連載
» 2015年01月16日 17時00分 公開

Internet Explorerは廃止されるのか?――ウワサから考えるWindows 10の姿鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

次期OS「Windows 10」では、Internet Explorerと違う新開発のブラウザが搭載されるとウワサになっている。Microsoftは長年築き上げたIEをどうするつもりなのだろうか。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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Windows 10は標準ブラウザが新開発の「Spartan」になる?

 2014年末、海外のIT業界では「Internet Explorer終了の日」というトピックが大きく取り上げられ、ちょっとした議論になっていた。昨今のMicrosoftを象徴するとも言えるこの戦略について、Windows 10が登場する2015年の本連載で最初の話題として取り上げよう。

 今回の話題は、米ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏と、米Neowinが12月29日(米国時間)に公開した記事に端を発する。概要をまとめると、Microsoftはより軽量でユーザーインタフェース(UI)を簡略化した新しいWebブラウザを開発しており、これがWindows 10の標準ブラウザとして採用されるという。

 ジョー・フォリー氏によれば、この開発中のWebブラウザは「Spartan(スパルタン)」の開発コード名で呼ばれており、これまでMicrosoftが継承してきた「Internet Explorer 12」のような名称は採用しない可能性が高いとのことだ。

 現在配布されている「Windows 10 Technical Preview」(以下、Windows 10 TP)では「Internet Explorer 11」を標準ブラウザとしているが、これが正式に製品化される際にはSpartanへと置き換えられ、IE11は少なくともデスクトップ向けのSKU(Stock Keeping Unit、OSではエディションに相当する)で後方互換性維持のため、セカンドブラウザとして補助的に搭載されるにとどまるという。

現在配布されているWindows 10 Technical Previewには、Internet Explorer 11が搭載されているが……

 Spartanの存在そのものはジョー・フォリー氏が9月に報じていたもので、ChromeやFirefoxのようなUIに加えて、ActiveXとは異なるExtentionの仕組みを搭載するブラウザになるとしていた。

 新情報では、JavaScriptエンジンの「Chakra」やレンダリングエンジンの「Trident」は継続利用されるものの、Trident自体は2種類のバリエーションへと分離され、前述のような後方互換性を重視した既存のIE11の延長にあるもの、そしてより“モダンな作法”に準拠した軽量バージョンの2つが用意され、後者がいわゆるSpartanに該当する新Webブラウザとなる。

 このMicrosoftの新ブラウザ戦略は、早ければ1月21日午前9時(現地時間)に米ワシントン州レドモンドにある本社で開催される報道関係者向け発表会で明かされるだろう。Webキャストによる中継が予告されており、誰でも参加が可能だ。日本時間では1月22日午前2時の開始と深夜にあたるが、興味のある方はぜひチェックしてみてほしい。同社は初春をめどにコンシューマー向けのWindows 10戦略に関する説明を行うとしており、今回のSpartanに関する動きと密接に絡んでいると考えられる。

 一般コンシューマー向けの“モダン”なWebブラウザにおいて、Microsoftが長年大事にし、ある意味で負担となってきたレガシーサポートはそれほど重要ではない。そもそも、インターネット上の多くのサービスやWebページの閲覧にはレガシーサポートは必要がなく、むしろ古いバージョンのブラウザのサポートを停止している例さえ多いからだ。

 レガシーサポートが重要となる企業ユーザーと、AppleやGoogleといったライバル会社のOSを搭載した製品が広く受け入れられているコンシューマー市場で、同じWindowsの技術をベースにしながらも別の製品展開を狙うというMicrosoftの意図がうかがえる。

2015年1月21日(現地時間)、米ワシントン州レドモンドの米Microsoft本社でWindows 10発表イベントが開催される。Webキャストによる中継が行われる予定だ。日本時間では1月22日午前2時から

Spartanはレガシー排除に向けた布石か

 前項で紹介した海外記事には、IEを2つの異なるブラウザに分割する明確な理由は説明されていないものの、ある程度は容易に想像可能だ。

 これら過去の記事でも紹介したが、Microsoftにとってレガシーサポートの負担は大きく、この状況を脱却するため、さまざまな方策を巡らせている。具体的には、Windows XPが長生きする原因の1つとなっていたIE8以前のWebブラウザに最適化された企業システムに対応するため、IE11に「エンタープライズモード」を導入して互換性を強化した。

MSDNのIEBlogから、IE11の「エンタープライズモード」説明画像。適用すると、アドレスバーのアイコンが“ビル”のマークに変化し、IE8以前のブラウザを想定したWebアプリケーションがIE11上でも動作可能になる

 Microsoftの戦略として、もともとは「最新ブラウザは最新OSのみに提供」という考えがあったが、Windows 8以降は最新OSの普及率も低く、IE11はWindows 7への提供が行われている状況だ。結局のところ、レガシーサポートを打ち切って負担を軽減する方法を模索しても、最終的にはサポート対応をせざるを得ないという状況になっている。

 近い将来、Microsoftにとって大きな負担となるのは、Windows 7とIE11を利用するユーザーの新プラットフォームへの移行で、Windows 10はこの受け皿となるべく開発が進められていると考えてよいだろう。

 とはいえ、すべてのニーズを吸収すべくWindows 10の開発を進めていけば、今以上に肥大化したOSプラットフォームになるのは避けられない。米Neowinも記事中で指摘しているが、IE11の後継となるブラウザのコンポーネントを2種類に分割するのは、その一方を今日のIE11のそれよりも軽量なものにすることが目的だという。

 レガシーサポートを必要としないユーザーにとっては、OSやブラウザがさらに軽量となり、以前に比べて新技術の取り込みも比較的容易になるメリットがある。そして将来的には、すべてのIEとWindowsにおいてレガシーサポート排除の布石となるだろう。

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