機器バインドからの“解放”、そしフルHDの“持ち出し”――「SeeQVault」の狙い:CEATEC JAPAN 2013(1/2 ページ)

» 2013年10月03日 19時45分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 最近では“当たり前”になった薄型テレビのUSB録画機能。市販のUSB外付けHDDをテレビに接続すると、デジタル放送を録画できる便利な機能だ。しかし、録画番組の再生はそのテレビに“ひも付け”され(=機器バインド)、買い替えなどでテレビが代わると再生できなくなってしまうといった課題もある。

「CEATEC JAPAN 2013」の「SeeQVault」ブース(左)。今回、取材を受けてくれたのは、東芝メモリ事業部の三村英紀氏、パナソニック事業戦略室の山本雅哉氏、ソニーVEプロジェクト室の鈴木健二氏(右)

 その“機器バインド”からの解放を掲げて登場したのが、新しいコンテンツ保護技術「SeeQVault」(シーキューボルト)だ。パナソニック、サムスン、ソニー、東芝の4社が開発し、1月にはライセンス管理を担当するNSM Initiatives LLCを設立。翌2月からライセンス提供を開始している。9月下旬には、東芝とソニーが相次いで対応製品を発表し、「CEATEC JAPAN 2013」にもブースを構えた。SeeQVaultの狙いと今後の展開について話を聞いた。

 SeeQVaultの特長は、「さまざまな対応機器での再生互換性」と「強固なセキュリティー」。冒頭で触れたUSB外付けHDDのほか、SDカードやUSBメモリーなど、家電・IT機器で使用するストレージに幅広く適用されるという。

SeeQVaultの概要。ポイントは「暗号化技術」「認証技術」「個別ID」。さらにDLNA/DTCP-IPとの連携も重要だ(後述)

 SeeQVaultでは、コンテンツの暗号化方式に業界標準でもあるAES 128bitを採用、対応機器と記録メディアの認証には、だ円曲線暗号を用いたPKI認証を用いる。PKI認証は、暗号化に使用する公開鍵と複合用の秘密鍵を対にして用いる認証方式だ。さらに記録メディアのフラッシュメモリーには、製造時に機密性の高い固有ID(EMID:Enhanced Media ID)をチップごとに埋め込む。「ハードウェアに固有IDを持たせ、フラッシュチップに暗号化アルゴリズムを入れることで、課題だった“クローン”の作成を困難にした」。

 今年8月には、Dpa(一般社団法人デジタル放送推進協会)およびDTCPの管理運用を行うDTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)から記録メディアとして認可され、まずデジタル放送のハイビジョン動画を扱う環境が整った。ただし、用途はそれだけではない。「SeeQVaultは、さまざまなアプリケーションで活用でき、しかもほかのアプリに影響を与えないことも特長だ」。今後はビデオだけではなく、著作権管理が必要なコンテンツに幅広く利用できるという。

フルHDを持ちだそう

 分かりやすいアプリケーションとして、今回の展示では冒頭のUSB録画と、フルHD解像度の“番組持ち出し”を挙げている。例えばテレビとUSB外付けHDDの両方に「SeeQVault」ロゴが入っていれば“機器バインド”の問題は生じない。「ほかの部屋にあるテレビにUSB外付けHDDを接続し直して続きを視聴したり、テレビを買い替えた時に、それまで使っていたUSB外付けHDDを接続して再生できる」といったことが可能だ。

 一方、最近のBlu-ray Discレコーダーで標準的に採用されている“持ち出し機能”では、フルHD解像度のままデジタル放送録画番組を転送/再生できるようになる。現在の持ち出し機能は、著作権保護にCPRMを使用しているため、基本的にSD画質でしか記録できない。携帯端末の画面が低解像度の時代には問題にならなかったが、スマートフォンにフルHDパネルが搭載されている現在は、「“フルHDのまま観たい”という当たり前のニーズが出てくる。しかし、それに対応できるメディアがこれまでは存在しなかった」。

ソニーのポータブルワイヤレスサーバ「WG-C20」(左)とSeeQVault対応micro SDカード(右)

 ソニーが10月25日に発売するポータブルワイヤレスサーバ「WG-C20」は、基本機能は先代「WG-C10」と同じだが、新たにSeeQVaultをサポート。同時にリリースされたSeeQVault対応SDメモリーカードを差し込むと「フルHDおでかけ転送」が利用できる。例えば「nasne」からフルHDの録画データを無線LAN経由で転送し、WG-C20内のSDメモリーカードに記録。同じく無線LANを介して「Xperia Z」などAndroid端末のDLNAプレーヤーアプリで再生できる。

転送アプリの画面(左)。DLNAプレーヤーアプリでフルHD視聴中(右)

 なお、録画機側でフルHDおでかけ転送に対応できるのは、今のところ「nasne」だけ。携帯端末側はAndroid 4.2.3以上が必要だ。iOS版の転送アプリも検討中だという。

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