ。最新のファームウェアでは、シンプロビジョニングもサポートしており、OSに対して物理容量よりも大きな容量を割り当て、必要に応じて物理スペースを追加していく、といった使い方もできる。

 もう1つおもしろい機能は、Webディスクと呼ばれるインタフェースだ。その名前の通り、WebブラウザからN4200のデータ領域へアクセスする機能だが、これを使うとPCやMac以外のクライアントからもNASのボリュームが見えるようになる。例えば、iPadからもN4200上のデータへアクセスすることが可能だ。そこから何をするのか、できるのかは端末や、iPadであればインストールされているアプリにもよるが、可能性を感じる機能の1つである。

作成したiSCSIターゲットボリュームは、Windowsの管理ツールにあるiSCSIイニシエーターを使って接続する(画面=左)。接続されたiSCSIターゲットボリュームは、管理ツールのコンピューターの管理を使ってパーティションの設定やフォーマットを行う。このあたりの手順は物理ディスクを増設した場合とまったく同じだ(画面=中央)。iPadからWebディスクインタフェースを使ってNASのデータを表示したところ。何ができるかはアプリしだい(画面=右)

 また、このN4200は2つのLANポート(いずれもギガビット対応)を備えている。1つにはWAN、もう1つにはLANと書かれており、通常はWAN側をPCなどが接続されているLANに接続する。たいていの場合、接続したLANにはルーターのDHCPサーバがあり、本機はそこからプライベートアドレスを取得して動作することになるものと思う。

 残る1ポート、LAN側コネクタの利用だが、最も一般的な用途は、例えばストレージ接続専用のSAN用として利用することだろう。このために、本機はLAN側用にDHCPサーバを内蔵する。あるいは、リンクアグリゲーション用に、WAN側といっしょに束ねて利用することで帯域を拡張することも可能だ(リンクアグリケーションに対応したスイッチなどが必要)。2本目の接続をフェイルオーバー用にスペアとしておくこともできる。

 ほかにも、別のThecus製NASを容量拡張に利用するスタッカブルNAS、RAIDボリュームの暗号化、十分な空き容量がある場合に可能なRAIDのオンライン拡張、ホットスペアドライブの設定など、さまざまなオプションや機能が用意されており、とてもここでは書き尽くせない。全機能を把握するには、相当じっくりと取り組む必要があるだろう。

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