ここでリテイクかよ!? “無茶振り”が生んだ高性能コンパクトPC「LITTLEGEAR」開発秘話企画と開発のせめぎ合い(1/2 ページ)

» 2015年12月02日 16時00分 公開
[ITmedia]

5年ぶりの新型ケースを採用した「LITTLEGEAR」

 マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」に加わった「LITTLEGEAR」シリーズは、持ち運びも視野にいれたコンパクトなデスクトップPCでありながら、GeForce GTX TITAN Xをはじめとする超ハイエンドグラフィックスカードも搭載できる注目の新鋭機だ。

G-Tune「LITTLEGEAR」

 これまでG-TuneのデスクトップPCは、Abeeと共同開発したオリジナルケースを採用するフラッグシップ機「MASTERPIECE」、中世騎士を連想させるユニークなデザインの定番モデル「NEXTGEAR」、税別5万9800円から幅広い構成でカスタマイズできるミニタワーモデル「NEXTGEAR-MICRO」と、3種類のケースで展開してきた。

 G-TuneのデスクトップPCというくくりでは、2010年11月に登場した「NEXTGEAR-MICRO」から数えて約5年ぶりの新ケースということになる。見方によっては代わり映えしないラインアップだが、これだけ息が長いのはケース単体でも製品ラインアップ全体でも完成度が高く、あえて変更する理由がなかったからともいえる。

 そこにあえて新ケースを採用した「LITTLEGEAR」を投入したのはなぜか。G-Tuneで製品企画、開発を担当する杉澤竜也氏と小林俊一氏にその意図や開発にまつわる裏話を聞いた。

G-Tuneでおなじみの杉澤竜也氏(左)と開発を担当した小林俊一氏(右)

きっかけは「Oculus Rift」――VRの未来を見据えた製品を作りたい

―― G-TuneのデスクトップPCに久々の新筐体が出ました。今回「LITTLEGEAR」をラインアップに加えたのはどういった意図があったのでしょうか。企画の背景を教えてください。

杉澤 もともとG-Tuneには小型デスクトップPCとして「LITTLEGEAR」という製品がありました。2007年のころで、Intelが当時展開していたBTXマザーを採用するモデルです。日本の住宅環境に合わせてできるだけコンパクトなものを、というコンセプトでした。

 ただ、そのLITTLEGEARはハードウェアとしての制約が多かったのです。例えば、グラフィックスは2スロット占有タイプのカードを載せることができませんでした。また、排熱が抜群にいいわけでもない。そのころのグラフィックスカードは、2スロットタイプが主流になりつつあり、パワー不足を感じていました。

 G-Tuneはゲーマーのためのブランドなので、性能面でミドルレンジの域を出られないならば、といさぎよく販売を終了し、コンパクトさを求めるニーズにはNEXTGEAR-MICROで対応する形に変えています。旧LITTLEGEARよりも大きなミニタワーにはなりますが、こちらであれば最上位モデルの構成も可能です。

マウスコンピューターでプロダクトマネージャーを務める杉澤氏。「G-Tune」の育ての親

―― それから7年近く経って再びLITTLEGEARに手をつけたのはなぜですか?

杉澤 きっかけはバーチャルリアリティヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)「Oculus Rift」のDK2(開発者向けキットバージョン2)です。

 それまでLITTLEGEARを復活させることは考えていなかったのですが、DK2によって要求スペックが跳ね上がったこと、また、ノートPCではNVIDIAの自動グラフィックス切り替え機能であるOptimusがじゃまをしてきちんと動作しないことから、VR開発者に向けた製品を用意すべきだと思い始めました。2014年の夏ごろのことです。

―― 昨年は「OcuFes監修PC」をリリースしたり、他社に先駆けてVR業界を盛り上げるような取り組みをされてますよね。Oculus系のイベントに行くと必ず杉澤さんがいる、みたいな(笑)。

杉澤 Oculus開発者の桜花一門さんに偶然出会って、実際にVRを体験してから、これは次世代のコンテンツになると確信しました。「画面の中の嫁がなかなか出てきてくれない」という笑い話がありますが、VR体験は「じゃあこちらから画面の中に会いに行けばいいじゃん」みたいな冗談が現実になるくらい画期的でした。

ゲーミングPC専門店「G-Tune:Garage」では、VRを気軽に体験できるOculusの常設展示を行っている

杉澤 これは確実に遊びの幅が広がるだろう、それならばPCメーカーとしてどうやって貢献していけるか。開発者の方々に話を聞くと、Oculusの魅力は体験しないと分からない部分が多いので体験イベントなどを開くのですが、表示用のPCを手軽に持ち運べないという意見がありました。

 そうした意見を元に、まずOptimusの機能をオフにできるノートPCをリリースしています。ただ、やはりノートPCですので、DK2の高い要求スペックでUnreal Engine 4ベースの高品質なデモをするのは性能面で厳しい部分があります。だからといって、NEXTGEAR MICROを持ち歩くのは現実的ではない。

NVIDIA Optimus(GPU切り替え機能)を強制的にオフにできる「NEXTGEAR-NOTE i5710」

 そこで新たにLITTLEGEAR開発がスタートしました。2014年の夏ごろのことです。VR開発者に向けて持ち運べるコンパクトさを維持したまま、性能面でも一切の妥協を許さない製品がコンセプトです。GeForce GTX TITAN XやRadeon R9 Fury Xといった超ハイエンドカードに対応できれば、VRだけでなくe-Sportsの波も来ているので、個人でゲーミングPCを持ち寄って遊ぶLANパーティなどにも活用できるでしょう。

 ただ、きっかけは“小型で高性能なマシン”というイメージでしたが、作っていく過程で、ハイスペックな構成でもきちんと動作する、一般ユーザーに幅広く使って頂ける製品になったと自負しています。

 例えば、価格は最小構成時で税別5万9800円と、NEXTGEAR-MICROと同等です。開発する側からすると、小さくすればそれだけコストがかかるのは当然ですが、このモデルは「小さいから高い」という“言い訳”はやめたかった。

 LITTLEGEARにはH81ベースとH110ベースの2種類のラインアップがありますが、前者はPentium搭載モデルを用意するためです。PentiumとCore i3の性能を比べたとき、実際大きな差はなかったので、それなら導入の窓口を広げたほうがいいだろうと考えた結果です。コンパクトなデスクトップPCを探している幅広いユーザーにオススメできます。

マウスコンピューター/G-Tune

→PC USER特設ページ「mouse computer station」
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