Intelの最新CPU(SoC)「Core Ultra」──これまでのCoreシリーズの“CPU+GPU”に加え、AIに関する演算処理(推論など)に特化したNPU(Neural Processing Unit)が搭載されました。こうした演算はGPUが得意とするところですが、NPUはさらに電力効率よく、高速に処理できるのが特徴です。
その最新の「Core Ultra 7」を搭載した2in1 PC「HP Spectre x360 14」を試用する機会を得ました。今までのCoreシリーズ搭載モデルと何が違うのか、どのように仕事で生かせるのかを中心に試してみました。
ITコンサルを手掛ける(株)グロリア代表取締役。15年勤めた前職の野村総合研究所では、高い品質が求められる金融系システムを担当。大規模プロジェクト、開発、保守、運用など、情報システムに関するさまざまな経験の他、マネジメントや要件定義、システム設計、プログラミングといった知識も持つ。現職では大企業、中小企業、個人事業主と規模を問わず、自身のノウハウ全てを使って企業や組織のITを支援している。大のガジェット好きで、常に仕事にうまく生かせないものかと考えてしまう癖がある。モットーは「神は細部に宿る」。2児の父。主な著書に『情シスの定石』『図解即戦力 システム設計のセオリーと実施方法がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(いずれも技術評論社)。連載:「目指せ↑ワンランク上の仕事術」デジモノ探訪記
まずは、HP Spectre x360 14そのものについてからです。奇をてらうことなく、ビジネスに必要な要素をしっかりと実装した安定の品質です。ノートPCに何を求めるかにもよりますが、特にこの製品はディスプレイを回転させてタブレットのように使ったり、ペン入力を活用したりと、2in1 PCとして活躍させたいなら十分満足できるでしょう。
オフィスにおける業務用途において、パフォーマンス面は必要十分です。バッテリー駆動時間は公称値が最大13時間で、実際に私が使ってみたところ、実態に近い数字という感触でした。
その他、2点ほど面白いと感じたユニークな部分がありました。本体の角がカットされており、そこにThunderbolt 4端子とヘッドフォン出力/マイク入力端子(一体型)があります。ケーブルを斜め45度に挿せるので、取り回しが楽になるでしょう。
オンライン会議に求められる機能にも強いと感じました。例えば、キーボードのファンクションキーとして「カメラオン/オフ」と「マイクオン/オフ」が割り当てられています。特にカメラオン/オフはユニークで、キー操作でカメラを物理的にカバーするシャッターを下ろせます。後述する「Windows Studio Effects」機能も相まって、オンライン会議を強く意識していることが伝わってきます。
こうした物理的なカメラのシャッター機能は、在宅勤務などプライベート空間で業務を行う場合に安心な機能です。私が使っているノートPCにもカメラカバーがありますが、指でカバーをスライドさせて使う仕組みになっています。指を引っ掛けるツメも小さく、何度も開け閉めするのは手間なので結局は使っていません。
というのも、ログイン時にWindows Helloで顔認証する際にカメラを使うため、使い勝手を優先してカバーは開けっぱなしにしてしまうのです。
しかし、HP Spectre x360 14のようにキーボードのキー1つで操作できるなら、話は別です。サインイン画面でも操作を受け付けてくれるため、これなら都度カメラのシャッターを開け閉めするのに手間を感じません。この機能は良いと感じました。
あえてデメリットを言うなら、本体が公称値で約1.44kgとやや重めであるという点と、インタフェースがThunderbolt 4×2基、USB Standard-A×1基、イヤフォンジャックだけと、やや物足りない点でしょうか。
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