大解説! 次期CPUに対応する新世代“冷却”事情巨大PCケースの時代が再来するのか?(2/3 ページ)

» 2014年07月18日 18時00分 公開
[本間文,ITmedia]

PCケースはでかく! もしくは、小さく!

 一方、PCケースでは超巨大モデルと、水冷対応小型モデルがトレンドとなりそうだ。

 SilverStone Technologyが公開した「TJ12」は、サイズが469(幅)×681(高さ)×469(奥行き)ミリという巨大なアルミPCケースだ。底面には同社独自の180ミリAir Penetratorファンを4基搭載し、そこからケース上面に外気を送り込む構造を持つ。

 PCケース内部は、上部が斜めに区切られ底面からの空気を圧縮し、エアプレッシャーを高める構造にしているほか、電源ユニットや5.25インチドライブベイは、この斜めに区切られた外側に収め、HDDやSSDなどの2.5インチドライブベイは、マザーボード裏に設けることで、パーツを取り付けた状態でも十分なエアフローを確保する。

 本体上面には120ミリファンの装着エリアを用意し、一体型水冷ユニットなどを装着しやすいようにしている。さらに、底面にも120ミリファン×9のマウント金具を装備しているので、180ミリファンを取り外すことなく、360ミリラジエータを使う大型水冷ユニットを3基搭載できる。現在はエンジニアリングサンプルだが、市場のフィードバック次第では製品化の可能性もあるそうだ。

SilverStoneの超巨大ケース「TJ12」(写真=左)のケース上面には、リムーバブルストレージベイを備える(写真=右)

ケース内を斜めに仕切ることで、エアプレッシャーを高める効果を持たせている(写真=左)。底面には180ミリファン×4を装着できるほか、その上のマウント部に大型ラジエータも搭載可能だ(写真=右)

 BitFenixも、巨大PCケース「Atlas」を公開している。この製品は、マザーボード設置エリアとストレージや電源ユニット搭載エリアを左右に分離することで、効率的な排熱を実現する。Atlasでは、フロントと上面に120ミリファン×6、または、140ミリファン×4を搭載できるほか、360ミリの大型ラジエータを4台まで搭載可能だ。ドライブベイは、3.5インチ×10、2.5インチ×6の構成で、5.25インチベイはない。本体は383(幅)×443(高さ)×541(奥行き)ミリと、巨大ケースと呼ぶにふさわしいサイズだ。市場投入は、第4四半期を予定している。

BitFenixの巨大PCケース「Atlas」(写真=左)は、ドライブや電源などを、マザーボーと完全に分離して設置する(写真=右)

 小型PCケースでは、Corsair Componentが、大型ラジエータの搭載を可能にする「Carbidge AIR 240」と「Graphite 380T」を発表した。発表当初、Mini ITXフォームファクタ準拠のPCケースと紹介したいた「Carbidge AIR 240」だが、実際はmicro ATXフォームファクタ準拠で、後日、「Mini ITX/micro ATX対応PCケース」として訂正していた。Corsair Component関係者によれば「3スロットを占有するGeForce Titan Zにも対応できるMini ITX準拠のPCケース」として、その拡張性をアピールしている。

CorsairのMini ITX準拠のPCケース「Graphite 380T」も、大型ラジエータをサポートした小型モデルだ(写真=左)。発表当初、Mini ITXケースと紹介していた「Cabidge AIR 240」だが、実際はmicro ATX準拠のPCケースだった。メーカーは、GeForce Titan ZをMini ITXフォームファクタで使うなら、このくらいのサイズが必要と主張する(写真=右)

 斬新なデザインのオープンフレームPCケースを展開するIn Winは、パイプフレームを採用した「D-Frame」のMini ITX版「D-Frame mini」を発表している。SilverStone Technologyも、スリムタイプのMini ITXPCケース「Raven RVZ01」をベースに、派生モデルの「ML07」を展開するとともに、一体型水冷ユニットも装着できる拡張性をアピールする。

 SilverStone Technologyは、「低価格なPCケースでも、大型ラジエータ搭載の要求が高まっている」として、上面やフロント部に240ミリラジエータを搭載できるスペースを確保したラインアップを強化する意向を示している。AntecもMini ITX準拠PCケース「ISK600」と、そのmicro ATX版となる「ISK600M」で、同社の一体型水冷ユニットが装着できることを改めてアピールするなど、PCケースベンダー各社はパワフルな小型ケースへの需要が高まりつつあることを強く意識したプロモーションを行っている。

In WinのD-Frame miniも、水冷対応をアピール

SilverStoneのスリム型Mini ITX準拠PCケース「ML07」も、水冷ユニット対応を訴求する

Mini ITXフォームファクタでもマルチGPU環境のSLIやCrossFireを実現するSilverStoneの外付けPCI Express拡張ユニット。PCI Express x16に対応し、内部の4スロットで分配。x4対応を4基、または、x8を2基といった構成が構築できる

SilverStoneは、低価格PCケースにも、水冷対応の需要が増しているとして、上面やフロントに大型ラジエータを搭載可能なデザインを採用する

AntecのMini ITX準拠PCケース「ISK600」や、micro ATX準拠PCケース「ISK600M」も、水冷ユニットに対応する

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