「あしたのジョー」で「年賀ジョー」商戦に挑む――ブラザーの新プリンタ戦略:サービス充実でシェア15%を目指す(1/2 ページ)

» 2013年08月27日 00時00分 公開
[池田憲弘,ITmedia]

“年末商戦でのシェア向上”が最優先

 ブラザー販売は8月26日、インクジェット複合機「PRIVIO(プリビオ)」シリーズの新ラインアップを発表した。主な製品仕様と価格は既報の通りで、こちらの記事を参照していただきたい。

 今回の新製品では、基本性能の向上などハードウェア面の進化よりも、スマートフォン/タブレットとの連携機能や、複合機本体からクラウドサービスを利用してPCなしで年賀状を作成できる「年賀状アプリ」(MFC-J720D/DW、DCP-J152Nは非搭載)を重点的に訴求する構えだ。製品発表会で同社は、その理由を「2013年度の課題を“年末商戦でのシェア向上”と定めた」からだと説明した。

 発表会の冒頭で、同社代表取締役社長 片山俊介氏は「景況感の改善で消費の上向きが期待されている。PC業界についてもXPサポート終了による買い替え需要があり、年末商戦に期待がかかる」と述べた。

photophotophoto ブラザー販売 代表取締役社長の片山俊介氏(写真=左)。今回の新製品ではハードウェアの強化よりもサービスの充実に注力している(写真=中央)。ネットワークを通じて提供するサービスを「Brother Online(ブラザーオンライン)」と総称した。各種サービスについての情報発信をするポータルサイトを2013年9月下旬に開設する予定という(写真=右)

 ブラザーのインクジェットプリンタは2012年に「MyMio(マイミーオ)」からPRIVIOにブランドを刷新し、2012年度の販売目標を65万台、シェアの目標を15%と定めた。「目標にはやや届かなかったものの、台数とシェアはともに順調に伸びている」(片山氏)という。

photo 新製品の販売戦略はブラザー販売 取締役の三島勉氏が説明した

 同社がさらなるシェア向上のために課題としたのは“年末商戦における弱さ”だ。月ごとのシェアを分析すると、年賀状需要などでプリンタが最も売れる12月のシェアが、ほかの月に比べて著しく低いことが分かった。「12月以外はほぼ10%を超えているが、12月に限っては8%程度に落ちる。ブランドを刷新する前よりも確実に伸びているものの、国内“第3の選択肢”となるためには、12月のシェアアップが不可欠」(同社取締役 三島勉氏)だという。

 そこで同社は、ユーザーへのアンケートや1000枚以上の年賀状のデザイン調査を行い、「デザインにこだわった年賀状を出したいが、作成が面倒」というユーザーの価値観を抽出した。新ラインアップの目玉である「年賀状アプリ」はこうした年賀状印刷への価値観に応えるためのものだ。

photophotophoto 2009年のリーマンショックでインクジェットプリンタの需要は落ち込んだが、順調に回復しており、今後はさらに市場規模が拡大するという(写真=左)。インクジェットプリンタ市場全体の販売台数と、ブラザーのシェアを月別で集計した。年賀状印刷の需要などで最もプリンタが売れる12月に、ブラザーのシェアが落ち込んでいる(写真=中央)。同社は年賀状に対するユーザーの価値観をアンケートで調査した(写真=右)

 「より簡単にオリジナルの年賀状が作れる、という部分にこだわった。今年の年賀状はブラザーのプリンタで印刷するという人を増やしたい」(三島氏)という。新製品の2013年度の販売台数目標は75万台で、インクジェットプリンタ市場全体で15%以上のシェア獲得を図る考えだ。12月のシェア目標については「普段よりも5%の向上を目指しているので13%とする」と三島氏は宣言した。

photophotophoto 製品説明を行ったブラザー販売 マーケティング推進部長の大澤敏明氏(写真=左)。年賀状アプリは、写真とテンプレートを選ぶだけでレイアウトが行える「自動写真レイアウト」、ハンカチや和紙などの素材をスキャンして合成する「お気に入り素材合成」など全6種類の機能を備える(写真=左)。Wi-Fi Direct機能やNFC接続によるプリントに対応する機種も用意した(写真=右)
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