NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)の2016年春モデルで注目すべき機種の1つが、11.6型の画面を持つデタッチャブルPC(※)「LAVIE Hybrid ZERO」だ。タブレット単体で約398グラム(HZ100/DA)、バッテリー内蔵のモバイルパワーキーボードを装着しても約798グラム(HZ300/DAおよびHZ330/DA)と、11.6型としては世界最軽量(NEC PC調べ)を実現している。
※デタッチャブルPC:画面の取り外しができるPC。通常、PCとしての機能は画面側に集中しているため、単体でタブレットとしても使えるようになっている
1月21日、NEC PCはLAVIE Hybrid ZEROの11.6型モデルの技術説明会を開催した。説明会には商品企画担当の中井祐介氏、構造設計担当の梅津秀隆氏、フラットカバーキーボードの設計担当の杉本繁伸氏、NECダイレクト(Web直販)担当の梅田裕氏が登壇し、Hybrid ZEROに込めた“魂”をそれぞれの立場から語った。前編では、中井氏と梅津氏のプレゼンテーションの模様をお伝えする。
Hybrid ZEROの歴史は、「世界最軽量」を追い求める歴史でもある。2012年7月に発表された「LaVie Z」(第1世代)は、約875グラムの世界最軽量13.3型Ultrabookとして登場。2013年10月に発表された第2世代は、非タッチモデルが約795グラムと最軽量記録を更新すると同時に、新たに加わったタッチ対応モデルも約964グラムと、タッチ対応モデルとしては世界最軽量となった。そして2015年1月に発表され、名前を「Hybrid ZERO」と改めた第3世代では、タッチ非対応のクラムシェルモデルが約779グラム、タッチ対応モデルが画面の360度回転機構を追加しながらも約926グラムとなり、いずれも世界最軽量記録を更新した。
世代を重ねて完成度が高まった13.3型モデルだが、「PCとしての使い勝手には非常に優れるが、(2in1モデルは)タブレットとしてのハンドリングには不向きになる」(中井氏)という課題がある。そこで、「トータルの重量バランスを考慮し、最も軽量になる」コンバーチブルタイプのボディを選択した。
一方、今回新たに登場した11.6型モデルについては、「PCとしての使い勝手は13.3型モデルには劣るが、タブレットとしてのハンドリングには適する」ことから、タブレットPCとしての軽量化も追求できるデタッチャブル構造を採用することになった。
11.6型モデルも、Hybrid ZEROが目指す「世界最軽量」「真の2in1」のコンセプトを継承。タブレットモード、ドッキングモードのいずれも世界最軽量であることはもちろんだが、ドッキング時に可搬性を損なわずに従来のノートPCと同じ使い勝手を維持することも重視して開発してきたという。
タブレットとしての可搬性(モビリティ)を高めるためのオプションとして、フラットカバーキーボードを用意した。単体で200グラム以下を目指して開発してきたというこのキーボードは、中井氏の「(タブレットに)カバーを着けて使っていたが、余計に重たくなって外して運用するようになった」経験が企画に反映されているようだ。最終的に単体重量は約187グラム、本体と合わせても約585グラム(HZ100/DAと組み合わせた場合)で、厚みも本体と合わせて11.1ミリとなり可搬性を損ねずに持ち運べるものとなった。
また、可搬性を生かす取り組みとして、NEC PCの個人向けPCとしては初めてLTE通信機能を内蔵したモデル(HZ330/DA)を用意した。これは、13.3型モデルは「『点』(移動先)で使うイメージ」なのに対し、11.6型は「電車などで『線』(移動中)で使うイメージ」を想定したことによる。11.6型モデルは「Instant Go」(スリープ中も一定時間ごとに通信を行う機能)に対応していることから、真の意味で「いつでもどこでも」つながる2in1として利用できる。
さらに、リアカメラをIntel RealSense対応の3Dカメラにしたモデル(HZ300/DA)も用意した。こちらは、可搬性を生かした新しい使い方の提案、といった要素が強いようだ。
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