「最高レベルのAI研究能力」を上海に集結させるMicrosoft:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

» 2018年09月21日 06時00分 公開

 米Microsoftは2018年9月17日(中国時間)、中国では2つ目となる研究機関「Microsoft Research Asia-Shanghai」の設立を発表した。また、上海市が運営するINESA(上海儀電)と共同で「Microsoft-INESA AI Innovation Center」を設立・運営していくことも発表した。

中国でのAI研究体制を強化するMicrosoft

 これらの新組織は上海の南西部にあたる徐匯区(じょかいく)を拠点とし、上海徐匯区人民政府との協力関係も推し進める。新組織は政府機関と企業におけるデジタルトランスフォーメーションの推進を目的とし、「共同イノベーションにより、AIテクノロジーの開発と上海におけるAI産業の成長を推進」するという。Microsoftは「世界最高レベルのAI研究能力を上海に結集していく」と意気込む。

Shanghai Microsoftは上海徐匯区人民政府とINESAとの協業により、AIイノベーションの加速を狙う

 今回の発表は、9月17〜18日に上海で開催されたイベント「World AI Conference 2018(WAIC、世界人工知能大会)」において、Microsoftの研究部門「AI + Research」を率いるハリー・シャム氏が発表したものだ。新組織は実質的に同氏の下で活動する。

WAIC WAICで公演するMicrosoftのハリー・シャム氏

 冒頭で中国では2つ目と書いたが、Microsoftは1998年に米国外では最大となる研究機関の「Microsoft Research Asia-Beijing」を設立しており、今年で設立20周年を迎える。こちらも同じくAIやNUI(Natural User Interface)を研究テーマとしており、新設の研究機関とどのような形で連携していくかは不明だが、組織が走る中で改めて表明されていくだろう。

MSRA 設立20周年を迎える北京市の「Microsoft Research Asia」

AI・クラウドに対する投資が加速

 1年を振り返るにはまだ少し早いが、2018年のMicrosoftは5年ぶりの大規模な組織改編を行い、「Experiences & Devices」と「Cloud + AI Platform」の2つの部門に再編したことが大きなトピックだった。

 同社が掲げる「Intelligent Cloud(インテリジェントクラウド)」と「Intelligent Edge(インテリジェントエッジ)」のビジョンを体現すべく、会社組織を「エッジ」と「クラウド」で分割したわけだ。

MS vision Microsoftが掲げる「Intelligent Cloud(インテリジェントクラウド)」と「Intelligent Edge(インテリジェントエッジ)」のビジョン

 一方、それまで独立した事業部として最大勢力を誇っていたWindows部門はサブグループの1つとなり、時代の流れを感じさせる出来事だった。この組織改編に伴い、これまで「Windows and Devices Group」と呼ばれていた部門のトップだったテリー・マイヤーソン氏はMicrosoftを去っている。

 今回の上海におけるAI研究機関の設立は、Microsoft内でWindowsの役割が縮小する一方で、改めてAI・クラウドに対する投資や比重をかさ上げする動きを象徴するような発表だ。

 AI研究は米国本社の「Microsoft Research」での活動はもちろんのこと、急速に発展して研究者や開発者の潤沢な中国での比重が高まっており、今回の動きはこれをキャッチアップするためのものだと考えられる。Windows開発体制の状況とは対照的な扱いだが、これもまた近年のサティア・ナデラCEOが率いるMicrosoftの意思なのだろう。

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