一方、PCケースでは超巨大モデルと、水冷対応小型モデルがトレンドとなりそうだ。
SilverStone Technologyが公開した「TJ12」は、サイズが469(幅)×681(高さ)×469(奥行き)ミリという巨大なアルミPCケースだ。底面には同社独自の180ミリAir Penetratorファンを4基搭載し、そこからケース上面に外気を送り込む構造を持つ。
PCケース内部は、上部が斜めに区切られ底面からの空気を圧縮し、エアプレッシャーを高める構造にしているほか、電源ユニットや5.25インチドライブベイは、この斜めに区切られた外側に収め、HDDやSSDなどの2.5インチドライブベイは、マザーボード裏に設けることで、パーツを取り付けた状態でも十分なエアフローを確保する。
本体上面には120ミリファンの装着エリアを用意し、一体型水冷ユニットなどを装着しやすいようにしている。さらに、底面にも120ミリファン×9のマウント金具を装備しているので、180ミリファンを取り外すことなく、360ミリラジエータを使う大型水冷ユニットを3基搭載できる。現在はエンジニアリングサンプルだが、市場のフィードバック次第では製品化の可能性もあるそうだ。
BitFenixも、巨大PCケース「Atlas」を公開している。この製品は、マザーボード設置エリアとストレージや電源ユニット搭載エリアを左右に分離することで、効率的な排熱を実現する。Atlasでは、フロントと上面に120ミリファン×6、または、140ミリファン×4を搭載できるほか、360ミリの大型ラジエータを4台まで搭載可能だ。ドライブベイは、3.5インチ×10、2.5インチ×6の構成で、5.25インチベイはない。本体は383(幅)×443(高さ)×541(奥行き)ミリと、巨大ケースと呼ぶにふさわしいサイズだ。市場投入は、第4四半期を予定している。
小型PCケースでは、Corsair Componentが、大型ラジエータの搭載を可能にする「Carbidge AIR 240」と「Graphite 380T」を発表した。発表当初、Mini ITXフォームファクタ準拠のPCケースと紹介したいた「Carbidge AIR 240」だが、実際はmicro ATXフォームファクタ準拠で、後日、「Mini ITX/micro ATX対応PCケース」として訂正していた。Corsair Component関係者によれば「3スロットを占有するGeForce Titan Zにも対応できるMini ITX準拠のPCケース」として、その拡張性をアピールしている。
斬新なデザインのオープンフレームPCケースを展開するIn Winは、パイプフレームを採用した「D-Frame」のMini ITX版「D-Frame mini」を発表している。SilverStone Technologyも、スリムタイプのMini ITXPCケース「Raven RVZ01」をベースに、派生モデルの「ML07」を展開するとともに、一体型水冷ユニットも装着できる拡張性をアピールする。
SilverStone Technologyは、「低価格なPCケースでも、大型ラジエータ搭載の要求が高まっている」として、上面やフロント部に240ミリラジエータを搭載できるスペースを確保したラインアップを強化する意向を示している。AntecもMini ITX準拠PCケース「ISK600」と、そのmicro ATX版となる「ISK600M」で、同社の一体型水冷ユニットが装着できることを改めてアピールするなど、PCケースベンダー各社はパワフルな小型ケースへの需要が高まりつつあることを強く意識したプロモーションを行っている。
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