山形県の「米沢」といわれて思い浮かべるのは、上杉鷹山や上杉謙信、前田慶次といった歴女大喜びの歴史や伝統、そしておいしい米沢牛だったりするのだが、PC USERの観点から見れば、そこはモノ作りの街なのだ。JR米沢駅から車で約5分、そこにはNECパーソナルコンピュータの開発生産拠点である米沢事業場が立地している。
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約1000人の従業員が働く米沢事業場では、主にNECパーソナルコンピュータの受注生産品となる個人向け直販モデルと法人向けモデル、加えてレノボ・ジャパンの「ThinkPad X1」シリーズを生産している。1日当たりの生産台数は約1万台で、全国から寄せられるオーダーに対して、受注から最短3日でユーザーの手元にPCを届けられる生産能力を持つ。
ここまで効率化を突き詰めた生産ラインと聞けば、さぞかし高性能なロボットアームが超高速でライン上を行き来し、一心不乱にPCを生産しているのだろうとおもいきや、実際に超高速で動いているのは熟練した職人たちの手だ。そこには効率化を図るために重ねられた改善事例と、ITシステムの活用がある。
製品を生産するラインは、組み立てから検査、箱詰めまでの全作業が横一列に並んで行われている。従業員のスキルによって配置される人数は増減するが、精鋭チームともなれば1ラインの最小人数は3人だ。PCは新製品が次々と登場して入れ替わりが激しい上に、細かいカスタマイズに対応するにはオートメーション化が難しいとのことで、一つ一つの製品が手作りによって組み立てられているのだ。
生産ラインは一見するとモノが雑多に置かれているように感じるが、これらは全て効率を追究し、最大の生産パフォーマンスが発揮できるように考え抜かれたものだ。部品棚は移動式で、最小の動きで必要なパーツを手に取ることができ、ぶら下げられた電動ドライバ収納部分には、余計な揺れが発生しないように水道用のパイプをカットしたお手製の部品を取り付けている。これらは全て現場の意見から取り入れられたものだ。
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