クラウドを中心にしたデジタルハブ――ポストPC時代の幕開けWWDC 2011基調講演リポート(1/3 ページ)

» 2011年06月07日 12時36分 公開
[林信行,ITmedia]
病気療養中だったスティーブ・ジョブズCEOが登壇したWWDC 2011基調講演

 アップルが主催する開発者イベント「Worldwide Developers Conference」が、スティーブ・ジョブズCEOらによる基調講演で幕を開けた。あらかじめ予告があった通り、トピックは次期Mac OS Xである「Lion」、iPhone/iPad用の「iOS 5」、そして新サービスの「iCloud」だ。講演内容はこの3つについてのみであり、そこからは一歩も踏み外すことはなかった。しかし、それでいて、これら3つが組み合わさることで生み出される世界観が、新しい時代のとびらを開くことを感じさせるのに十分な深さを持つ内容だった。

 講演の冒頭、ジョブズCEOはこう言った。

「もしハードウェアが製品の頭脳や筋骨なら、その中心にあるソフトウェアは魂にあたるものだ」。

 今回の講演は、まさに新時代の“魂”を紹介した講演だったと言える。通例のおよそ2倍、約2時間にわたった講演では、Mac用のOS X Lionの250の新機能から10の機能を、iOS 5の200の新機能から10の新機能を、そして新サービスのiCloudから9の機能と1つのサプライズ発表があった。合計(10+10+9+1)して30の機能説明が中心だが、これらが組み合わさった全体像から浮かび上がってくるものは、各機能をはるかに超えたものだ。

 アップルが描き出すその全体像から筆者が何を感じたのか、その所感を述べさせてもらえればと思う。

事前の予告や会場のバナーで伝えられていたとおり、基調講演のトピックは「Mac OS X Lion」、「iOS 5」、「iCloud」の3つ

ポストPC時代の幕開け

iOS搭載機器は、ついにPCに接続しなくても利用できるようになる

 WWDC 2011の基調講演は、Macにとっても、iPhone/iPod touch/iPadといったiOS機器にとっても、大きな分岐点になりそうだ。

 今回の発表を受けて、秋以降のiOS機器は、ついにPCに一切頼ることなく独立した製品としての道を歩き始める(これまでiOS搭載機器は、購入してから1度PCに接続する必要があったが、これからは箱から取り出したらすぐに「Welcome」メッセージが表示されて利用できるようになる)。

 その一方で、ポストPC機器と呼ばれるiOS製品に押されて、影が薄くなりつつあったMacも、これまでPCが辿ってきた進化の流れとは異なる方向へと最初の一歩を踏み出した。言うなれば、“ポストPC機器時代と共存するうえで、あるべきPCの姿や立ち位置”を築き始めたという印象だ。そして、これら2つの製品を見事につなぎあわせるのが、新発表の「iCloud」である。

 今回の発表で重要なのは、MacやiPhoneといった1つ1つの製品でも、iCloudという新サービスの話でもなく、これらを組み合わせた時に生み出される新時代のライフスタイルそのものなのだ。

 例えば、秋以降にリリース予定のiOS 5を搭載したiPhoneで、写真を撮影したとしよう。すると、その写真は自動的にiCloudサービスにバックアップされる。USBケーブルの接続は一切不要で、ユーザーが何か難しい操作をする必要もない。その直後にiPhoneを壊したり紛失しても、新しく買い直したiPhoneには、最後に撮った写真がきちんと表示されるはずだ。

 これはiPhoneだけではない。カバンの中に入れていたiPadを取り出し、フォトアルバム機能を開くと、そこにはiPhoneで撮影したばかりの写真が表示される。家の机に起きっぱなしのMacにも自動的に写真が配信される。

 何かクラウドサービスの利用のために、新しいアプリケーションを追加し、1から機能を覚えるのではなく、これまですでに多くのiOSユーザーが利用してきたカメラ機能やフォトアルバム機能の延長上に、ごく自然に調和する形でクラウド機能が融合されている。だから、それほどデジタル機器に詳しくない一般の人々でも使うことができるのだ。

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