11.6型「LAVIE Hybrid ZERO」に匠が込めた“燃え上がる魂”(前編)ただ「軽い」だけじゃない(3/3 ページ)

» 2016年01月23日 00時00分 公開
[井上翔ITmedia]
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排熱設計:グラファイトシートで表面温度上昇を防止 3Dカメラが意外と発熱

 タブレットとして使う場合、本体の排熱設計が非常に大きな課題となる。特に、11.6型Hybrid ZEROの背面パネルは熱を伝えやすい金属製であるため、そのことを考慮した設計にする必要がある。排熱のために大がかりな装置を取り付けると、世界最軽量から遠ざかる恐れもある。

 そこで、本体の広範囲にグラファイト(石墨)シートを配置することで、表面温度の上昇を防止している。小型ファンを内蔵するよりも2グラム以上軽くなったというが、「世界最軽量」を目指す上では非常に大きな「2グラム」だ。

 開発の過程では、3Dカメラの発熱も問題になった。他の部品への影響をさけるため、3Dカメラはメイン基板から離れた位置に配置した。リアカメラの位置が通常のリアカメラを搭載するモデルと異なるのはこのためだ。

発熱対策 発熱対策として、グラファイトシートを活用

LTEモデムとカメラ:本体のサイズ変更を避けるため「排他」に

 先述の通り、11.6型Hybrid ZEROにはLTEモデルがある。当然、LTEモデルではLTE/3G通信用のアンテナが別途必要となる。

 当初、LTE/3G通信用に板状アンテナを内蔵する計画だったが、アンテナとボディの間に隙間が生じ、その部分の強度が低下する上、アンテナを収納するためにベゼルの幅を広げる必要があることが判明した。

 そこで、プラスチック製の土台にフィルムアンテナを取り付ける方法を採用することになった。これにより、通信性能を低下させずに、ボディ強度を確保しつつベゼル幅を抑えることができた。

LTE/3G通信用のアンテナはフィルムアンテナに LTE/3G通信用のアンテナは、プラスチックの土台にフィルムアンテナを取り付けることで設置面積を縮小

 技術陣の工夫で設置面積を縮小できたLTE/3G通信用アンテナだが、それでも3Dカメラとの同時搭載は実現できなかった。

 無線LAN(Wi-Fi)とLTE/3Gのアンテナは、電波強度の兼ね合いもあり、本体上部に置くことが最適であるという見解を得ていた。そのため、その他のパーツをどう本体上部に配置するか検討が重ねたという。

 まず、アンテナとマイク付きフロントカメラ、リアカメラを横一列に並べてみたら横幅が足りなかった。次に、マイクを別の位置に移動してみたものの、やはり横幅が足りなかった。そこで、今度はリアカメラをアンテナに重ねて実装しようとしたものの、厚みが4.8ミリ増えることが判明した。それならと、アンテナの下にリアカメラを持ってきたところベゼルの幅を7.3ミリ増やす必要が生じた。

 最終的に、「苦渋の決断」(梅津氏)だったが、3DカメラとLTEアンテナを「排他レイアウト」とすることになった。ハイスペックモデルが「3Dカメラモデル」と「LTEモデル」に分かれていて同時搭載できないのは、このためだ。

本体サイズアップを抑える検討 本体のサイズアップを避けるため、3DカメラとLTEモデムは排他とする決断を下した

モバイルパワーキーボード:使いやすくする工夫が随所に

 デタッチャブルPCの“要”ともいえるキーボード部にも、さまざまな工夫が凝らされている。試作機のモバイルパワーキーボードでは、「キーボードのリフトアップ(持ち上がり)が少ない」「タブレットの着脱がしづらい」「タブレットとキーボードの隙間が大きすぎて一体感がない」といった課題が見えていた。

 まず、ヒンジの回転位置の調整を行い、ドッキングボックスがキーボードよりも下に来るようにした。結果、ドッキングボックスによってキーボードが持ち上がる量が増え、キーボード入力がしやすくなった。

キーボードはリフトアップ構造に ドッキングボックスがキーボードの底面よりも低くなるようにすることでキーボードの持ち上がりを改善

 次に、ドッキング時の重量バランスを検討した。タブレット側はドッキング部に、モバイルパワーキーボードは手前側に低く重心を設定することで、無駄な重量増加を防ぎつつ転倒防止を実現した。ドッキングボックスのゴム足の位置も微調整することで、さらに安定感を増している。

重心設計 緻密な計算によって、余計な重量増加を避けつつ、開いたときに倒れないバランスを取ることに成功

 キーボードとタブレットの着脱の問題については、ガイドピンを短縮して挿入性を高めた。ただし、それだけでは装着後にタブレット(画面)がぐらついてコネクタに余分な負荷がかかる可能性があるため、装着時の一体感を高める対策を兼ねて、ドッキングボックスに壁を設置している。壁は画面側は低く、背面側は高くすることによって、挿入のしやすさにも配慮している。

ガイドピンの短縮と壁の設置で、挿入性を高めると同時に見栄えも改善 ガイドピンの短縮と壁の設置で、挿入性を高めると同時に見栄えも改善

 後編では、フラットカバーキーボードの設計担当の杉本氏と、NECダイレクト担当の梅田氏のプレゼンテーションをお伝えする。

NEC Direct(NECダイレクト)

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