次期Windows OSの名称が正式発表されたのを機に、本連載も『鈴木淳也の「まとめて覚える! Windows 8.1 Update」』から『鈴木淳也の「Windowsフロントライン」』にリニューアルしました。今後もWindowsの最新情報をお届けしていきます。
米Microsoftは9月30日(現地時間)、次期Windows OSとして、Threshold(開発コード名)こと「Windows 10」を正式発表した。2014年10月1日よりテクニカルプレビュー版の配布が開始され、2015年後半に製品が正式リリースされる見込みだ。
今回は、このイベントで発表された内容を俯瞰(ふかん)しつつ、いくつかの疑問を整理し、それぞれについて考察していく。
筆者は事前予測記事で、次期Windowsが「Windows 9」や「Windows TH」になる可能性を否定しており、むしろ「Windows One」のような名称を採用するのではないかと予想していた。
しかしMicrosoftは、発表会の場でこれらすべてを否定し、「Windows 10」がそれにふさわしい名称であると断言した(「One」は初代Windowsが「Windows 1」であり、使用済みという理由で却下)。もっとも、なぜWindows 9がダメで、Windows 10がふさわしいのか、その背景を明確に伝えてはいない。
これに関して疑問に思う人々は多いものの、発表内容を報じたメディアも理由はほとんど考察しておらず、そのまま受け入れている例が多いようだ。例えばBGRは疑問を抱きつつも「(バージョン)番号を2つ飛びするほどの差がある」という表現を使い、その間に何があるのかはスルーした。
Forbesのコラムでは、若干踏み込んだ考察を加えており、「(失敗作とみられている)Windows 8から距離を置きたかった」「Windows 8.1からの順当なアップグレードではないことを示したい」といったMicrosoftの意思が反映されたものだと述べている。
筆者の場合、「Metro UI」や「SkyDrive」の商標問題で痛い目を見たMicrosoftがWindows 9(もしくはWindows Nine)でのトラブルの可能性を避けるため、Windows 10をあえて選択した可能性を考えたが、個人的に調べた範囲では問題となる商標等を見つけられなかった。今後の調査で新事実が明らかになることを期待したい。
とはいえ、「Windows NT 6.1」にあたるOSを語呂だけで「Windows 7」と名付けたりするMicrosoftなので、特に深い意味はない可能性もある。ちなみに、Windows 8/8.1のNTカーネルバージョンは「6.2」「6.3」だ。後に判明した情報で、Windows 10のカーネルバージョンは「6.4」となっている。この部分においては、わずか0.1の差でしかない。
別のうわさとしては、エンタープライズ向けに記述された一部のカスタムアプリケーションにおいて、Windows 95/98のバージョンをまとめて判別するために「Windows 9」という文字列を用いたコードが存在することをMicrosoftがテスト段階で認識し、あえて問題の発生を避けるために「Windows 9」の利用を止めたという真偽不明の話がSNSで流れている。
実はMicrosoft内部にこういう手抜きのバージョン判定をしているプログラムが多数存在していたのが原因……という考えもなくはないが、依然推測の域を出ていない。
このほか、インターネット上でこの件に関していろいろ検索していたところ、英語で「Q: Why did Microsoft choose Windows 10 instead of 9?(なぜMicrosoftはWindows 9じゃなくて10を選択したの?)」「A: Because 7 8 9」というやりとりを多く見かけた。
これは有名な英語ジョークの1つで、「Why was 6 afraid of 7?(なぜ6は7を怖がるの?)」「Because 7 8 9(それは7が9を食べたからだよ=Seven Ate Nine)」というやりとりをもじったものだ。
これ自体は何が面白いのかよく分からないが、「(現在も最大シェアを誇る)Windows 7が(不人気のWindows 8の後継となる予定だった)Windows 9を登場前に食ったので、その結果として新しいOSのWindows 10を出すことになった」というのなら、Microsoft流のジョークということになるのかもしれない。
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