「Windows 10スマホ」急増の兆し――実績ナシでも参入が相次ぐ理由本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)

» 2015年10月22日 09時30分 公開
[本田雅一ITmedia]

やっとそろった日本でのWindows Phone発売要件

 現状でWindows Phone向けアプリケーションが少ないとはいえ、主要なサービス(代表的なSNS用クライアントなど)用のアプリは存在している。メール、カレンダーやブラウザなどの基本的な機能も、もともと動作が軽かったことに加え、バージョンを重ねるごとに洗練度も高まっていた。

 Windows 10 Mobileをきっかけに、日本市場に参入するメーカーが増えるのは当然としても、MADOSMAまで全く製品が存在しなかったというのは疑問――そう思う読者もいるのではないだろうか。

 MicrosoftはWindows Phone端末開発支援のため、またOSの安定動作や最適化のしやすさといった面もあり、端末のハードウェアに関して基本的なスペックや使用するAPUなどについて規定している(「シャーシスペック」という)。

 シャーシスペックを規定するとともに、APUベンダーのQualcommと共同で特定シャーシスペックに対する最適化とハードウェア開発支援を提供することで、端末品質を向上させつつ、設計から生産・出荷までの時間を短縮するための施策だ。

 さらに過去にさかのぼれば、MicrosoftはAndroid向けに開発された端末でも一定以上の条件とスペックが合えば、そのままWindowsをインストール可能にするツールなども提供してきた。スマートフォン向けのWindowsは、いずれも各世代におけるAndroidよりもずっと要求パフォーマンスが低かった(同じスペックなら軽く動作し、バッテリーも長持ちする)。

Microsoftが公開している「スマートフォン」のデザインガイドラインでは、Windows 10 Mobile搭載機は3つのカテゴリに分けられている

 それでも日本に一切の端末が登場しなかったのは、当然あるべきサービス、アプリが提供できていなかったからだ。そのうちの1つ、音楽配信サービスに関しては再ローンチ済みだが、もう1つのほうが影響は大きい。実は純正の地図サービスが使いものにならなかったのだ。

 Microsoftは「Bing」ブランドで展開するサービスの1つとして、地図サービスを提供している。かつて、Windows Phoneもこれを使っていたのだが、Nokiaのハードウェア部門を買収する前、対応端末の開発で提携した際に、これをNokia Mapに切り替えていた。

 Nokiaはロケーションセンシティブなサービスを、スマートフォンのアプリケーションとして展開するため、独自に地図サービスを構築していたのだが、既に日本での端末提供をしていなかったため、Nokia Mapには日本のまともな地図が収録されていなかった。もやは語りぐさだが、国道クラスでなければ道路の線さえ引かれず、拡大しても詳細な地形は分からない。

 もちろん、他の地図アプリをダウンロードするという手はあるが、純正の地図サービスがこれでは、日本での発売は絶望的だと感じたものだ。なお、PC用のWindowsでは、引き続きBingマップが使われていたため、影響は受けていない。

 Windows 10 Mobileでは、他のWindowsハードウェアと共通のOSカーネル、アプリケーションを共有することもあり、地図サービスも早い段階でBingマップへ切り替えられることが明らかになっていた。また、電子秘書サービスの「Cortana」もプレビュー版ながら待望の日本語対応を果たしており、これもWindows 10 Mobileの世代から利用可能となる。

 まさにやっと、Windows Phoneを日本で販売できる環境が整ったところ。言い換えれば、まだ市場はこれから形成されるわけで、新規メーカーはまだレッドオーシャンになっていないこのタイミングで、強豪ひしめくAndroidではなくWindows 10 Mobileで、各社の特徴を訴求しようと考えたのだと思う。少なくとも筆者は、そういった側面もあってWindows 10 Mobileでの参入を(NuAnsプロジェクトの中で)主張していた。

Windows Phone 8.1の地図アプリWindows 10 Mobileの地図アプリ 左がWindows Phone 8.1、右がWindows 10 Mobile(Insider Preview)の地図アプリ。左は地図として使いものにならないが、右では改善されている(画像は鈴木淳也氏提供)

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