Synology 2018は、同社が法人・個人ユーザーを対象に世界17カ国で開催しているイベントだ。その年の同社の新製品や新しい機能、それらを含むNASの運用方法などを紹介する内容となっている。
冒頭のあいさつに立ったSales DirectorのMike Chen氏は、同社製品のユーザー数についていくつか数字を紹介している。同社の管理OSであるDSM 6.1のダウンロード数は368万件、パッケージ(NASキットに追加可能なアプリ)の有効数は5万1000件、そして同社のNASにアクセスするユーザー数を6億9000万アカウントと推測する。
個人向けはもちろん、世界の名だたる大手企業や行政機関、医療分野などで採用され、成長を続けているとのことだ。そのようななか、日本市場は昨年比で60%と大きく成長。特に個人向けで低価格なエントリー向けNASキットの「DS216j」の出荷量はアジア地域で一番であり、ビジネス向けモデルについても大幅な成長を記録しているという。
NASキットの新製品では、「DS218play」(2ベイ)、「DS118」(1ベイ)、「DS218j」(2ベイ)が明らかにされた。DS218playとDS118は、1.4GHzのクアッドコアCPUを採用することで処理を高速化し、暗号化時の転送速度で112MB/sを実現。さらに4Kトランスコード機能も備え、メディアサーバとして利用できる。一方、DS218jは、低価格なエントリーモデルとして好評のDS216j(およそ2万円台)の後継に位置づけられる。
NASキットでは、管理OSのパッケージセンター機能を介し、ネットワーク上からアプリの追加、機能の強化を特徴としているが、特に日本国内で期待される新アプリが「DiXiM DMS」だ。
DiXiMはDTCP-IP対応のメディアサーバ機能で、HDDレコーダーやテレビなどの録画機器で採用されている著作権保護機能に対応している。DiXiM DMSを用いれば、録画映像のムーブやコピーなどが実現でき、日本市場では重要なものとなるだろう。アプリは有料で、価格は未定、公開も近日とのみ発表されている。
このほか、将来の製品として「Synology Mesh Router」が紹介された。日本市場でも今夏に発売された「RT2600ac」に続くルータ製品となるが、ルータ機能というよりはWi-Fi中継器に相当する。壁で仕切られた家庭やオフィスにおいて、親機の無線LANルータなどから遠く離れた、電波の届かない弱いエリアをカバーするための機器である。
最大7基でメッシュを構成でき、うち1台を親機にできる。あるいは同社のRT2600acを親機とすれば、内蔵するハードウェアアクセラレーションによる高速処理が可能とのこと。特徴としては、IEEE802.11acに対応し、2.4GHz×2系統、5GHz×1系統のトライバンド構成で2.4/5GHzのどちらを親機との接続に利用するかを指定できるほか、複数台でメッシュを構成した際に、中継する1台に障害が生じても、自動的に別の中継器を経由するルートを再設定する自動管理・自動修復技術が挙げられている。
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