突然の「スーパーコア」誕生と消えたEコア――Apple M5 Pro/Maxが断行した「CPU大再編」を読み解く:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)

» 2026年03月06日 18時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 Appleは3月3日(米国太平洋時間)、「M5 Proチップ」「M5 Maxチップ」を搭載した新型MacBook Proを発表した。同時に、MacBook AirもM5チップを搭載するモデルに刷新されている。

 新製品については今後レビューを進めたいが、実は今回の発表に合わせて、Apple SiliconにおけるCPUコアの呼び方が変化している。従来は「高性能コア(パフォーマンス/Pコア)」と呼んでいたピーク性能重視のコアが、突如「スーパーコア」に改称されたのだ。一方、Pコアはなくなったわけではなく、M5 Pro/Maxチップには“新設計”の「Pコア」が搭載されている。

 要するに、M5チップファミリーでは高効率コア(Eコア)を含めてCPUコアが3種類になったということなのだが、このことを即座に整理できた人はどのくらいいただろうか?

 2025年10月にM5チップが発表された時点では、CPUコアはM1チップ以来の慣例通り「Pコア」「Eコア」の2種類だった。それが5カ月後の今、CPUコアは3種類に増え、Pコアは従来とは別設計のものとなった。その背景を探っていきたい。

M5チップ M5チップファミリーにようやく「Pro」と「Max」が加わった

CPUコアの呼称変更を改めて整理する

 混乱を避けるために、まず事実関係を整理しておこう。

 M1チップファミリーからM4チップファミリーまで、Apple SiliconのCPUコアは一貫して「Pコア」と「Eコア」の“2種類”で構成されてきた。Pコアは高いシングルスレッド性能を持つ大型コアで、Eコアは省電力動作に最適化された小型コアとなる。

 Armアーキテクチャにおける「big.LITTLE」構造、いわゆる「ヘテロジニアス」構成を踏襲したCPUコアとして設計されてきた。

CPUコア 初代の「M1チップ」以来、CPUコアは「Pコア」と「Eコア」の2種類で構成されてきた。このことは、ベースチップから拡張を行った「Pro」「Max」「Ultra」チップでも同様だった

 このコア名の法則は、2025年10月にベースチップとしてのM5チップが登場した際も適用された。M5チップのPコアは3基または4基、Eコアは6基という構成で、Pコアは「Geekbench 6」のシングルコアスコアでMac/PC向けCPUとしては最高値の「4263」を記録した。動作クロックは最大で4.61GHzだ。

 ところが、今回のM5 Pro/Maxチップの発表に伴い、AppleはCPUコアの呼称を“遡及的に”変更し、従来のPコアを「スーパーコア」に改めた。「MacBook Pro」の製品情報サイトを見てみると、既に発売済みのM5チップモデルのスペックにおいて、従来は「高性能コア」と書かれていた部分が「スーパーコア」に置き換わっている。

 M5チップ搭載のiPad ProやApple Vision Proの製品情報サイトには「高性能コア」の表記が残っているが、そのうち「スーパーコア」に改められるだろう。

スペック M5チップのMacBook Proは、2025年10月に発表したモデルが継続販売される。しかし、スペック表で「高性能コア」だった部分を「スーパーコア」に置き換えている

 一方で、M5 Pro/Maxチップには、従来のPコアの代わりに新しい「Pコア」が搭載された。要するに、M5チップとM5 Pro/Maxチップで同じ名前なのに位置付けの異なるPコアが搭載されたということになる。

 整理すると、新しいM5チップファミリーのラインアップとCPUコアの組成は以下の通りとなる。

  • M5チップ
    • 9コア構成:スーパーコア(旧Pコア)3基+Eコア6基
    • 10コア構成:スーパーコア4基+Eコア6基
  • M5 Proチップ:
    • 15コア構成:スーパーコア5基+新Pコア10基
    • 18コア構成:スーパーコア6基+新Pコア12基
  • M5 Maxチップ
    • 18コア構成:スーパーコア6基+新Pコア12基
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