「Office for iPad」が、ついに日本のユーザーでも利用可能となった。米国では2014年春に提供が開始され、話題となっていたMicrosoft OfficeのiPad用アプリだ。
米Microsoftが2014年11月6日(現地時間)に実施したOffice for iPadのアップデートでは、これまで「Office 365」ユーザーだけの特典だった「編集機能」の一部を無料で開放するとともに、日本のユーザー向けにも提供を始めている。
今回はOffice for iPadをはじめ、「Officeとスマートデバイス」をテーマに、これからOfficeをタブレットやスマートフォンで活用したいと考えるユーザーのための情報を整理していく。
まずはOfficeのスマートデバイス対応について、これまでの経緯を振り返りたい。
スマートフォンにおけるOffice製品はもともと「Office Mobile for Office 365 Subscribers」という名称のアプリで提供が行われていた。その名前からも分かるように、オフィススイートのクラウドサービスであるOffice 365の契約ユーザーが、スマートフォン上でOffice文書の閲覧や簡易編集を行うための製品だ。
また、日本ではなじみが薄いが、Windows Phone用にも「Office Mobile」アプリが提供されており、こちらはOffice 365の契約なしで閲覧や編集機能が利用できる点で、他のプラットフォームと差別化されていた。
ただし、両アプリともに「スマートフォン用のユーザーインタフェース(UI)」に最適化されており、iPadやAndroidタブレットではその画面の広さというメリットを十分に生かせないものだった。そこで今年の春に海外でリリースされたのが、iPadに最適化したUIを備えたOffice for iPadというわけだ。
Office for iPadは基本的に「Microsoft Word」「Microsoft Excel」「Microsoft PowerPoint」の3つのアプリから構成されており、それぞれ別の機能として呼び出す形態となっている。
前述のようにリリース当初はOffice 365ユーザー向け製品の性質が強く、ダウンロード直後のアプリそのものは無料なものの、「閲覧」機能のみが利用できる状態だった。これにOffice 365の契約を行ったMicrosoftアカウントで「サインイン」することでロックが解除され、「編集」機能が利用できるようになる仕組みだ。
Office 365の契約はPCなどからWebブラウザにアクセスしてサブスクリプション契約するほか、iOSの標準機能である「アプリ内課金(In-App Purchase)」を使ってもサブスクリプション契約が行える。
ただし後者を利用した場合、アプリ内課金の規定により、ユーザーが支払った金額の3割をAppleが徴収し、残り7割をアプリ開発者であるMicrosoftが入手する形となる。本来、直接Microsoftに契約するより同社の取り分が少なくなるのだ。「そこまでしてMicrosoftはOffice拡販の道を選んだのか!」ということが大きな話題となった。
もっとも、当時はOffice for iPadの利用でペアとなる「Office 365」の個人ユーザー向けの提供が日本では行われておらず、海外展開されている「Office 365 Home(Home Premium)」「Office 365 Personal」といった製品は利用できなかった。ゆえに日本のApp Storeでは、米国でアプリが提供されたタイミングではOffice for iPadをダウンロードできず、歯がゆい思いをしていたユーザーも多かっただろう。
しかし、2014年10月17日には日本の個人ユーザーに向けた専用エディションである「Office 365 Solo」の提供が開始され、晴れて日本でも法人、個人を問わず、Office for 365の利用が可能になった。そして2014年11月に行われたOffice for iPadのアップデートにより、一部の編集機能が無料(Office 365の契約不要)になったことに加えて、日本での提供が始まったのは、冒頭で紹介した通りだ。
ちなみに現在のiOS用Officeアプリは、iPadとiPhoneの両方に対応しており、ほぼ同等の機能が利用できるが、それぞれのデバイス向けにUIが最適化されている。
またAndroidタブレット向けアプリの提供も「Office for Android tablet」のプレビュー版(英語版)が公開され、希望者から先着順で導入が可能だ。こちらの正式な提供開始は2015年前半とされている。
以上を踏まえ、各プラットフォームごとに利用可能なOfficeアプリをまとめてみた。iPhoneのみOffice Mobileに加えて個別アプリが二重に提供されている以外は、タブレットとスマートフォン向け(Office Mobile)でプラットフォームが区分けされていることが分かる。
モバイルOS別のMicrosoft Office対応状況 | ||
---|---|---|
対応OS | Word/Excel/PowerPointアプリ提供 | Office Mobileアプリ提供 |
iPhone | ○ | ○ |
iPad | ○ | − |
Android | − | ○ |
Android(タブレット) | △ (プレビュー版) | − |
Windows RT | ○ | − |
Windows Phone | − | ○ |
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