スマートスピーカーの機能の1つに、音声による家電製品のコントロールが挙げられる。あらかじめスマート機能を搭載したPhilipsの電球「Hue」などはもちろん、一般的にスマートリモコンなどと呼ばれる製品を用意すれば、赤外線リモコンを備えたテレビやエアコンなどの操作も可能だ。
こうした特徴が紹介されるときによく目にするのが「わざわざ音声で操作しなくても、普通のリモコンでいいじゃないか」という指摘だが、これはやや的外れであると感じる。なぜなら、スマートスピーカーによる家電製品の操作が真価を発揮するのは、単体の機器を操作することよりも、複数機器の同時コントロールにあるからだ。
例えば、外出先から帰宅した際、玄関の明かりをはじめ、リビングや自室など、グループに指定しておいた部屋の照明をまとめてオンにし、さらにエアコンのスイッチを入れた後、テレビもオンにするという操作が、たった1つの音声コマンドで行えてしまう。これは単体のリモコンではまず不可能だ。
さらにこれを応用して、時間の確認やニュースの読み上げ、天気の確認など、家電製品以外のさまざまな操作も合わせて行える。シーンごとにプリセットを作っておけば、リモコンを取っ替え引っ替えする必要がなくなるのはもちろん、外出時に電源を消し忘れるミスを防げるようになる。
こうした使い方を強力にサポートする新機能が、2017年末に「Amazon Echo」に実装された。今回はこの「定型アクション」なる新機能の使い方を紹介しよう。
定型アクションは、「スマートホーム」「ニュース」「天気」という3つのカテゴリーを組み合わせ、1つの音声コマンドで一括実行できる機能だ。定型アクションという名称が示すように、起床時や就寝時、帰宅時、外出時など、ある決まったタイミングで毎回繰り返すアクションを、まとめておけるグループと考えるとよい。
具体的にどのようなことができるかは、筆者の設定例を見てもらうのが分かりやすいだろう。筆者は現在のところ、起床時、そして就寝時に実行するアクションを登録し、毎日利用している。
1つ目は就寝時。登録されているのは以下の3つのアクションで、床についた段階でAlexaに「寝る準備」と呼び掛けると、これらが順に実行される。
部屋のメインの照明は、以前紹介したLinkJapanのスマートリモコン「eRemote」と連携しており、まずはこれをオフにした後、枕元に設置しているスマート電球のHueを、明るさ50%でオンにする。部屋を暗くする一方で枕元の豆電球をつけるイメージだ。
もう1つ、これらと同時に、部屋の隅に設置している撮影用LEDライトの主電源をオフにするアクションも追加している。万が一、LEDライトの電源をつけたまま就寝しようとしても、このアクションを実行することで主電源から確実にオフにできるというわけだ。このLEDライトは以前紹介したオーム電機のスマートプラグ「OCR-05W」をeRemoteで制御している。
2つ目の定型アクションは起床時に使用するためのもので、こちらは就寝時より1つ多い、4つのアクションを登録している。いざ起床するタイミングでAlexaに「起きる準備」と呼び掛けると、これらが順に実行される仕組みだ。
1〜3は就寝時とは反対の挙動で、部屋のメイン照明および撮影用LEDライトをオンにしつつ、枕元のHueをオフにするというものだ。本格的に起き出す前に、布団に入ったままHueをつけてスマートフォンなどを見ていることが多いため、本格的に起きるタイミングでこれをオフにしている。
さらに起床時にはもう1つ、天気予報の読み上げを設定している。照明をつけるのと連動して今日の天気や気温、予想最高気温と最低気温を教えてくれるので手間も掛からず、日中の外出予定を立てるのに重宝する。ちなみにニュースの読み上げも可能だが、1分以上続くのがザラなので、現在は利用していない。
ちなみに、これら定型アクションにはオリジナルの開始フレーズが利用できるので、自分で分かりやすいフレーズを設定しておける。ごく短いフレーズでもいいし、以前紹介した「この部屋に漆黒の闇をもたらして……」のような中二病フレーズでも構わないと言えば構わない。
ただし、例に挙げられている「おはよう」や「おやすみなさい」は、Alexaにあいさつと認識されて普通に返事されることも多いため、あまりおすすめしない。筆者の「起きる準備」「寝る準備」のように、通常の呼び掛けでは使わないユニークなフレーズを設定すると、認識率が向上するようだ。
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