普通の米国人が期待するのはAndroidじゃなくてKindle FireAndroid? なにそれ。これ、Kindleでしょ(1/2 ページ)

» 2012年02月28日 15時12分 公開
[登丸しのぶ/Shinobu T. Taylor,ITmedia]

市場を動かすのは普通の人

 2011年の年末商戦に合わせて、Amazonは199ドルという“戦略的価格”で「Kindle Fire」を市場に投入した。同社のWebサイトにおいて、ホリデーシーズンのベストセラーとなったKindle Fireは、「iPadの好敵手がようやく登場した」と認識されている。しかし、そこには“Android”という言葉は出てこない。Amazonのお膝元である米国シアトルから、“ごくごく普通の人々”が注目したタブレットデバイスユーザーの“現状認識”を紹介しよう。

 iPadにしてもKindle Fireにしても、IT関連の記事で登場するのは、この種の製品に強い興味を示し、豊富な知識を持つユーザーがほとんどだったりする。しかし、マーケットでより多くのボリュームに影響するユーザーはまた別にいる。ということで、ここでは、新し物好きのいわゆるガジェットオタクではない、“主婦”などの米国に住む普通の人々にiPadとKindle Fireに対する認識を聞いてみた。回答してくれたのは全員米国人で、ほとんどがシアトル在住だ(1人だけカリフォルニア州在住の女性がいた)。Kindle Fireを自分で購入したユーザー以外に、ギフトとして入手したユーザーもいる。

Androidタブレットデバイスが束になってもかなわないiPadシリーズ(写真=左)。そこに現れた強敵がKindle Fireだ(写真=右)

コンパクトなKindle Fireは使いやすいですわよ

 ごく普通の人々は、読書、Webブラウズ、メール以外にも、ネットショッピング、ストリーミング動画の視聴、そして、ゲームといった幅広い用途でKindle Fireを利用している。電子ブックビューアに限らず、普通のタブレットデバイスと変わらない。ただ、彼らの多くが、「3G機能がない」「Kindle Fireで使えるアプリに制約がある」「なにをやるにしてもAmazonの独自ブラウザを経由しなければならない煩わしさ」などをマイナスポイントとして挙げている。とはいえ、おおむね満足しているようだ。

 「自分はiPadをメインに使っているが、夫がKindle Fireを使っている」という女性が「Kindle FireはiPadよりコンパクトでいい」というように、本体サイズにおけるKindle Fireの優位性は、今回取材に応じてくれた全員から聞かれた。長時間片手で持って読書をしたり、キッチンで使ったりする場合には、7型ワイドという液晶ディスプレイサイズがちょうどいいという。

 本体サイズについては、持ち運ぶときに小さなバッグにも容易に入るという視点も多くの女性がKindle Fireを支持する理由のようだが、意外なことに男性ユーザーからも、サイズはKindel Fireがいいという意見が聞かれた。「2キロ近くあるノートPCがモバイルPC」というように、デバイスに対するサイズの感覚が日本とだいぶ異なる米国のユーザーも、タブレットデバイスではコンパクトであることを求めるのは、興味深い。

 

10型液晶ディスプレイを搭載するiPadシリーズに対して、7型液晶ディスプレイを採用するKindle Fireはコンパクトなサイズと軽さで支持するユーザーも多い

対決の構図は「Apple .vs. Amazon」

 米国のごく普通の人々は、どのような理由でiPadではなくKindle Fireを選んだのだろうか。

 自分でKinde Fireを購入したという女性は「購入であまり深く考えたわけではない。最初はT-Mobileのタブレットデバイスを候補にしていたが、月々のネットチャージを支払いたくなかった。また、特にアップルのファンでもないので、iPadはまったく考慮しなかった」という。Kindle Fireの決め手は「Amazonは、Kindleで素晴らしい仕事をした。そのAmazonが、Kindleに新たな機能を追加した製品を発表したと聞いて、試したかった」と語っている。その評価軸が、アップルとAmazonを同じタブレットデバイスのメーカーとして比べているのが面白い。

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