この発想はなかった PC向けVRをケーブルから解き放つ「VR One」とは?最速実機レビュー(2/2 ページ)

» 2016年11月23日 06時00分 公開
[井上輝一ITmedia]
前のページへ 1|2       

「身につけるPC」はVRユーザーをケーブルから解き放ってくれるのか?

 結論から言おう。半分はYes、半分はNoだ。

撮影中、昼食から帰ってきた先輩方にバシャバシャ写真を撮られていた気がするが、周りが見えていないので恥ずかしさからは解き放たれた

「解き放たれた」といえる部分

 VR Oneは2つのバッテリーパックを搭載している。このバッテリーはホットスワップに対応している。つまり片方のバッテリーが刺さっていればもう片方を外し、満充電した別のバッテリーパックを刺す、といった運用でVR Oneの電源を落とさずにバッテリーの交換が可能だ。

 この点で、まず電源というケーブルから解き放たれている。

 次にVR OneとHTC Viveの接続だ。VR Oneの上部に固められたポートの並びは、HTC Viveから伸びる電源・HDMI・USBの3つの端子をそのまま接続できるようになっている。

2つのバッテリーはホットスワップに対応電源・HDMI・USBの順にポートが並んでいる 2つのバッテリーはホットスワップに対応(左)、電源・HDMI・USBの順にポートが並んでいる(右)

 これによってHTC ViveはVR Oneから電源の供給も受けられるため、ACアダプターをつなぐ必要がない。当然、初めに挙げた「ケーブル問題」は解消される。

まだ「解き放たれていない」部分

 ここまで読むと、「もうVR OneとHTC Viveだけで動くじゃないか」と思われるかもしれない。私もそう思った。だが、いざ触ってみるとこの2つだけで完結しない場合があることがすぐに分かった。――セットアップである。

ノートPCとは違ってディスプレイ・キーボード・マウスが必要。この点はデスクトップPCに近いともいえる

 VR Oneの起動からログイン、HTC Viveのセットアップにはこれらの他にディスプレイ・キーボード・マウスが必要不可欠となる。

 キーボードとマウスはBluetooth、ディスプレイはワイヤレスディスプレイレシーバーやリモートデスクトップを使用すればこれらのワイヤレス化は不可能ではない。しかしVRを楽しむ上で本来不要なものをインストールすると、何か問題が起きた時に原因の切り分けが面倒になる。やはりこの点は割り切って有線接続した方が無難だろう。

 もう1つ「解き放たれていない」のは、HTC Viveでの活動範囲だ。HTC Viveはユーザーの現実での位置情報をVR空間に反映するのが特長だが、そのためには部屋の隅などに「ベースステーション」という位置トラッキング用のデバイスを2つ設置する必要がある。

ベースステーションの設置方法(HTC Vive公式サイトより)

 2つのベースステーションの距離は最大で5mとされ、この範囲からヘッドセットが出るとトラッキングできなくなり、Viveのディスプレイには何も映らなくなってしまう。

 HTC Viveのヘッドセットにはカメラが内蔵されており、ヘッドセットを被っていても現実の室内の様子を眼前に映し出して確認することができる。

ヘッドセット越しに室内はこのように見える。VR空間上のコントローラーと実際のコントローラーの位置が被っている

 「カメラ機能を使えば、この格好で街を歩き回ることができるのでは」というのが先ほどから記事中に現れる、外でVR OneとHTC Viveを使用しているイメージ画像だ。

外でもViveでVR……という夢を見た

 実際には、ベースステーションを設置したスタジオから一歩出た瞬間目の前がまっしろになった。ケーブルの呪縛からは解放されても、HTC Viveの仕様の限界が立ちはだかった形だ。

 もっとも、HTC Viveは屋内での使用を前提としているし、ヘッドセットを付けたまま外を歩くのは(仮にカメラが作動したとしても)視界が狭まり危険なのでくれぐれもまねはしないようにしていただきたい。

リッチコンテンツVRの、ワイヤレス化への第一歩

 先日の「Japan VR Summit 2」のトークセッションではHTC ViveのバイスプレジデントであるJoel Breton氏が、VRのワイヤレス化について「2020年までにPC向けVRのワイヤレス化が進んでいくだろう」と語っていた。

 これからのVRのワイヤレス化が、VR OneのようなVR対応PCの小型化・モバイル化で進んでいくのか、映像の転送技術でPCとVRデバイスが切り離されるのか、あるいはスマートフォンのVR機能が進化していくことでリッチコンテンツもプレイ可能になるのか、未来はまだ誰にも分からない。

 しかしこれからのVRの流れがワイヤレス化だとすれば、VR Oneはその第“一”歩を踏み出したといえる。

 「ショルダーホン」という製品がかつて存在した。固定式の電話機から現在の携帯電話が生まれるまでの歴史の中で、初めての「持ち運べる電話」といえる製品だった。VR OneはリッチコンテンツVRの歴史の中の「ショルダーホン」に当たる製品なのかもしれない。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月06日 更新
  1. アイオーデータの価格改定、一部モデルは25万円超の大幅値上げに (2026年08月05日)
  2. Razer印のバックパック「Rogue Backpack V4」は、タフで収納力バツグン ゲーマーじゃなくても欲しくなる (2026年08月05日)
  3. 「人主導」から「自律実行」へ――進化する「Microsoft 365 Copilot」の新機能とエージェントAIの現在地 (2026年08月04日)
  4. テプラ、PC接続にも対応したラベルプリンタ「テプラ PRO」新モデル (2026年08月03日)
  5. Wacom「Cintiq Pro」に迫る実力 27型4K/120Hzで約30万円のXPPen「Artist Pro 27(Gen 2)」でお絵描きして分かった魅力と妥協点 (2026年08月05日)
  6. Ryzen 7 H255/24GBメモリ/1TBストレージのミニPC「ACEMAGIC F5A」がタイムセールで41%オフの10万6998円に (2026年08月05日)
  7. 10万円台で手に入る、理想の座り心地 電動サポート&ストレッチ機能が魅力のエルゴノミクスチェア「LiberNovo Omni Gen」を試す (2026年08月04日)
  8. Windows 11は8GBメモリでも快適に使えるようになる? 品質向上への取り組みと「26H2」に向けた中間報告 (2026年08月03日)
  9. PC市場の逆風下でMicrosoftが仕掛ける“サプライズ”とは? 2026年後半のSurface新製品を予想する (2026年08月04日)
  10. 新GPU「Radeon RX 9050」が登場するもアキバの反応は静か――2026年8月最新パーツ事情 (2026年08月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー