コロナ禍を経て、自宅などでテレワークをする人の割合は、全国平均で24%程度になっているという(国土交通省の調査より)。
主に自宅などで仕事をする場合、生産性に関わるディスプレイ環境を一新した人も多いだろう。デュアルディスプレイやウルトラワイドディスプレイなどの導入だ。
在宅ワーカーの筆者もその一人だ。しかし、大きなディスプレイを導入して表示領域が広大になると、マウスカーソルを画面の端から端へ移動させるのが面倒になってくる場合もある。マウスを大きく動かしたり、何度も持ち上げて動かしたりする必要があるからだ。
キーボードから手をあまり動かさずにマウスカーソル操作を行いたい――そんな場面で役立ちそうなのが、エレコムの最新トラックボールマウス「IST PLUS」だ。実機を試してみた。
IST PLUSは2023年に発売された「IST」の後継モデルだ。従来のベアリングモデルに加えて、ボールローラーモデルが追加された。価格は順に1万980円と8380円で、カラーバリエーションはブラックとホワイトだ。両モデルの外観は共通している。
実はISTから形状はほとんど変わっていない。スクロールホイールの側面にオレンジ色が配色されたこと、コネクト(接続先切り替え)ボタンが電源ボタンの真下からトラックボール側へ移動した点などが主な違いだ。
しかし、中身は刷新されている。まず、搭載する5つのボタンには全て静音スイッチを採用しており、ISTのようなクリック音をほとんど感じることなく操作できるようになった。
そしてオンボードメモリを初搭載した。ISTシリーズは全製品がユーティリティー「ELECOM MOUSE ASSISTANT」でのカスタマイズに対応しているが、初代ISTでは、設定したPC以外の環境に設定が反映されなかった。
例えば、自宅PCを使って「進む」ボタンに「コピー」機能を割り当てていたとしても、会社PCではデフォルト操作しか行えない。
しかし、IST PLUSはオンボードメモリにカスタマイズを保存できるため、ELECOM MOUSE ASSISTANTをインストールしていない、もしくはできないPCやタブレット、スマートフォンでも“いつもの操作”で同じ結果を得られる。
そして何より変わったのは、トラックボールの操作性だろう。ISTは、ミネベアミツミ製ベアリングを支持ユニットに採用したことで話題になったが、IST PLUSでは、エレコムが独自開発した「ボールローラー支持ユニット」を採用している。
これは、トラックボールを支持するボールを、さらに小さい4つのボールが支持する機構のユニットであり、360度の滑らかさと静音性が確保されているのも特徴だ。
今回試しているのはISTからあったベアリングモデルだが、オプション品として交換できるボールローラー支持ユニット(後日発売)も試すことができた。両モデルの使用感にはどれほどの違いがあるのか。
最初に断っておきたいのは、筆者のマウス環境のことだ。PC(といっても、最初に購入したのはApple Macintosh Performaだが)の使い始めから、一貫して“マウス”ユーザーであり、しかも左手で操作をしている。
ISTシリーズは本体左側にトラックボールが配置されているため、右手での操作が前提になっている。筆者はマウス操作をするタイミングで、反射的に左手がマウスを探してしまうほど、右手でのマウス操作に慣れていない。
トラックボールマウスのレビューは、右手でのマウスカーソル操作練習にうってつけだ。腕全体を使う必要のあるマウスに対して、トラックボールマウスなら手を乗せて親指をわずかに動かすだけで良い。操作方法が違うので、脳内での混乱を最小限に抑えられるだろうと踏んでいる。
さて、半年ほど前にエレコム「bitra(M-MT2MRS)」で華麗なるトラックボールマウスデビューを果たしたものの、右手人差し指でボールを安定的に動かすのが筆者にとって難しいことが判明し、トラックボールマウスから遠ざかっていた。
そのため、IST PLUSのレビューでも同じような状況が生じてしまうのではないかと不安を抱いていた。それがトラックボールマウスを使おうとするモチベーションを下げる要因になっていた。とはいえ、レビュー期間終了後に振り返ってみると、それは杞憂(きゆう)に終わっていた。
まずは、セッティング方法から確認していこう。
IST PLUSのペアリング方法は簡単だ。PCであれば、IST PLUSの底面に収納されているUSBドングル「ELECOM Bridge E USB レシーバー」を取り出して、PCのUSB Standard-Aポートに差し込むだけだ。IST PLUSの電源をオンにして、ボールを動かしてもマウスカーソルが反応しない場合は、コネクトボタンの隣にあるLEDが緑色に光るまでボタンを短押ししてみよう。
Bluetooth接続したいのであれば、コネクトボタンを短押しする。LEDが白(CH1)または青(CH2)に切り替わる。
Windows PCは「クイックペアリング」に対応しているため、Bluetoothの設定画面を開かなくてもすぐにペアリングできる。
接続しやすいので、使い始めのハードルがかなり下がる。では、使っていこう。
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