M5チップで見逃せないのが、GPUの進化である。
2025年の登場時にも説明されていたが、M5チップは各GPUコアに「Neural Accelerator」が統合され、従来は独立したNeural Engine(NPU)が主に担っていたAIに関する処理を、GPU自身がより深く受け持てるようになった。
Geekbench AIのGPUに関するスコアは2万3628ポイントと、M4チップの1万1616からほぼ倍増しており、「Topaz Video」のAIビデオエンハンスメントのパフォーマンスはM4チップ比で最大1.9倍、Blenderの3Dレンダリングパフォーマンスも最大約1.5倍に向上している。
筆者は普段、M2チップ搭載のMacBook Airを使っている。今となったら3世代前のマシンとなるが、よくできた1台だと思う。しかし、さすがに最近は画像処理や動画処理で重さを感じる場面が増えてきた。
だからこそ、M5チップのMacBook Airに触れたときの差は分かりやすかった。少し使っただけでも、処理の立ち上がりや応答の速さに違いがある。
この差は、実際の作業に置き換えるとさらに見えやすい。例えば「Adobe Lightroom」で大量のRAW形式の写真を現像したり、「Adobe Photoshop」でAI系の画像補正をかけたり、「Final Cut Pro」や「DaVinci Resolve」で4K素材を扱ったりといった各種処理が、M2チップはもちろん、M4チップと比べても一段“軽く”感じられる。
もちろん「Air」は「Pro」ではない。だが、M5チップのおかげで、少なくとも「薄型かつファンレスだから、この辺は割り切って使うしかない」という製品ではなくなった。
写真編集や短時間の動画処理のように、小〜中負荷のクリエイティブ作業用途に関しては、十分にメインマシンとして考えられる水準に達している。
M5チップの15インチMacBook Airでは、店頭販売がメインの固定構成モデルにおいて「16GBメモリ/512GB SSD」「16GBメモリ/1TB SSD」「24GBメモリ/1TB SSD」の3構成が用意されている。
それに対して、今回試用しているのは「32GBメモリ/2TB SSD」という固定構成の最上位モデルよりも“余裕”を持たせたカスタマイズをした仕様だ(Apple Storeで同じ構成にすると30万9800円となる)。
だがスペックや値段のことは抜きにしても、次に自分で買うなら13インチモデルじゃなく15インチモデルを選びたいと思った。理由は、単なる表示領域の広さだけではない。もちろん、画面が大きくなったことによる作業性の違いは大きい。複数のウィンドウを並べたり、写真を一覧したり、タイムラインとプレビューを同時に見たりと、そうした日常的な作業は、15インチモデルの方が明らかに楽だ。
15インチモデルは15.3型Liquid Retina(IPS液晶)ディスプレイを搭載しているが、13インチモデルの13.6型パネルと比べると解像度も微妙に高い(2560×1664ピクセル→2880×1864ピクセル)それに加えて、ファンレス冷却のMacBook Airではより大きい15インチモデルには熱設計上の優位点もある。
MacBook Airは完全なファンレス設計なので、熱はアルミボディー全体へ逃がすしかない。13インチモデルと15インチモデルは、瞬間的なピーク性能こそほぼ同じだが、ボディーが大きい15インチの方が受動冷却には有利だ。
15インチモデルは幅が約34.04cm、奥行きが約23.76cmとなる。一方で、13インチモデルは幅が約30.41cm、奥行きが約21.5cmとなる。しかし、どちらも厚さは約11.2mmだ。重量は13インチモデルの約1.24kgに対して、15インチモデルは約1.51kgとやや重い。
こうして見ると、15インチモデルは単なる「大きいAir」ではなく、「熱を受け止めるアルミニウムの面積が増えたAir」と捉えることもできる。
M5チップは発熱のコントロールがうまい。そのため、M3チップ時代のMacBook Airほどサイズ差による冷却効果の違いは露骨ではない。それでも、クリエイティブ系の処理を繰り返していると、快適性や応答性に少しずつ効いてくる。
熱的な余裕がある分、15インチモデルはサーマルスロットリングが始まるまでの時間をわずかに遅らせることができる。定量化しにくい差ではあるが、画面の広さによる作業性と合わせて、15インチのMacBook Airには「余裕を持って使える」感触がある。
この違いは、 13インチモデルとの価格差や重量差を考えても、十分に意味があると感じた。
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