NVIDIAは6月18日、Free to Play(基本プレイ無料)で提供されるPCゲームの最新状況や、同社の取り組みを説明するテクニカルセッションを開催した。これにあわせて人気メックバトルゲーム「HAWKEN」を開発したMeteor Entertainmentのシニアプロデューサー、ポール・ロインド氏(Paul Loynd)も来日、NVIDIAのグラフィックス機能を使ったHAWKENの臨場感にあふれるビジュアルを紹介した。
NVIDIAのジェフ・イェン氏(Jeff Yen)によるとPCゲームの規模は年々大きく伸びており、その傾向は今後も続くと予想されている。その成長をけん引する要因となっているのが、Free to Play(F2P)と呼ばれる、基本プレイが無料で提供されるゲームだ。また、“基本プレイ無料”の言葉と矛盾するようにも思えるが、PCゲーム市場の収益を後押しするのもこのF2Pゲームタイトルだという。特に日本を含むアジアでは、MMOタイプのF2Pが顕著で、アイテム課金やキャラクターの強化、あるいは単純にキャラの見た目をかっこよく見せるという動機で多くの収益を上げている。
一方、これまでのF2Pゲームは、グラフィックス面ではやや劣る印象があった。「これまでのF2Pゲームは2D/2.5Dが主流で、漫画ベースであったり、歴史を題材にしたモノなど、コンテンツで勝負するものが多く、見かけはいまいちぱっとしなかった」とイェン氏。しかし、F2Pゲームの成功を受けてその現状も大きく変わりつつあるという。
その代表例が冒頭で挙げたHAWKENだ。HAWKENはロボットに搭乗して戦うFPSゲームで、Unreal Engine 3を採用し、NVIDIA PhysX(物理演算)の高度なグラフィックスによる、臨場感あるゲームプレイが特徴。爆発やその際の火の粉、粉じんなどがリアルに描写されるという。イェン氏は「NVIDIAのGPUによって、キャラクターと環境の相互作用によるグラフィックスを優れたものにし、没入感を高めている」と説明、「PhsyXがいかにゲームの中身を変えるかというデモはこれまで何度もしてきたが、このメックというゲームジャンルにはうってつけ。今まで見たことのないようなリアリズムを提供できる」と語った。
ロインド氏(Paul Loynd)も、「F2PはBattlefieldやCall of DutyのようなFPSタイトルに比べて、ゲーム体験が貧しいと言われてきたが、それもこれまでの話だ」と述べ、HAWKENを紹介。PhsyXだけでなく、現在実装中のAPEX Destruction(破壊表現)を使ったプレイデモを披露し「こうしたマップの破壊表現が可能になることで、例えば敵が身を潜めていても構造自体をつぶしながら力押しするといったような、巨大なメックを意識したプレイが可能になる。こうした技術が次の波となり、PCゲームだけでなく、ほかのプラットフォームにも採用されていくだろう」と述べた。なお、APEX Destructionの実装は、12月をめどにまずは限定的なマップで実装される予定という。
なお、「HAWKEN」は日本語向けのローカライズ版が7月にリリース(ゲーム内で日本円が使用できるようになり、コンテンツがすべて日本語化)され、NVIDIAはこれにあわせて、対象グラフィックスカード購入者にゲーム内クーポンをプレゼントするキャンペーンなどを実施する予定だ。
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