2015年にPCはどう変わるか?――Intelプラットフォームの進化から考える本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)

» 2015年01月03日 14時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

小幅なアップデートだった2014年とは異なり、2015年は大きな変化の予感

 ITmedia PC USERで「1年のPC動向を占う」というテーマの年初コラムを始めてから、今回が4度目の執筆となる。前回のコラムにも書いたように、PC業界はハードウェアの標準プラットフォームをIntelが、ソフトウェアの標準プラットフォームをMicrosoftが担い、それぞれ計画的なアップデートを行っているため、両社の戦略からPCの将来像をおおよそ予想可能だ。

 特にIntelは半導体製造技術のトレンドに合わせたプロセッサ開発のロードマップを数年単位で示している。もちろん、技術的な問題での遅れ、あるいは市場トレンドの状況に合わせて意図して投入時期をズラす場合などもあるが、Intelの情報を追いかけている読者ならば、年単位での大まかな流れは「最初から追えている」という方も多いのではないだろうか。

 Intelはすでに2015年の大まかなロードマップを発表済みだ。まずは、そうした情報を整理・復習するところから始めるが、このところIntelのロードマップと「製品の買いどき」は必ずしも同期しなくなってきている。

まだ第5世代Core(Broadwell)も発表前だが、2015年後半にはその次世代プロセッサ(Skylake)も登場する予定だ。詳しくは後述するが、Skylake世代のPCでは単にパフォーマンスの向上以外に、使い勝手が向上するプラットフォーム全体の進化にも期待できる

近年増えているTickとTockのオーバーラップ

 本誌読者ならば、改めて説明するまでもなくご存じの方も多いだろうが、あえて「説明」から入りたい。

 Intelは半導体製造プロセスを1世代アップデート(つまりは微細化)すると、まずは前世代用に開発したマイクロプロセッサの構造を大きく改変せず、省電力でコンパクトなプロセッサとして商品化する。十分な経験値を積み上げつつ、新たなアイデアを導入したり、部分的にプロセッサ構造を大きく変えた新世代マイクロプロセッサの立ち上げを次の段階として行う。さらに製造プロセスの世代が進めば、今度はそれを移し替える。

 半導体製品は、回路設計そのものの変更でも性能や機能を強化できるが、半導体製造プロセスの変化が、省電力化、高性能化に直接的に寄与する面もあるため、こうしたプロセッサ設計の面と半導体製造の面、2つの切り口で進化を互い違いに繰り返すようにしている。

 これが、PC専門誌などでよく登場するIntelの「Tick-Tock」戦略で、時計の振り子のように粛々と「進化と熟成」を繰り返してきた。今もそれは変わっていない。ただし、IntelがTick-Tock戦略を始めたころは、ほぼ1年ごと交代でプロセッサを新製品にバトンタッチするサイクルを繰り返してきたが、このところそのリズムはやや狂い気味だ。

Intelの「Tick-Tock」戦略。半導体製造プロセスの微細化(Tick)と、性能・機能向上(Tock)を時計の振り子のように繰り返し、プロセッサのマイクロアーキテクチャを進化させる

 直近では、22ナノメートルプロセス世代で最新設計となったHaswellマイクロアーキテクチャを14ナノメートルプロセス世代に移植・熟成させたBroadwellマイクロアーキテクチャが一部で(Core Mプロセッサとして)登場し始めたところだが、Broadwellは市場への投入が遅れており、14ナノメートルプロセス世代向けに新設計したSkylakeマイクロアーキテクチャの投入時期に近づいている。

 Intelは2006年以降、すべてのマイクロアーキテクチャを「Coreマイクロアーキテクチャ」と呼んでいるため、こうした開発コード名での呼称が定着しているが、Broadwellは「第5世代」(Tickの世代)、Skylakeは「第6世代」(Tockの世代)に相当するものだ。現行のHaswellおよびHaswell Refreshは「第4世代」(Tockの世代)として、各社のPC製品に幅広く採用されている。

 現状でCore Mプロセッサ(Broadwell-Y)を除くBroadwellは、2015年春から順次リリースされる見込みだ。続くSkylakeは、現状で2015年下半期から投入されるという。2013年に発売されたHaswellのマイナーチェンジ版となるHaswell Refreshが登場した以外、一部でCore Mプロセッサが出ただけだった2014年に比べると、2015年はプロセッサの大きな変化が続く1年になりそうだ(もちろん、この予定がズレることもある)。

 さて、ここでいつも議論となるのが、果たして半導体製造プロセスの微細化により熟成が進んだ第5世代(Broadwell)と、半導体製造プロセスはそのままにまったく新しい構造とする第6世代(Skylake)は、どちらがよいか? という話だ。一般的には後者の方がパフォーマンスがよく、昨今は電力効率面でも進歩することもあるが、一方で回路規模が大きくなるデメリット(想定するほどクロック周波数が伸びないなど)が出てくる可能性もゼロではない。

 こればかりは実際に市場に出てみないことには分からない面もある。とはいえ、大昔ならばマイクロアーキテクチャの世代違いは天地をひっくり返すぐらいの差があったが、とりわけ消費電力とパフォーマンスのバランスが求められるようになって以降は、正常進化の範ちゅうと捉えてウォッチするほうがよいと思う。

Intel Developer Forum 2014(2014年9月に米サンフランシスコで開催)で行われたSkylake搭載2in1デバイスのデモ。CPU内蔵GPUで4K動画を再生し、処理性能の高さをアピールした

 また、コア数が多い性能重視のプロセッサと低消費電力重視のプロセッサでは、同じタイミングでも異なる世代のマイクロアーキテクチャが主流となることも多く、TickとTockは複雑に入り組んでオーバーラップしている。さらに、一部のマニア向けに特化しているデスクトップPC向けプロセッサと、現在主流のモバイルPC向けプロセッサを同一軸で語ることもまったくできない。

 無論、新アーキテクチャの投入時期を読めれば、同じタイプの製品でも最新プロセッサへと切り替わった直後に購入できるという面で、消費者にとってプラスもある。とはいえ、一般的なノートPCの購入であるならば、パフォーマンス面で世代交代のタイミングにこだわる必要はない。しかしプラットフォーム全体で見ると、プラットフォーム切り替えのタイミングを見計らったほうがよい面もある。

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