これらの職人技をさらに支えるのがITシステムの活用だ。組み立てる製品に添付されたRFIDカードを読み取ると、必要な部品の格納場所が点灯し、目的の部品を素早く回収できる。工場内にはライントレースカーの要領で、部品などを運ぶカートが自動走行している。これらはコストが抑えられるのと、メンテナンスが容易という理由から、多くが社内で手作りしているというから驚きだ。
米沢事業場の基本的な考え方として「従業員に気持ちよく仕事をしてもらう」という思想がある。どんな小さな作業であっても、従業員が少しでも煩わしさを感じれば、それが生産性の低下につながる――改善を重ねることで、よりよいものづくりが生まれることは間違いないだろう。
ちなみに生産ラインの従業員は8割が女性だ。これは特別に女性を多く配置しているわけでなく、適正で振り分けたところ自然とそうなったという。やはり細かい作業は男性よりも女性が得意ということか……。重い荷物を運ぶ場面で、サポート機能を付けるなど、今後は全ての工程を女性でも支障なく作業できるよう検討しているとのこと。米沢のものづくりを支える現代の武将は、“女将(おかみ)”なのかもしれない。
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