第4回 dynabook KIRA V832で“正しい色”を知るカメラマンが使う「dynabook KIRA V832」(1/2 ページ)

» 2013年07月05日 16時45分 公開
[矢野渉(文と撮影),ITmedia]

ちょっと真面目に「色」を考察してみる

photo ポジフィルム。仕事で使わなくなってから7、8年くらいになるだろうか

 写真を撮影するときに重要な3つの要素がある。テーマ(被写体)の選択、ライティング、フレーミング。これは写真の基本だ。この3つを定めたら、次は写真の「色」を考える。僕がフォトグラファーになったころは、撮影にフィルムを使っていたので、ある意味で色のコントロールは楽だった。

 プロ用のポジフィルムはプロラボ(現像所)に冷蔵されて品質を管理されており、製造時のロット番号ごとに現像結果がデータとして公表されていた。大体のポジフィルムは025M(0.25%マゼンタ)くらい色が傾いており、厳密な色表現が必要な撮影ではコダックラッテンフィルターの025G(0.25%グリーン)をレンズ前に装着して撮影する。

 補正の必要がないフィルムを運よく見つけたときは、ロット単位でまとめ買いをして冷蔵庫で保管する。フィルターを装着するとわずかだが画質が落ちるので、高品質なフィルムを手に入れると撮影がとても楽になった。

 こうした一連の作業は昔からマニュアル化されており、“正しい色”を得ることは割と簡単だったのだ。現像が上がったポジはイルミックスの上に乗せれば5000Kの色温度(商業用紙媒体における評価基準、印刷会社に印刷を依頼するときに使う)で正しくチェックできる。

 微妙な色合いが要求される写真でも、ポジ袋にダーマトグラフで「ポジの色に忠実に」と書いておくだけで、正確な色で印刷物が仕上がる。デザイナーも印刷会社の職人さんも、長い歴史に裏打ちされた細かいテクニックを持っていたので、こちらの意図が裏切られることはまずなかった。

 ところが、2000年ぐらいからデジタルカメラが仕事の主役となり、「色」は深刻な問題となった。ポジフィルムのような物理的な色見本が存在しなくなったからだ。デジタル一眼レフカメラの背面液晶で確認できる画像は、実物と色合いが異なることがある。ノートPCに写真のデータを取り込みディスプレイで確認したとしても、見えた色が正しいとは限らないのだ。

 また悪いことに、人間の脳は色を自動的に補正してしまう。色温度がかなり高い青みがかった写真でも違和感を感じないので始末が悪い。正しい色を確かめられないまま写真を入稿し、印刷結果が悲惨になることもたまにあった。印刷会社もデザイナーも、そしてフォトグラファーも皆、まだ「デジタル」に慣れていなかったため混乱したのかもしれない。

 ポジフィルムの場合、イルミックスでチェックすれば安定した色温度の光(透過光)が得られるので、まず間違いは起こらない。しかし、ノートPCの液晶ディスプレイに内蔵されているバックライトはそこまで厳密に作られてはいないのだ。

 正しい色を得るためには、ディスプレイをキャリブレーションするか、プリンタをPhotoshopで制御してプリントアウトし、印刷物と実物を比較して色を確認するしかないのだが、ロケではそんな面倒な作業をする時間はない。とにかく色味が信用できるノートPCは、僕らプロフォトグラファーがずっと待ち望んでいたものだった。

photo 東芝のUltrabook「dynabook KIRA V832」。液晶テレビ「REGZA」の技術を利用して1台ずつ色を調整して出荷するなど、発色に強くこだわったノートPCは久しぶりだ

iconicon
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 10万円切りMacが17年ぶりに復活! 実機を試して分かったAppleが仕掛ける「MacBook Neo」の実力 (2026年03月10日)
  2. 「MacBook Neo」を試して分かった10万円切りの衝撃! ただの“安いMac”ではなく絶妙な引き算で生まれた1台 (2026年03月10日)
  3. 新型「MacBook Air」はM5搭載で何が変わった? 同じM5の「14インチMacBook Pro」と比べて分かったこと (2026年03月10日)
  4. リュック1つで展示会セミナーの音響セット構築レポ 現場で得た“2.4GHz帯混信地獄”を生き抜く教訓 (2026年03月11日)
  5. セールで買った日本HPの約990gノートPC「Pavilion Aero 13-bg」が想像以上に良かったので紹介したい (2026年03月11日)
  6. 最新Core Ultra X7 358Hの破壊力! 16型OLED搭載で内蔵GPUがディスクリート超え!? Copilot+ PC「Acer Swift 16 AI」レビュー (2026年03月10日)
  7. 「iPhone 17e」実機レビュー! 9万9800円で256GB&MagSafe対応 ベーシックモデルの魅力と割り切り (2026年03月09日)
  8. 「GeForce NOW」がサービスをアップデート Apple Vision ProやMeta Questで最大90fpsのゲーミングが可能に (2026年03月11日)
  9. 出張や通勤で荷物が増えても安心な「ミレー ビジネスリュック EXP NX 20+」が27%オフの1万3865円に (2026年03月10日)
  10. 自作PCを売却して「Mac Studio」へ ローカルLLMサーバ移行で得られた驚きの“ワッパ”と安心感 (2026年03月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年