PC USER Pro

台湾発の高性能NASキット、Thecus「N4200」を試す圧倒的っ……性能っ……!(2/2 ページ)

» 2010年09月03日 12時00分 公開
[元麻布春男,ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

ベンチマークテストで性能を測定

 このように、極めて多機能なN4200だが、性能の方はどうだろうか。ここでは2種類のドライブをそれぞれ4台使った時の性能について、簡単なベンチマークテストを行ってみた。2種類のドライブとは、1台は7200rpmのスピンドルを持つHGSTの「HTD721010SLA360」、そしてもう1台はバイト単価の安いHDDとして現在最もポピュラーな「WD20EARS」だ。いずれもN4200のHDD互換性リストにはないが、HGSTのドライブは1つ上のモデル(N5500)の互換性リストには掲載されている。

テストに使ったクライアントPC
マザーボード Intel DX58SO
CPU Intel Core i7-980X
ブートHDD Seagate ST3320418AS
メモリ 2GB DDR3-1333 DIMM×3
グラフィックス Radeon HD 4890
LAN オンボード
OS Windows7 Ultimate x64

 この2種類のドライブについて、一般的なSMB/CIFSでマウントした場合と、iSCSIで接続した場合の両方をテストしている。構成としては、まず4台のHDDすべてをRAID 5ボリュームとしてext3ファイルシステムでフォーマットし、領域の半分をSMB/CIFS、残る半分をiSCSIに割り当てた。iSCSIでシンプロビジョニングは使っていない(このあたりの設定はベンチマークのスコアにも影響を与える)。テストに際してJumbo Frameはオフにしているが、これは有効にしたところ書き込み性能が著しく低下したため(読み出しにはほぼ影響なし)である。

 比較用に、筆者が使っているNASの2台でも同じテストを行ってみた(ただしiSCSIはサポートしていないのでSMB/CIFSのみ)。1台はNetgear ReadyNAS NV+、もう1台がLaCieのEthernet Disk RAIDである。後者はインテルの以前の(XScale時代の)ストレージプラットフォームのリファレンスデザイン(ss4000)を採用したNASだ。

PCMarkVantage x64 HDD Suiteの結果

 テストとしては、iSCSIでマウントした場合にPCMarkVantage x64のHDD Suiteを実行したが、これはiSCSIにシステムボリュームを置いたと仮定した時に、どの程度の性能が期待できるかをみるためである。その結果はローカルディスク(7200rpm 3.5インチSATA)に対し、HGST製ドライブ(7200rpm 3.5インチドライブ)を用いた場合でその80%ほど、WD製ドライブ(3.5インチSATA、スピンドル回転数は公表されていないが、おそらく5000rpm台)で約64%というところ。意外と悪くない、というよりローカルディスクにかなり近い性能に驚いた、というのが率直な感想だ。

 この感想はCrystalDiskMarkのテスト結果でも変わらない。むしろ、メモリへのアクセスとなるNASのほうがランダムリードやランダムライトは速くなる。USB 2.0の外付け3.5インチHDDを完全に上回る性能である。ファイルのコピーをしてみても、4Gバイト近いファイルが1分間とかからずコピーを終えた。筆者の手元のNASと比べても、本機の性能は際だっている。2〜3年前の同価格帯NASとは比べられない性能といっていいだろう。さすがにデュアルコアAtomの性能は馬鹿にできない。

CrystalDiskMark(1000MB/Read)とCrystalDiskMark(1000MB/Write)の結果

mp4ファイルコピーテスト(左が474,807,148bytes、右が4,166,474,593bytes)の結果

 多機能、高性能となればいいことずくめだが、まったく問題がないわけではない。基本的な設定はそれほど難しくないが、機能の詳細や、新しいファームウェアで実装された機能を利用しようと思うと、その機能に言及されたドキュメントを探すのに苦労する。添付されたマニュアルは初期のファームウェアを元にしており、最新版のファームウェアで拡張された機能は反映されていないからだ。

 例えば、マニュアルではiSCSIの領域は、未使用領域を使い切ってしまうと増やすことはできないが、最新のファームウェアではスタッキングNASを使って増やすことが可能になっている、といった具合だ。スタッキングNASで容量が増やせるかどうかで、シンプロビジョニングの利用価値もだいぶ変わるのではないかと思う。ドキュメント全般にしても、メニューの構成にしても、すべての項目は網羅されているのだが、もう少しユーザーが使いやすいような見せ方、構成はないのだろうかという気はした。

 とはいえ、性能や機能の豊富さを考えれば、極めてよくできたNASキットであることは間違いない。HDDを含まず8万円前後という価格は、個人向けNASキットとしては上限に近いと思うが、内容的にその価格に見合うものはあると思う。後は、ユーザーがこの機能や性能をどのくらい欲しているか、ということになるだろう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月29日 更新
  1. ミリ波レーダーで高度な検知を実現する「スマート人感センサーFP2」を試す 室内の転倒検出や睡眠モニターも実現 (2024年03月28日)
  2. Synology「BeeStation」は、“NASに興味があるけど未導入”な人に勧めたい 買い切り型で自分だけの4TBクラウドストレージを簡単に構築できる (2024年03月27日)
  3. ダイソーで330円の「手になじむワイヤレスマウス」を試す 名前通りの持ちやすさは“お値段以上”だが難点も (2024年03月27日)
  4. 「ThinkPad」2024年モデルは何が変わった? 見どころをチェック! (2024年03月26日)
  5. ダイソーで550円で売っている「充電式ワイヤレスマウス」が意外と優秀 平たいボディーは携帯性抜群! (2024年03月25日)
  6. 次期永続ライセンス版の「Microsoft Office 2024」が2024年後半提供開始/macOS Sonoma 14.4のアップグレードでJavaがクラッシュ (2024年03月24日)
  7. 日本HP、個人/法人向けノート「Envy」「HP EliteBook」「HP ZBook」にCore Ultra搭載の新モデルを一挙投入 (2024年03月28日)
  8. サンワ、Windows Helloに対応したUSB Type-C指紋認証センサー (2024年03月27日)
  9. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  10. レノボ、Ryzen Threadripper PRO 7000 WXシリーズを搭載したタワー型ワークステーション (2024年03月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー