GeForce GTX 680の投入から1年と少し、NVIDIAはGeForce GTX 700世代のハイエンドGPU「GeForce GTX 780」を発表した。ハイエンドGPUと言っても、NVIDIAはこれに先立つ2月に「GeForce GTX TITAN」というモンスター級GPUをリリースしている。
それなら、GeForce GTX 780はどのようなスペックで、どのようなポジションに位置するのか。結局のところ、GeForce GTX 600世代とは何が違うのか気になっている方は多いだろう。そんな疑問をベンチマークによって明らかにしていく。
まずはスペックからGeForce GTX 780の立ち位置を確認しておこう。GTX 780は、GK110コアを用いているのがポイント。これはTITANと同じコアだ。つまりNVIDIAは、これからもTITANを最上位に掲げ、その下位としてGTX 780を投入する。言い換えるなら、TITANが実質的にGeForce GTX 785辺りに相当するとも言える。
また、GK110がTITANよりもかなり前に、Teslaで採用されていた点からすれば、GeForce GTX 600シリーズの本来のハイエンドGPUとも言えるし、GK110という強力なコアを設計できたことによるNVIDIAの余裕と捉えるなら、GeForce GTX 600シリーズのリフレッシュモデルともとれる。
事情は複雑だが、現状、GeForce GTX TITANがほぼデュアルGPU製品に相当するポジションという特別な存在であるため、GeForce GTX 780はGTX 680の正当な後継モデルと見ていいだろう。
| 製品名 | GeForce GTX TITAN | GeForce GTX 780 | GeForce GTX 680 |
|---|---|---|---|
| GPC | 5 | 4or5 | 4 |
| SM | 14 | 12 | 8 |
| CUDA Core | 2688 | 2304 | 1536 |
| テクスチャユニット | 224 | 192 | 128 |
| ROPユニット | 48 | 48 | 32 |
| GPUクロック(MHz) | 836 | 863 | 1006 |
| Boost Clock(MHz) | 876 | 900 | 1058 |
| テクスチャフィルレート(GTexels/sec) | 187.5 | 165.7 | 128.8 |
| メモリクロック(GHz) | 1502 | 1502 | 1502 |
| メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
| メモリ接続バス幅(bit) | 384 | 384 | 256 |
| メモリ帯域幅(GB/sec) | 288.4 | 288.4 | 192.26 |
| メモリ容量(MB) | 6144 | 3072 | 2048 |
| 最大消費電力(TDP:W) | 250 | 250 | 195 |
| 補助電源レイアウト | 8+6 | 8+6 | 6+6 |
| トランジスタ数(億) | 71 | 71 | 35.4 |
| プロセス(nm) | 28 | 28 | 28 |
コアの仕様を見ていくと、CUDAコア数や、それに関連するテクスチャユニット数などがTAITANと比べ削減されている。具体的には、CUDAコア数が2688から2304基へ、テクスチャユニット数は224から192基となった。約15%減だ。
一方、動作クロックは、定格側はTITANと同じ863MHzだが、Boostクロックは876から900MHzに向上している。GPU Boostの世代は2.0でTITANと同様。TITANでGPU Boost 2.0を検証した際、最高クロックは1GHz超まで引き上げられていたことを確認しており、同じGPU Boost 2.0に対応するGTX 780も、Boostクロックを大幅に上回る最高クロックが設定されているものとみられる。
メモリ回りに関しては、容量が半減して3Gバイトとなっているものの、そのほかのバス幅やクロックは同等だ。つまり、6Gバイトモデルも可能だが、マーケティング的に抑えられているだけと考えられる。GeForce GTX 680に4Gバイト版が登場していたように、GeForce GTX 780にも6Gバイト版が登場しておかしくはないだろう。
リファレンスクーラーの外観はGeForce GTX TITANと同じだ。そして今回はGeForce GTX 680を引き合いに出し、これよりも動作音を大幅に引き下げたとアピールしている。具体的には、GeForce GTX 680が40デシベル台後半、GTX 780では40デシベル台前半に収まるという。なお、TITANはカードを組み込んだ完成システムでGeForce GTX 680と比較し、より静かとアピールしていたため、GeForce GTX 780とTITANでクーラーの動作音に違いがあるのかはハッキリしない。仮にまったく同じクーラーを搭載していたとすれば、CUDAコア数の違いによりGeForce GTX 780のほうが静かということはありうる。

消費電力はTITANと同じ250ワットとされている。補助電源コネクタも8+6ピン構成で同じだ。しかし、上記のようにスペックに違いがあるため、実際には消費電力はTITANよりも低いと思われる(写真=左)。リファレンスクーラーとしては高性能化、静音化が果たされたわけだが、カードメーカーのオリジナルクーラーに期待をしている方も多いだろう。現在のところ(そもそも出荷数が少ないためか)GeForce GTX TITANに水冷以外のオリジナルクーラー搭載モデルは登場していない。下位モデルのGeForce GTX 780が登場することにより、これが変わるのかどうか見守りたい(写真=右)
リファレンスカードにおけるディスプレイ出力端子は、GeForce GTX TITAN、GTX 680と同じで、DisplayPort、HDMI、DVI-D、DVI-Iとなる。4画面までのマルチディスプレイ出力もサポートされる。SLI用のコネクタは2基。3-wayまでの対応だ。こうした基本的な機能に変更はないCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.