128GBの大容量メモリが映像制作とAI環境を変える――「M5 Max MacBook Pro」フルスペック機をプロが実戦投入して分かったこと現場で試す新型MacBook Pro(2/3 ページ)

» 2026年04月08日 15時00分 公開
[石川将也, 林信行ITmedia]

検証01:タイムラインパフォーマンス

 まずは編集作業中のPremiere Proのレスポンスや、再生時のパフォーマンスを比較した。特にフル画質での再生の実用性に注目している。

 今回の検証では、絵本「りんごりらっぱんつ(作:Dochi氏/tone tone books)」のシーケンスを使用した。素材は主に6K(6432×4288ピクセル/3:2 6.4K/4:2:0 10bit 24p)の高解像度で撮影したもので、1920×1080ピクセル/24pのシーケンスに配置し、調整レイヤーで色調補正、場合によってVRノイズ除去といったエフェクトを使用している。

 カット編集が中心のシンプルな作業だが、高解像度素材を扱うため、36GBメモリのM4 Max搭載Mac Studioで作業中にフルHD品質で再生すると、コマ落ちが生じていた点が最大の課題だった。

M5 MacBook Air M4 Max Mac Studio M5 Max MacBook Pro Apple AI 編集 NPU M5 MaxのMacBook Proで「りんごりらっぱんつ」のタイムラインを開いたところ。8K素材をフルHDシーケンスに配置し、色調補正やエフェクトを適用した状態で検証している
M5 Maxを搭載したMacBook ProでPremiereのタイムラインを再生/スクラブしているところ。スペースバーを押すと瞬時に再生が始まり、約15分のシーケンス全体をフル画質でコマ落ちせずに再生しきることができた/ナレーション:夢眠ねむ

 結果は圧倒的だった。Mac Studioとは異なり、M5 MaxのMacBook Proはフル画質のまま一度もコマ落ちせずに再生できた。

M5 Max vs M4 Max:「アクティビティモニタ」で比較する

M5 MacBook Air M4 Max Mac Studio M5 Max MacBook Pro Apple AI 編集 NPU M5 Max搭載MacBook Pro(メモリ128GB)のアクティビティモニタ画面(注目ポイントに注釈の文字を入れた)
M5 MacBook Air M4 Max Mac Studio M5 Max MacBook Pro Apple AI 編集 NPU こちらは、同じシーケンスを再生した際のM4 Max搭載Mac Studio(メモリ36GB)の画面

 両モデルのアクティビティモニタを比較すると、最大の違いはメモリプレッシャーにある。

 M4 MaxのMac Studioでは36GBのメモリのうち常に20〜30GBが使用され、時折メモリプレッシャーグラフが黄色に変わるたびにPremiereでコマ落ちが発生していた。

 スワップファイルも生成され、プレッシャーが赤になると音声に乱れが生じることもあった。CPUもGPUもグラフ上では余裕があるように見えることから、ボトルネックはメモリ容量にあることが明確だ。

 なお、全く使い物にならないというわけではなく、約15分の映像のうち何度かコマ落ちが発生する程度で、それ以外の時間はスムーズに再生できていた。

 一方のM5 Maxモデルでは、メモリプレッシャーは常に緑色を維持していた。ただし使用メモリ自体は常時45GBを超えており、撮影時点では75GBに達していた。別の絵本のシーケンスでは8K素材(8064×5376ピクセル/8.1K 4:2:0 10bit 24p)やエフェクトの組み合わせによっては使用メモリが100GBに迫ることもあったが、それでもスワップは生じず、コマ落ちも発生しなかった。GPUは50%程度でCPUも余裕がある。

 つまり、タイムラインのフル画質再生にとって、決定的な要因はメモリ容量だということが分かった。M4 Maxがいくら高性能でも、Premiereにとってメモリが足りなければそれまで――というのが今回得られた核心的な知見だ(それにしても、Premiereはメモリを使い過ぎではないだろうか……)。

 しかし、なぜそこまでフル画質再生にこだわるのか。この番組は絵本を高画質で撮影する関係上、絵本に付いた小さなゴミや汚れを見落とさないよう極力注意を払っており、撮影時に見逃してしまったものは編集時にレタッチで消している。

 そのため、Premiereでフル画質のままコマ落ちなく再生できることは、単なる快適さではなく、品質管理上の必要条件でもあった。これがかなわない点こそ、石川氏がMac Studioに抱いていた不満の根源だった。

 石川氏は、Mac Studioを購入した際に予算の都合でメモリ36GBのベースモデルを選択したことを悔やんでいた。「メモリが大事」という一見当たり前のような結論だが、この性能変化はベンチマークには現れにくく、具体的なユースケースに当てはめた時に露見するものだと改めて気付かされた。

参考:M5 MacBook Airでも試してみた

 ちなみに、再生画質を半分に落とせば、M4 Max搭載Mac StudioやM4 ProのMacBook Proはもちろん、M2/M4のMacBook Airでも編集作業は十分に可能だ。実際に同番組のスタッフも使用しているそうだ。

 今回、もう1台の比較機としてM5のMacBook Air(32GBメモリ)でも同じタイムラインを試してみた。

M5 MacBook Air M4 Max Mac Studio M5 Max MacBook Pro Apple AI 編集 NPU M5を採用したMacBook Airで同じシーケンスを操作しているところ。フル画質では再生開始直後にメモリプレッシャーが黄色になりコマ落ちが生じるが、再生画質を半分に落とすと全くストレスなく作業できた
M5搭載MacBook Airでタイムラインを再生している様子。再生画質を元映像の半分に落とすと軽快に操作でき、コマ落ちも発生しない。ベースのM5チップのポテンシャルの高さがうかがえる

 なお、再生画質を半分に落とした場合であれば全くストレスを感じない。単に編集作業をこなすだけであれば、M5 MacBook Airでも十分に実用的と言えそうだ。改めて、現在のMacのラインアップが予算や用途に応じて柔軟な選択肢を提供していることを実感する。

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