新型「MacBook Air」はM5搭載で何が変わった? 同じM5の「14インチMacBook Pro」と比べて分かったこと:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/3 ページ)

» 2026年03月10日 16時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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それでも「14インチMacBook Pro」のM5モデルが気になる理由

 いくらM5チップ搭載の15インチMacBook Airの出来がよいとはいえ、同じM5チップを積む14インチMacBook Proの存在が気になる人も多いはずだ。最小構成モデルで比較すると6万円の価格差がある両モデルは、Geekbench 6ではスコアに大差は出ない。

 それでも、14インチMacBook Proには「熱設計と持続性能」「ディスプレイ品質」「接続性」の3点で小さくないメリットがある。これらの3点を重視するかどうかが、モデル選びにおいて重要なポイントとなるだろう。

14インチMacBook Pro 14インチMacBook ProにもM5チップモデルがある

熱設計と持続性能

 M5チップ搭載の15インチMacBook Airと14インチMacBook Proでは、“短時間”の処理においてパフォーマンス差を感じることはない。「アプリを開く」「RAW写真を現像する」「軽い動画を書き出す」といった処理なら、どちらも十分に速い。

 違いが見えてくるのは長時間に渡って高負荷な処理を継続した場合だ。例えば「Cinebench 2024」のような連続負荷のテストアプリでは、時間の経過と共に15インチMacBook Airのスコア(≒パフォーマンス)が低下していく。その点、14インチMacBook Proでは時間経過によるスコアの低下はほぼ見られない。

 ファンレスのMacBook Airが長時間の高負荷で熱の限界に近づくのは当然で、そこを冷却ファンで支えるのがMacBook Proの役割である。言い換えれば、差は“瞬発力”ではなく“持続力”にあるということだ。

 もちろん連続する高負荷では差が出るが、この差が購入判断にどこまで直結するかは、使い方次第だ。長時間の動画エンコードや複雑なエフェクト処理を日常的に繰り返すなら、Proの優位は明確となる。一方で、処理を走らせて待つことをいとわないなら、Airでも大きな不満は出ないだろう。

 ただし、重い処理を続けているときに体感として気になる違いはある。Airの底面はやや熱くなり、キーボード奥の中央付近も温度が上がりやすいのだ。Proも熱を持たないわけではないが、ファンがあるため熱の出方は穏やかで、膝の上で使っても不快感はない。

 もっとも、筆者としては、この差は購入における決定打になるほどの大きな差にはならないと考える。少なくとも、この2台を性能だけで選ぶのは本筋ではないだろう。

画面と接続性の差

 15インチMacBook AirのLiquid Retinaディスプレイは十分に美しい。最大輝度は500ニトで、P3(※1)色域をカバーしていることから、文書作成やWebサーフィン、写真のセレクトといった用途で不満を覚える場面はまずない。

(※1)Appleが独自に提唱している色域規格「Display P3」のこと。ディスプレイ一般で使われる「DCI-P3」規格をベースに、ガンマ値は「sRGB」規格のもの、白色点は「D65」標準光のものに差し替えている

 14インチMacBook Proの「Liquid Retina XDRディスプレイ」はやはり別格だ。このディスプレイはMini LEDを適用した液晶パネルを採用しており、最大120Hz駆動(Appleで呼ぶところの「ProMotion」)対応で、最大輝度はSDR表示時で1000ニト/HDR表示時で1600ニトとなっている。スクロールの滑らかさ、黒の沈み方、ハイライトの伸びの違いは、一度見れば分かる。

 映像編集や写真閲覧を日常的に行うなら、これは単なる「スペック差」ではない。毎日向き合う画面そのものの質の差である。

 とはいえ、この違いは価格差を考えれば当然ともいえる。むしろAirの画面は「価格帯を考えれば十分以上によくできている」と評価することも可能だ。

Liquid Retina XDRディスプレイ MacBook Proが採用する「Liquid Retina XDRディスプレイ」は、Mini LEDによって一般的な液晶パネルと比べて明暗表現がきめ細かく行える

 そして、実用面でさらに効いてくるのが接続性の差だ。

 15インチMacBook Airのポート類は左側面にMagSage 3(充電ポート)、Thunderbolt 4(USB4)端子×2、右側面に3.5mmヘッドフォンジャックという構成だ。SDメモリーカードを使ったりHDMIで映像を出力したりする場合はアダプター(ハブ)が欠かせない。その点、14インチMacBook ProはHDMI出力端子とSDXCメモリーカードスロットも“標準で”備えている。

 「日常的にカメラのデータを吸い上げる」「会議室のプロジェクターに直結する」「外部機器を複数つなぐ」といった使い方をする場合は、Proの方が明らかにストレスが少なくて済む。HDMI端子を使ってプロジェクターやTVにそのまま接続できるのは、思っている以上に便利だ。

 写真や動画を扱う人だけでなく、プレゼンテーションの機会が多い人にも、この差は小さくない。

ポート類 MacBook Proなら、HDMI出力端子やSDXCメモリーカードスロットも搭載している。Thunderbolt 4端子も1基多いので、拡張性を優先するならベターな選択肢といえる

M5チップのMacBook Airでも性能は十分 あとは使い方で選べばいい

 ここまで見てくると、M5チップ搭載のMacBook Airの立ち位置はかなりはっきりとする。性能を犠牲にした軽量ノートではない。写真編集や日常的なソフト開発、4Kクラスの短〜中時間の動画編集、原稿執筆、Webサーフィン、資料作成――そうした現代の仕事の中心にある作業を、十分以上の速度で静かにこなせる。

 しかも15インチモデルなら、MacBook Airの中でも熱と画面サイズの両面で余裕がある。多くの人にとって、これは単なる「必要十分」ではなく、少しぜいたくなくらいの余力を持った主力機になる。

 一方で、14インチMacBook ProのM5チップモデルの意味も、MacBook AirのM5チップモデルが出たことでむしろはっきりとした。同じM5チップでも、長時間負荷を掛ける仕事で余裕がある。画面の品質が良くて端子も多く、冷却も強力だ。その違いは、毎日重い作業をする人にとって、単なるぜいたくではなく実務上の利点になる。

 だから今回の選び方も、以前よりむしろ分かりやすくなった。「静けさ」「薄さ」「大きな画面」を優先して、多くの仕事を過不足なくこなす主力機が欲しいなら15インチMacBook Airでいい。

 一方で、「性能の持続性と安定性」「より仕事向きのスペック」を求めるなら、14インチMacBook Proがお勧めだ。

 M5チップ世代のMacBook Airは、相変わらず万人向けの顔をしている。だが、その中身は以前よりずっと濃い。日常用途を軽々とこなしながら、写真編集や短時間の動画処理といった一歩踏み込んだ作業にも、きちんと応えてくれる。そこに、このモデルのいちばん大きな進歩がある。

キーボード 余談だが、M5チップ搭載のMacBook Airは日本語キーボードの一部刻印が変わっている。どこが変わったのか、分かるだろうか……?
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